未経験からM&A業界への転職は難易度が高いものの、戦略次第で十分に狙えます。採用が活発な理由、求められる営業力と財務知識、会計事務所系で経験が活きる理由まで現場の視点で整理しました。年齢の壁や資格、転職の進め方も具体的に示します。
「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。
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未経験からM&A業界へ転職できるのか
「営業しかやってこなかったが、M&A業界に挑めるのか」。そんな問い合わせは年々増えています。結論から言えば、未経験からの転職は十分に現実的です。ただし、誰でも通る道ではありません。まずは業界全体のM&A仲介の役割を押さえたうえで、仲介会社へ転職する流れを理解しておくと、選考対策の精度が上がります。
未経験者の採用が活発な背景
日本では後継者不在が深刻な経営課題です。事業を誰に引き継ぐかという悩みが、第三者承継というM&A需要を押し上げています。中小企業庁が公表する中小M&Aガイドラインの枠組みでも、登録された支援機関は約3,000件に達し、担い手の拡充が進んでいます。
需要の伸びに採用が追いつかない。だから経験者だけでなく、将来性を見込んだ未経験採用が広がっています。2026年に入っても、中小企業を支援する仲介会社や特化型の会社では若手の採用意欲が高い状況です。
転職難易度が高い理由
採用が活発でも、入口は狭い。会社の売買という経営者の人生の決断を支える仕事だからです。書類選考から内定までの通過率は数パーセント程度とされ、倍率が30倍を超える求人も珍しくありません。
「稼げそう」という動機だけでは見抜かれます。問われるのは、後述する実績と覚悟です。
M&A業界の転職先と未経験での入りやすさ
ひとくちにM&A業界と言っても、会社の種類で業務も求める人物像も大きく変わります。なお仲介会社は、母体によって上場会社系・非上場会社系・会計事務所系(士業系)に大別されます。下表で全体像を把握し、自分が狙う方向を定めましょう。
| 会社の種類 | 特徴 | 未経験採用 | 報酬の傾向 |
|---|---|---|---|
| M&A仲介会社 | 譲渡オーナーと譲受企業の間に立ち、中立的にマッチングから成約までを支援する。中小企業の事業承継案件が中心で、営業力が強く問われる | 最も積極的。異業種のトップ営業が多く活躍する | インセンティブ比率が高く、数千万円規模も狙える |
| FAS(財務アドバイザリー) | 財務調査や企業価値の算定、戦略立案など専門コンサルを担う。大手・中堅の会計事務所系列が多い | 若手なら可能だが、有資格者や高い財務分析力が求められやすい | 専門性が高く、案件の一部に深く関わる |
| 投資銀行・PEファンド | 超大型・海外案件や、未公開企業への投資と価値向上を担う | 投資銀行の若手枠を除けば狭き門。ファンドは業界経験者の選抜が基本 | 高度な専門性が前提 |
| 事業会社のM&A部門 | 自社の成長戦略として譲受の実務を担う | 採用は増加傾向だが、経験者が優先されやすい | 自社戦略を担う中核の役割 |
このうち未経験者が最も入りやすいのは仲介会社です。上場・非上場・会計系それぞれの違いは、上場・非上場・会計系の一覧で確認できます。大手の規模感を知りたいなら、大手仲介会社のランキングも参考になります。
未経験者に求められる3つの条件
業界への切符を手にするには、次の3点で他の応募者を上回る必要があります。順に見ていきます。
営業実績と人間力
譲渡オーナーが心血を注いだ会社を扱う以上、深い信頼を築ける力が問われます。目安は現職の営業成績で上位10%以内、できれば3〜5%以内。数字の良さだけでなく、なぜ成果を出せたのかを論理立てて語れるかが見られます。
激務に耐えるメンタル
華やかに見えて、実態は泥臭い。1件の成約に平均1年ほどかかる足の長い仕事です。出張、膨大な資料作成、夜間や休日の交渉サポート。これらを当事者意識でやり抜く覚悟が要ります。
基礎的な財務・会計知識
数字が読めなければ仕事が回らない、と言われる世界です。最低でも日商簿記3級、上を目指すなら2級程度の学力。決算書から会社の強みやリスクを読み解き、将来の収益性を見立てる土台になります。
会計事務所・税理士法人出身者が強い理由
実務に携わる立場からひとつ補足します。仲介会社を目指すうえで、会計事務所や税理士法人での勤務経験は、営業経験に匹敵する武器になり得ます。
譲渡オーナーからの信頼を得やすい
経営者が最も本音を打ち明けられる相手は、顧問税理士や会計の専門家です。決算書という共通言語で最初から会話でき、単なる営業ではないと見なされる。信頼を得るまでの速さが、一般的な営業職出身者とはまるで違います。
企業価値算定の精度が上がる
「この会社はいくらで譲れるのか」の見立ては、M&Aで最も重い工程のひとつです。減価償却の扱い、役員報酬の適正化、節税策の裏側まで読み取れる人は、実態に即した値づけができます。算定の精度そのものより、譲渡オーナーに与える安心感が違うのです。企業価値の考え方は企業価値評価の方法で整理しています。
