人事コンサルティング会社の売却では、評価制度の運用顧問や採用代行といった継続収入と、代表に集まる顧問先の信頼をどう会社に残すかが、価格と成否を分けます。就業規則の作成代行や採用代行に潜む法令の線引き、2025年以降の譲受企業の動きまで、初めての売却に迷うオーナーに向けて実務の要点を解説します。
顧問先の社長が頼りにしているのは、会社というより代表その人。人事コンサルティング会社の売却は、この現実を出発点に組み立てる必要があります。本記事で想定する読者は、人事制度の構築や採用支援を営み、会社の売却を検討し始めたオーナー経営者。代表に偏った顧問契約の引継ぎ、就業規則の作成代行や採用代行に潜む社労士法・職業安定法の線引き、評価ツールの権利など、この業種でつまずきやすい論点を順に取り上げます。
人的資本開示と人事の外部委託、人事コンサルティング会社を取り巻く売却環境
人事制度を作り直したい、採用の実務を外に任せたい。そうした企業の声を背景に、人事コンサルティング会社のM&Aに関心を寄せる企業が増えています。
有価証券報告書の人材戦略と男女間賃金差異の公表が広げる制度見直し
上場企業の有価証券報告書では、2023年3月期から人材育成の方針や男女間賃金差異などの記載が始まりました。2026年2月の内閣府令の改正により、同年3月31日以後に終わる事業年度からは「企業戦略と関連付けた人材戦略」と「従業員の給与等の額及び内容の決定に関する方針」も記載の対象に。動きは上場企業にとどまりません。2026年4月施行の改正女性活躍推進法で、男女間賃金差異と女性管理職比率の公表義務は従業員101人以上の企業へ拡大。等級や賃金の仕組みを数字で説明する必要は、中堅企業にも及んでいます。
人事業務の外部委託は1兆1,163億円、採用代行とアセスメントに集まる関心
矢野経済研究所が2026年5月に公表した調査によると、2024年度の人事業務アウトソーシング市場は1兆1,163億円で、前年度から4.8%伸びました。給与計算や企業向け研修に加え、採用代行(RPO)やアセスメントツールも含む市場です。同調査は、人事を内製してきた大手企業でも、熟練担当者の定年退職を機に外部への委託が広がっていると指摘。採用や評価の実務を外から支える人事コンサル会社に、人材サービス会社やコンサルティング会社の視線が集まるのも、この流れの延長線上にあります。
黒字でも売却を考える、人事コンサル会社のオーナーの事情
業績が良いのに、なぜ売るのか。人事コンサル会社の売却相談では、周囲や家族からそう問われたという声を、たびたび耳にします。答えの多くは、代表1人の働きに支えられた事業の形そのものにあります。取引も引き合いも順調な黒字の会社ほど、代表が退いた後に誰が顧客を支えるのかを描けずに悩みがち。会社売却が現実の選択肢として浮かぶのは、たいてい次の3つの事情が重なったときです。
顧問先が頼るのは代表、看板を継ぐコンサルタントが育たない
等級や評価の相談は、社長の考え方や社内の人間関係にまで踏み込みます。だからこそ顧問先の社長は、長く付き合ってきた代表を指名しがち。実務は社員コンサルタントが担っていても、最後の判断は代表に、という会社はよく見かけます。子どもは別の道に進み、社内にも代表の役割を丸ごと担える人は見当たらないまま。そうして事業承継の期限だけが近づくケースも見られます。
人事の実務経験者の採用で、事業会社や大手ファームと競り合う
評価制度や賃金制度の設計を任せられるのは、人事の実務を積んだ人材です。こうした人は事業会社の人事部でも引く手あまたで、報酬で勝る大手のコンサルティングファームとも取り合いに。未経験者を育てるには、案件に同行させながら数年単位の時間がかかります。採用が追いつかず引き合いを断る場面が続けば、自社だけで伸ばせる規模の天井も見えてきます。
評価のクラウド化とAIで、ツールへの投資と人の役割が変わる
