飼料製造業の会社売却では、原料の輸入依存と売上原価の高さ、配合飼料価格安定制度の積立金負担という業界固有の事情が譲渡価格を動かします。後継者不在や原料高に悩む配合飼料メーカーのオーナーへ向け、売却理由、飼料安全法に絡む承継論点、買い手の顔ぶれ、価格の見方を、税理士法人グループのM&A仲介会社みつきコンサルティングが実務目線で整理します。
「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。
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配合飼料は、原料の大半を輸入穀物に頼り、売上原価が約9割という薄利の事業です。とうもろこし相場や為替が一度振れれば、利益は大きく上下します。飼料安全法に基づく製造業者届出や飼料製造管理者をどう引き継ぐか、農協や特約店との取引をどう守るか。売却を考え始めたオーナーが、まず直面しやすい論点を順にほどいていきます。
飼料製造業の市場構造と価格安定制度をめぐる外部環境
配合飼料メーカーの置かれた環境は、輸入原料と国の保護制度に強く縛られています。外部環境から押さえます。
出荷額1.9兆円市場と原料輸入依存という構造
「うちのような飼料屋に、買い手などつくのか」。そんな声をいただくことがありますが、畜産農家を支える事業として、M&Aに至る案件は出ています。総務省・経済産業省「経済構造実態調査」によると、配合飼料製造業の製品出荷額は2023年に1兆8,986億円でした。一方、純国内産濃厚飼料の自給率は10%強にとどまり、とうもろこしなど主原料の大半を輸入に頼ります。業績が為替やシカゴ相場に揺さぶられやすい点が、この業界の出発点です。原料調達では総合商社や製粉と、出口では食肉や鶏卵の事業者とつながる商流も、後で触れる買い手の顔ぶれを読むうえで効いてきます。
配合飼料価格安定制度と全農系の再編
原料高が畜産経営を直撃しないよう、国は配合飼料価格安定制度を設けています。畜産農家とメーカーが積み立てる通常補填と、国とメーカーが積み立てる異常補填の二段構えで、2023年度には緊急補填も新設されました。再編も進みます。2024年4月にはJA全農グループの飼料会社5社が合併し、JA全農くみあい飼料が発足しました。規模と総合力で原料高・円安・生産者減少に対応する狙いで、全農系は配合飼料出荷量の3割近くを占めます。会社売却も、こうした集約の流れの中で現実的な選択肢になっています。
主要畜種への偏りと鳥インフルエンザの影響
混・配合飼料の生産量は、養鶏向けが約4割、養豚と肉牛が各2割程度を占めます。とくに採卵鶏やブロイラーはほぼ全量を配合飼料に頼るため、養鶏向けの比率が高い会社は需要が読みやすい半面、鳥インフルエンザの発生に弱い面があります。特定の畜種や少数の大口農家に売上が偏る会社ほど、その集中度が買い手の評価で問われやすくなります。譲渡を考えるなら、供給先の構成を一度棚卸ししておくと話が進めやすいものです。
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配合飼料メーカーのオーナーが売却を考える背景
飼料製造業の売却理由は、後継者の問題にとどまりません。原料と設備に関わる事情が、踏み切る背中を押します。
後継者不在と飼料製造管理者の世代交代
飼料安全法では、抗菌性物質を含む飼料や飼料添加物の製造事業場に、飼料製造管理者の設置が義務づけられています。獣医師や所定の課程を修めた人材、あるいはFAMICの講習修了者でなければ務まりません。この有資格者が高齢化し、後を継ぐ人がいない。製造ラインを止められない以上、資格者の不在は事業の継続そのものを揺るがします。創業家の後継者不在と並ぶ悩みとして、従業員と資格者ごと引き受けてもらう道を探る譲渡オーナーは少なくありません。
原料価格の高騰と製造設備の更新負担
とうもろこしや大豆かすの価格は、地政学リスクや円安で大きく振れます。売上原価が約9割という構造では、原料高の波が利益を一気に削ります。配合飼料価格安定制度の補填があっても、メーカー側の積立負担が重くなる局面もあります。そこへ粉砕機やペレット成型といった製造設備の老朽化が重なると、中小規模では更新資金の確保が苦しくなりがちです。資本力のある相手と組み、調達と設備投資を支えてもらう狙いで、会社を譲りたいと相談に来る経営者もいます。