みつきコンサルティングは、みつき税理士法人グループに属する会計事務所系の代表的なM&A仲介会社です。数字に強いという特性を活かせる環境を選ぶことは、未経験からの成功確率を高める戦略的な一手になります。
M&A業界への転職を成功させる準備
未経験から内定を取りにいくなら、準備の濃さが結果を分けます。資格、年齢、応募ルートの3点を押さえましょう。
取得しておきたい資格
国家資格は要りませんが、意欲と基礎力の証明として次が有効です。
- 日商簿記2級:いまや持っていて当然のラインに近い
- M&Aシニアエキスパート:業界の全体像を学ぶのに向く民間資格
- 中小企業診断士:経営全般への理解を示せる
資格の優先順位や取り方の詳細は、M&Aシニアエキスパートの取り方を参照してください。
年齢と学歴の現実
- 年齢:20代中盤から30代半ばで全体の約9割。30歳を超えると未経験採用は一気に狭まる
- 学歴:仲介会社は大卒以上なら職歴重視。外資系投資銀行などは難関大学の学歴が問われる傾向
転職方法(エージェントと直接応募)
応募ルートはエージェントだけではありません。直接応募も有効で、戦略的な使い分けが鍵になります。
エージェント活用
選考情報がブラックボックス化しやすい業界です。専門エージェントなら非公開求人の紹介、書類添削、模擬面接、年収交渉の代行が受けられます。実績のある業界特化型を選ぶのが近道です。
直接応募
採用ページからの直接応募は、企業側の紹介手数料がかからない分、ハードルが下がる場合があります。志望度の高さも伝わりやすい。情報収集はエージェント、本命は直接という併用も現実的です。
入社前に知るM&A業界の実態
「思っていたのと違う」を避けるため、入社後の現実を先に知っておきましょう。仕事内容と、得られるもの・厳しい側面を順に見ます。
仕事内容(ソーシングとエグゼキューション)
主な業務は、案件を獲得するソーシングと、成約まで導くエグゼキューションの2段階です。下表に求められるスキルを整理しました。
| プロセス | 主な業務 | 求められるスキル |
|---|---|---|
| ソーシング | ターゲット選定、DM・電話・訪問でのアプローチ、譲渡オーナーとの面談、アドバイザリー契約の締結 | 行動力、傾聴力、信頼構築力 |
| エグゼキューション | 企業評価、企業概要書の作成、譲受候補の選定、面談調整、意向表明、基本合意、DD対応、最終契約、決済 | 財務分析力、調整力、交渉力、法務・税務の知識 |
就職後の働き方やキャリアの伸びしろは、M&A会社での仕事内容でも詳しく触れています。
得られるもの
- 高い報酬:平均年収1,000万〜2,000万円超の会社もあり、20代での大台到達も珍しくない
- 市場価値の向上:金融・法務・税務・経営の知見が身につき、起業や経営層への道も開ける
- 社会貢献の実感:廃業危機の会社を救い、雇用を守る達成感は格別
具体的な水準はM&Aコンサルタントの年収相場を見ると実感がわきます。
厳しい側面
- 激務:締切直前は連日終電、徹夜作業が起きることもある
- 成果主義の重圧:結果が出なければ報酬に響き、精神的な負荷も大きい
- 地道な作業:交渉の裏で、膨大なデータ入力や日程調整、電話営業が続く
未経験者のM&A業界転職に関するFAQ
転職を検討する方からよく寄せられる質問をまとめました。
国内の中小企業を扱う仲介会社では、基本的に英語力は問われません。外資系投資銀行やFASで海外案件を扱う場合のみ、ビジネスレベルの英語が前提になります。狙う業態しだいです。
正直、かなり厳しいのが現場感覚です。ただし公認会計士や税理士などの高い専門性があれば、FASなどで採用の余地があります。会計事務所系の仲介会社が門戸を開く例もあります。
証券・メガバンク・地方銀行などの金融、キーエンスやリクルートのような高い営業力を要する企業、総合商社やコンサル出身者は高く評価されます。高単価の法人営業経験も強みです。
未経験採用は極めて限定的です。とはいえ医療・IT・建設などの深い業界知見、経営経験、公認会計士などの士業資格があれば、チャンスは残ります。
未経験からM&A業界への転職を成功させるために
未経験からの挑戦は、営業力・激務耐性・財務知識の3点をどう示すかで結果が分かれます。とりわけ会計や税務の素養は、譲渡オーナーの信頼を得る土台になりやすい。会社の将来を託す相談先を選ぶ場面でも、同じ視点が効いてきます。
みつきコンサルティングは、みつき税理士法人グループに属する会計事務所系のM&A仲介会社です。中小企業の会社売却・事業承継で豊富な支援実績を持ち、税務・財務に強い体制で譲渡オーナーを支えます。相談先をお探しなら、まずは当社にお声がけください。
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著者

- 名古屋法人部長/M&A担当ディレクター
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人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士
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