評価や目標管理をクラウドで回す企業が増え、紙や表計算ソフトの運用を支えてきた仕事は形を変えつつあります。自社ツールを磨き続けるには開発への投資が要り、他社のクラウドを代理店として扱うなら、提供元の方針に事業が揺さぶられることも。当社が2025年に仲介した医薬品の安全性情報管理・翻訳の会社でも、AI翻訳や低価格の海外委託の広がりが、70代の代表が売却を決めた理由のひとつでした。
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評価制度の運用顧問が支える、人事コンサルティング会社の譲渡価格
売上が同じ1億円でも、毎月の顧問料が中心の会社と、単発の制度構築が中心の会社とでは、譲受企業の見る目が違います。差を生むのは、翌年も入る売上の厚み。
制度構築のフロー収入と、運用顧問やツール利用料のストック収入
売上の中身は、大きく2つに分かれます。1つは、等級・評価・賃金の制度を作る案件や、単発の研修から得るフロー収入。もう1つが、制度を回すための運用顧問、エンゲージメントサーベイや適性検査の利用料、採用代行の月額といったストック収入です。業界では、ツールや運用支援で継続収入を得ながら、そこから個別の制度設計を受注する形がよく見られます。譲受企業が重く見るのは後者で、制度構築を終えた取引先が運用の伴走に移っているかが評価の分かれ目に。
年買法(年倍法)とのれんで見る人事コンサル会社の価格の目安
中小企業の売却で最もよく使われるのが年買法(年倍法)です。時価純資産にのれん(数年分の利益)を加えて目安を出す方法で、式にすると時価純資産+のれん。人事コンサル会社は設備をほとんど持たないため純資産が薄く、前払いで受け取った研修代金や顧問料は前受金として、未払の賞与とともに差し引かれます。価格の中心を占めるのは、のれんのほう。DCF法や類似会社比較法は、補助として使う程度です。
純資産約1,080万円の会社が7,000万円で譲り受けられた例
2025年3月26日、東証グロース上場のイシンは、HRコンサルティング事業を営むレプセルの全株式を7,000万円で取得すると開示しました。レプセルの2024年1月期の売上高は約9,400万円、純資産は約1,080万円。価格と純資産の差の多くは、採用代行のノウハウや、大手企業の新規事業部門を中心とする顧客基盤への評価と読めます。
決算書の外で問われる、人事コンサルティングの数字
譲受企業は決算書の数字に加え、利益がこの先も続くかを示す裏づけを求めます。下表は、この業種の売却で確認されることの多い数字と、評価につながる状態の一覧。顧問契約の台帳と請求データ、コンサルタントの稼働記録を突き合わせれば、多くは自社で算出できます。数字の定義を毎期そろえておけば、譲受企業との面談でも説明がぶれにくくなります。
| 確認される数字 | 見られる理由 | 評価につながる状態 |
|---|---|---|
| 継続収入の比率 | 運用顧問料やツールの利用料、採用代行の月額は、翌年も見込めるため | 契約の種類ごとの比率を毎月示せる |
| 制度構築から運用顧問へ移った割合 | 制度を作った後も伴走が続くほど、関係が長くなるため | 構築案件ごとに、その後の契約の有無を示せる |
| 代表が担当する売上の比率 | 代表が退いた後に残る売上を見積もるため | 主要な顧問先に代表以外の担当が付いている |
| 上位10社の売上比率と平均取引年数 | 1社の解約で利益が大きく揺れないかを測るため | 業種や規模の異なる顧客に分散している |
| コンサルタント1人当たり売上と稼働率 | 人の時間を提供する事業の伸びしろを示すため | 案件ごとの工数と外注の比率を把握している |
| 受注の入口 | 紹介頼みか、自社で集客できるかを見るため | 士業や金融機関からの紹介と、セミナーやウェブ経由の内訳を示せる |
| 適性検査・サーベイの利用社数 | 継続収入とデータの蓄積を生むため | 利用社数の推移と解約の理由を記録している |