農協・特約店ルートを単独で守る限界
配合飼料の流通は、工場直送が約4割、特約店経由が約35%、農協・農協連合会経由が約25%とされます。畜産農家との関係や技術支援の体制を維持するには、相応の人手と専門人材が要ります。担い手の確保が難しくなる中、販売網と供給責任を単独で背負い続けるより、より大きな枠組みに加わる判断をするオーナーが出ています。
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飼料安全法に基づく許認可と製造管理者の承継
飼料製造業の売却で他業種と最も違うのが、飼料安全法に絡む手続の引き継ぎです。スキームの選び方で扱いが変わります。
製造業者届出と飼料製造管理者の引き継ぎ
飼料や飼料添加物の製造業者は、飼料安全法第50条に基づき、事業開始の2週間前までに都道府県知事を経由して農林水産大臣へ届け出る必要があります。無届のまま営業すると罰金の対象です。飼料製造管理者についても同法第25条の届出が求められます。譲渡の際は、これらの届出名義や有資格者の在籍をどう承継するかが、取引成立の前提になります。下表で株式譲渡と事業譲渡の違いを整理します。
| 比較項目 | 株式譲渡 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
| 製造業者届出 | 会社が主体のまま残り、原則そのまま継続 | 譲受側で届出の出し直しが必要になる場合がある |
| 飼料製造管理者 | 在籍する有資格者ごと包括的に引き継がれる | 有資格者の再配置や新たな確保が論点になる |
| 原料調達・取引口座 | 商社や農協との契約も会社に紐づき継続しやすい | 主要取引先との再契約・与信の組み直しが要る |
| 価格安定制度の積立 | 会社の積立持分がそのまま承継される | 制度上の地位の扱いを個別に確認する必要がある |
スキーム選択が承継に与える影響
株式譲渡なら会社が許可主体のまま残るため、製造業者届出や取引関係は包括的に引き継がれます。一方、特定の工場や製品ラインだけを切り出す事業譲渡では、届出や契約の組み直しが避けられません。畜産農家への供給を止められない事業だけに、手続の空白を作らない設計が肝心です。多くの中小配合飼料メーカーで株式譲渡が選ばれるのは、この承継のしやすさが理由の一つです。
当社が関わる相談では、飼料製造管理者の在籍状況と製造業者届出の名義を最初に確認し、譲受候補に引き継げる形を一緒に設計します。許認可の承継を曖昧にしたまま話を進めると、最終局面でつまずく案件を何度も見てきました。届出名義の切り替え時期を譲渡日と合わせる段取りまで詰めておくと安心です。
譲渡価格を見る配合飼料メーカーならではのポイント
飼料製造業の株価評価は、薄利という収益構造を踏まえて読む必要があります。一般的な計算式から入ります。
売上原価9割の構造と年買法による評価
株式評価には純資産法やDCF法、類似会社比較法がありますが、中小の配合飼料メーカーで最もよく使われるのが年買法(年倍法)です。算式は時価純資産にのれんを加える形で、純資産が薄くても安定した供給先や独自の配合技術があれば上乗せが見込めます。売上原価が約9割という業界では、わずかな歩留まりや配合の工夫が利益を左右します。営業利益率、設備の稼働率、主要農家との継続取引比率といった指標が、のれんの厚みを見るうえでの手がかりになります。
価格安定制度の積立金と財務指標の読み方
配合飼料価格安定制度では、メーカーにも積立金の拠出が求められ、その増減が企業業績に影響します。決算書を見る際は、この基金負担金の動きや、為替・原料相場による在庫評価の振れを丁寧に確認します。素朴な疑問として「赤字の年は安く見られるのか」とよく問われますが、原料高による一時的な利益圧迫か、構造的な競争力低下かを切り分けることが先です。売却の相場観は、こうした業界特有の変動を均してから見ます。
支援現場では、価格安定制度の積立持分や原料の長期調達契約を、株式評価の前提として早い段階で洗い出します。これらは決算書の数字だけでは見えにくく、財務デューデリジェンスでも論点になりやすい部分です。
飼料製造業の売却で買い手になりやすい相手
譲受候補は、業界の三つの系統と、その周辺に広がります。誰がなぜ手を挙げるのかを押さえます。
同業の三系統と隣接する畜産・食品