税理士法人グループのM&A仲介会社として人事コンサル会社の決算書を読むとき、最初に見直すのは代表の役員報酬です。代表が自ら顧問先を回りながら報酬を抑えてきた会社では、譲渡後に同じ役割を担う人を雇う費用を見込むと、利益は決算書より小さくなります。反対に、高めの報酬を取ってきた会社なら、相場との差額を足し戻せる計算。制度構築の着手金を入金時に売上にしている場合も、作業の進み具合に合わせて直すと期ごとの利益が動きます。こうした調整を先に示しておけば、企業価値の説明に筋が通ります。
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代表コンサルタントに集まる信頼を会社に移す、顧問先と社員の引継ぎ
代表が抜けたら、顧問先も離れていくのでは。そう考えて、相談を先延ばしにする方は少なくありません。ただ、引継ぎの段取りしだいで残せる顧客は増やせます。
主要な顧問先に2人目の担当を付け、会社名義の契約に改める
代表と顧問先の社長が口約束で続けてきた関係は、そのままでは会社の資産として示せません。売却を考え始めたら、売上の大きい先から順に、代表と並んで打合せに出る2人目の担当を決めておきます。契約書がない先や、代表個人の名義で契約している先は、会社名義の業務委託契約に改めたいところ。大手企業との契約には、株主が替わると通知や解約の対象になる条項、再委託を禁じる条項が入っていることもあります。どの取引先に、いつ、誰が伝えるかを売却前に決めておくと、成約後の解約は抑えやすくなります。
譲渡後に代表が残る期間と、成果に応じて後から払う対価
代表がすぐに退けば、顧問先も社員も不安を抱えます。そのためこの業種の売却では、代表が一定期間、役員や顧問として残る形を求められることがよくあります。残留中の顧問契約の継続率などに応じて、対価の一部を後から払うアーンアウトを組み合わせる例も。代表が抜けた後の解約を心配する譲受企業と、自分の働きを価格に反映させたい譲渡オーナー、双方の思惑をつなぐ仕組みです。退任後の競業避止は、期間や地域、業務の範囲を絞って取り決めます。
社員コンサルタントと業務委託のパートナー講師を引き留める
コンサルティングの価値は、人に宿ります。評価制度の設計を任せられる社員コンサルタントや、研修を受け持つ業務委託のパートナー講師が売却を機に離れれば、案件の担い手がいなくなります。社員には処遇と役割が変わらないこと、パートナーには契約が続く条件を、早めに示しておきたいところ。2024年11月施行のフリーランス法では、業務委託の際に業務の内容や報酬額、支払期日などを書面やメールで示すことが求められています。契約書のないまま講師や外部のコンサルタントに依頼してきたなら、売却前に整えておくと安心。
支援現場では、社員コンサルタントへの告知を、最終契約の直後から引渡しまでの短い期間に、役割の重い人から順に行う段取りを組みます。評価制度の運用を一手に担う担当者には、引渡しの前に譲受企業の役員と面談する場を設け、処遇と担当する顧問先が変わらないことを直接聞いてもらうのが基本。外部の講師には、契約の継続条件を文書で示します。告知の順番を誤ると、取引先への説明より先に社内の動揺が広がりかねません。
社労士法と職業安定法から見直す、人事コンサルティング会社の業務範囲
「頼まれて、就業規則の改定から労働基準監督署への届出まで引き受けてきた」。人事コンサル会社では珍しくない話ですが、譲受前の調査で見過ごされることはありません。
就業規則の作成や助成金の申請代行は社労士の業務
社会保険労務士法第27条は、社労士や社労士法人でない者が、報酬を得て労働社会保険諸法令に基づく書類の作成や提出の代行などを業として行うことを禁じています。就業規則や労使協定の作成もこれに含まれ、違反すれば1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象に。評価制度や賃金制度の設計、労務の相談そのものは資格がなくても行えますが、規程の条文づくりや届出まで請け負っていれば話は別です。雇用関係助成金の申請書を作って提出を代行し、成功報酬を受け取る形も、同じ問題を抱えます。
提携する社労士との役割分担を書面に残す
社労士と組み、仕事を分け合っている人事コンサル会社は少なくないはず。調査で問われるのは、規程の作成や届出を社労士が担い、その報酬も社労士が受け取る形になっているかどうかです。取引先との契約書や請求書の明細、社労士との業務提携の契約がそろっていれば、説明はつきます。紹介し合う関係が口約束のままなら、売却の前に書面にしておくのが得策。
採用代行が委託募集や職業紹介に当たる場面
採用代行(RPO)は、業務の中身によって職業安定法上の許可が要ります。企業から報酬を受けて応募を勧誘するなど募集そのものに携われば委託募集に当たり、委託する企業の側が許可を受けることに。候補者を選んで企業に引き合わせるところまで踏み込めば、有料職業紹介事業の許可が必要です。応募の受付や面接日程の調整といった事務にとどまるなら、原則として許可は不要。2026年7月21日閣議決定の規制改革実施計画には、AIによるスカウトメールの作成・送信などが職業紹介に当たるかを明確にする項目も入りました。
下表に、人事コンサル会社が手がけやすい業務と、必要になる資格・許可、譲受前の調査で確認される点を並べました。
| 業務 | 必要となる資格・許可 | 譲受前の調査で確認される点 |
|---|---|---|
| 人事制度・評価制度の設計、労務の相談、研修 | 不要 | 契約書の業務範囲が、規程の条文づくりや届出に及んでいないか |
| 就業規則・労使協定の作成と届出の代行 | 社労士・社労士法人に限られる | 作成した者と報酬の受取先、提携社労士との契約 |
| 雇用関係助成金の申請書の作成と提出の代行 | 社労士・社労士法人に限られる | 成功報酬の受け取り方と、提携社労士との役割分担 |
| 応募の受付や面接日程の調整 | 原則として不要 | 実際の運用が事務の範囲にとどまっているか |
| 応募の勧誘や候補者の選考に踏み込む採用代行 | 内容により委託募集の許可(委託する企業が申請)や有料職業紹介事業の許可 | 業務の実態と、許可の有無や取得の時期 |
| 求職者の情報を集める求人サイトやスカウト媒体の運営 | 特定募集情報等提供事業の届出(2022年10月から) | 届出の有無と、求職者情報の管理体制 |
評価結果や適性検査のデータ、預かる個人情報の扱い
顧問先の社員の評価結果や給与、サーベイの回答、適性検査の結果。人事コンサル会社が預かるのは、慎重な扱いが求められる情報ばかりです。多くは顧問先から委託を受けて扱う個人データで、契約で定めた目的の外では使えません。株式譲渡なら預かる会社は変わらないものの、株主の変更を相手に知らせる定めがあれば対応が必要に。事業譲渡では、事業の承継に伴う個人データの提供は第三者提供に当たらない一方、委託契約を引き継ぐには相手企業の同意を得るのが通例です。漏えいの記録やプライバシーマークの更新状況も確認されます。
評価ツールや研修教材の著作権と、海外アセスメントのライセンス
評価シートのひな形、等級表を作る計算ツール、研修のテキスト。これらを会社の資産として示すには、権利が会社にあると説明できなければなりません。社員が職務で作り、会社の名義で公表したものは原則として会社が著作者になる一方、業務委託のパートナーが作った教材は、契約で譲り受けていなければ作り手に権利が残ります。海外の適性検査を扱う会社では、ライセンスへの依存も焦点に。英SHLグループのライセンスで事業を営んできた日本エス・エイチ・エルは、資本関係がなく連携が盤石でないことを課題とし、2023年に同グループ側の公開買付けを経て非公開化されました。
みつきコンサルティングでは、人事コンサル会社の相談を受けると、顧問先ごとの契約書と請求書の明細を並べ、規程づくりや届出の代行、採用代行のスカウト業務がどこまで含まれているかを一緒に洗い出します。線引きのあいまいな業務は、売却前に提携社労士への付け替えや許可の取得で手当てするのが基本。それでも残る懸念は、表明保証(契約時点の事実に誤りがないと約束すること)の範囲と補償の上限で調整します。指摘を受けてから慌てるより、自ら開示したほうが、話し合いは前向きに進みます。