配合飼料メーカーは商社系、全農系、独立系に大別されます。同業の打診先は、製造能力や販売エリアの補完、原料調達のスケールメリットを狙って関心を持ちます。全農系は組織再編の延長で、独立系は商社や畜産との連携を狙ってと、系統ごとに動機の色合いが異なります。隣接では、養鶏や養豚を営む畜産事業者が飼料を内製化する形での取得、食肉や鶏卵のメーカーが川上を取り込む形での取得も見られます。下表に主な類型と動機を整理します。
| 買い手の類型 | 主な狙い |
|---|---|
| 同業の配合飼料メーカー | 販売エリアと工場網の補完、原料調達の共同化による原価低減 |
| 畜産事業者 | 飼料の内製化による品質管理とコスト安定、生産の垂直統合 |
| 食品・商社 | 食肉・鶏卵などの川上確保、原料輸入機能との一体運営 |
| 投資ファンド | 地域シェアを持つ事業の取り込みと再編の起点づくり |
投資ファンドと異業種からの関心
地域に根を張る配合飼料メーカーは、安定した供給先を抱える点が評価され、投資ファンドの関心も集めます。異業種からは、食料安全保障や国産飼料への注目を背景に、新規参入の足がかりとして見られることがあります。資本業務提携から段階的に関係を深める進め方も選択肢です。どの相手と組むかで、従業員の処遇や畜産農家への供給責任の引き継ぎ方が変わります。
よくある相談として、特約店や農協との取引口座を守れるかという不安を伺います。みつきコンサルティングでは、主要取引先の集中度と契約条件を初期に確認し、供給を止めない承継の道筋を譲渡オーナーと描きます。支援実績で積み上げた畜産・食品分野の知見が、この場面で生きます。
完全成功報酬
M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。
着手金・中間金
0円
月額報酬
0円
成功報酬
成約時のみ
※レーマン方式
飼料製造業の会社売却でよくある質問
配合飼料メーカーの譲渡を検討する経営者から寄せられる、業界ならではの質問をまとめます。
株式譲渡であれば、会社が積み立ててきた持分は原則そのまま承継されます。事業譲渡の場合は制度上の地位の扱いを個別に確認します。積立金の残高や直近の補填実績、通常補填と異常補填それぞれの拠出状況は、株式評価の前提として整理しておくと話が早く進みます。
設備の年齢や更新の要否は、評価の重要な材料です。老朽化が進んでいても、立地や供給先との関係に価値があれば、のれんとして上乗せできる余地があります。農林水産省の資料でも需要は畜種ごとに動いており、どの畜種向けに強みを持つかも織り込んで、設備更新を前提に価格を組み直すケースもあります。
有資格者の在籍は、製造を続けるうえでの前提です。承継先に資格者がいない場合は、在籍者の引き留めや講習受講での確保を取引条件に織り込みます。設置義務の対象となる製造品目かどうかでも扱いが変わります。現場では、誰がどの資格を保持しているかを最初に確認します。
株式譲渡なら契約は会社に紐づくため継続しやすいです。ただし大口取引には地位譲渡の通知や同意条項が付くことがあり、契約書の確認が欠かせません。調達価格や数量の条件は譲渡価格にも響くため、為替や相場の前提とあわせて早めに洗い出します。
まとめ|飼料製造業の売却で重視すべき実務論点
飼料製造業の会社売却では、原料の輸入依存と売上原価の高さ、配合飼料価格安定制度の積立金、飼料安全法に基づく製造業者届出と飼料製造管理者の承継が、価格と取引成立を左右します。畜産農家への供給責任を背負うオーナーほど、引き継ぎ方への不安は大きいものです。
みつきコンサルティングは、財務・税務に強いM&A仲介会社です。中小企業のM&A仲介の実績経験が豊富で、許認可や取引承継の論点にも踏み込んで支援します。飼料製造業の会社売却なら、みつきコンサルティングへご相談ください。
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著者

- 名古屋法人部長/M&A担当ディレクター
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人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士
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