採用代行や人事の知見を求めて動く、人事コンサル会社の買い手候補
関心を寄せるのは同業のコンサル会社くらいでは、と考える方もいるでしょう。実際に名乗りを上げる企業の顔ぶれは、思いのほか幅広いもの。
採用代行を取り込みたい人材サービス会社、ビースタイルとHRアソシエの例
2026年9月17日、しゅふの採用に特化した求人サイト「しゅふJOB」を運営するビースタイルホールディングス(東証グロース)は、採用コンサルティングや採用代行を営むHRアソシエの全株式を取得すると発表しました。15年以上続く同社の採用代行を、求人サイトの利用企業向けの採用代行と組み合わせるねらいです。大手企業向けの採用代行は求人広告の競争に左右されにくく、成長と安定が見込めるとの判断。2025年にもエン・ジャパンやじげんのグループが採用代行の会社を子会社にしており、人材サービス各社の関心は続いています。
人事領域を厚くしたい総合コンサルティング会社、デロイト トーマツとノビテクの例
総合コンサルティング会社の動きも見逃せないところ。2026年3月2日、デロイト トーマツは、人材開発事業を営むノビテクの全株式を取得したと発表しました。人事コンサルティングで戦略から導入、運用までを一体で届けるため、研修や講演、情報発信のサービスを加えるねらいです。大手のファームは人事・組織の部門を抱えていても、制度を運用する現場の支援や研修では、専門の会社と組んだほうが早い場面も。現場に強い人事コンサル会社は、補い合う相手として候補に挙がりやすい存在です。
士業の事務所グループやHRテック企業、異業種の支援会社
社労士や税理士の事務所グループは、顧問先から寄せられる人事の悩みに応える受け皿として人事コンサル会社を求めます。人事評価や労務のクラウドを売る企業にとっては、導入と運用を支える人材とノウハウが目当て。異業種からの参入もあり、2026年5月29日には、広告と経営助言を組み合わせた成長支援を営むADTANKが、HR領域の支援を手がけるHR COMPANYの全株式を取得しました。既存の顧客から増えている人事・組織の相談に応えるためで、複数社を束ねるロールアップ型のM&Aという位置づけ。一部の株式だけを譲る資本業務提携で相性を見極める道もあります。
打診先を選ぶ段階では、相手の顧客層と自社の顧問先の重なり方を一覧にして、候補を絞り込みます。2016年に当社が仲介した製造業向けコンサルティング会社の案件では、製造現場で経験を積んだ200名以上のコンサルタントが在籍する会社が、事業領域を広げたい東京の総合経営コンサルティング会社(売上30億円)と資本関係を結びました。譲渡の理由は事業の成長。人事の領域でも、相手の手薄な分野を自社が埋められるかが話の出発点です。人事コンサルの売買に通じたM&A仲介を通じて複数の候補を比べれば、条件の選択肢も広がります。
相談から引継ぎ完了まで、人事コンサルティング会社が売却で備えること
売却を決めてから引継ぎを終えるまで、1年近くかかることもあります。この業種ならではの備えを、時期を追って見ていきます。
打診の前に、顧問契約と業務範囲を1枚の一覧にする
最初の作業は、顧問先ごとの契約書、担当者、月額、契約期間、更新の時期を1枚の一覧にまとめることです。あわせて、就業規則の作成や採用代行のスカウトなど、資格や許可に触れる業務がどこまで含まれているかを洗い出します。自社ツールや研修教材の権利の所在、外部講師との契約も、この段階で点検しておきたいところ。この一覧をもとに株価を試算すれば、売却相場の目安と、税引き後の手取り額が見えてきます。中小企業のM&Aでは、準備の厚みがそのまま交渉の進み具合に表れるもの。
基本合意から最終契約まで、顧問先の名前を伏せて進める
最初の打診は、社名を出さない1枚の概要書で行います。関心を示した相手と秘密保持契約を交わしてから、取引先の業種の内訳や継続年数を開示する順番です。個々の社名は、基本合意の後も記号に置き換えたまま示すのが無難。デューデリジェンス(譲受前の調査)では、先に触れた業務範囲に加え、未払残業の有無や業務委託の実態も調べられます。人事の仕事に通じた仲介会社を選べば、調査で求められる資料の見当もつけやすくなります。
引継ぎ期間の顧問先訪問と、代表の個人保証の解除
成約後は、代表が後任の担当者と顧問先を回り、評価の時期や賃金改定の予定を引き継ぎます。評価制度の運用は1年単位で回るため、査定や昇給の時期をまたいで同行できると相手先も安心です。借入に付いた代表の個人保証は、譲受企業の信用による借換えや保証人の差替えで、成約と同時に外せるよう金融機関と詰めておくもの。代表を退いた後も保証人のまま、という状態は避けたいところです。保証の扱いは、最終契約の条件として書き込みます。
完全成功報酬
M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。
着手金・中間金
0円
月額報酬
0円
成功報酬
成約時のみ
※レーマン方式
人事コンサルティングのM&A・売却でよくある質問
自社ツールや提携先、代理店契約など、人事コンサル会社ならではの相談から4つを選んで答えます。
できます。ツールの事業だけを移す事業譲渡か、会社分割で切り出した会社の株式を譲る方法が中心です。論点は、著作権や商標の移転と、利用企業との契約の移し替え。利用企業から預かる受検データは、契約の定めに沿って移す必要があります。現場では契約ごとに、移せるか、同意が要るかを見極めたうえで、コンサル部門に残すツールの利用契約も結び直します。
株式の売却だけでは引き継げません。社労士事務所の顧問契約は、代表の社労士個人や社労士法人が結ぶもの。社労士法人の社員は社労士に限られ、株式会社が持つことはできません。譲受企業のグループに社労士法人があれば合併や顧客の同意を得た契約の切り替え、なければ代表が社労士として残り、提携して支える方法も。人事コンサル会社の売却を支えるみつきコンサルティングでは、契約の名義から確認します。
代理店契約の定め次第です。株式譲渡なら契約の当事者は変わりませんが、株主や代表者の交代を提供元に届け出る定めや、競合製品を扱う会社の傘下に入ると解約できる定めが置かれていることも。現場では、提供元ごとに契約期間と解約の条件を確認し、譲受企業が競合製品を扱っていないかもあわせて見ます。条件が整えば、継続手数料は安定した収入として評価に織り込めます。
過去の利益を土台にする年買法では、育ち始めの事業は価格に表れにくいのが実情です。ただ、上場企業の人材戦略の記載を支える仕事は、譲受企業にとって魅力のある分野。受注の見込み先や提案中の案件、担当できるコンサルタントの数を示せれば、将来の利益を織り込む交渉材料になります。上乗せ分を成約後の実績に応じて払う取決めを組み合わせる方法も。
人事コンサルティングの顧問契約承継と売却相談先選び
人事コンサル会社の売却では、運用顧問や採用代行の継続収入、代表以外でも回る担当体制、就業規則の作成代行や採用代行をめぐる法令の線引きが、価格と交渉の土台になります。顧問先や社員の顔が浮かび、踏み出せずにいる方も多いはず。準備を早く始めるほど、選べる道は広がります。
みつきコンサルティングは、税理士法人グループに属する財務・税務に強いM&A仲介会社です。中小企業のM&A仲介の実績経験が豊富で、M&Aに特化した専門スタッフが仲介会社選びの段階からご相談に応じます。人事コンサルティングの会社売却なら、みつきコンサルティングへ。
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著者

- 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
-
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士
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