アミューズメント施設の売却は、風営法の5号営業許可を引き継げる手法を選べるかと、プライズ機やメダル機の実際の価値をどう示せるかで結果が変わるもの。機器の入替や両替機の更新、入居先との契約に頭を悩ませるオーナー経営者に向けて、譲渡価格の目安や譲受企業の顔ぶれ、手続の注意点について解説します。

「店舗とゲーム機をまとめて譲れば、許可も一緒に移るはず」と考えて相談に来られる社長は少なくありません。実際には、風営法の許可は手法しだいで引き継げず、機器の価値も帳簿どおりには評価されないもの。ゲームセンターやボウリング場などのアミューズメント施設を営み、会社売却を検討し始めた経営者の方へ、許可の承継、機器と景品の評価、商業施設との契約で起こりがちなつまずきと備え方をお伝えします。
プライズ人気の陰で集約が進むアミューズメント施設業界
売上は回復したのに、倒産や廃業を選ぶ中小のゲームセンターは増えてきたという食い違い。そこに、M&Aという選択肢に目を向ける会社が多い理由があります。
プライズゲームが売上の約7割を占める収益構造
日本アミューズメント産業協会の実態調査によると、2024年度のクレーンゲーム売上は3,918億円で、前年度から17.7%伸びました。ゲームセンターの売上に占めるプライズゲームの比率は68%に達し、2015年度の44%から大きく上昇しています。かつての主役だったビデオゲームやメダルゲームは比重を下げ、店舗の稼ぎ頭は景品を取るゲームへと移りました。この変化は、売却時に譲受企業が店舗のどこを見るかにも直結します。
倒産・廃業の増加と大手グループへの集約
帝国データバンクの調査(2024年4月公表)では、2023年度に倒産・廃業したゲームセンターの運営会社は18件と、過去5年で最も多くなりました。売上100円あたりの営業利益は平均6円。硬貨の両替手数料や電気料金、筐体と景品の値上がりが、薄い利益をさらに削っています。体力のある大手が店舗網を広げる一方で、中小は単独での投資に限界を感じ始めているところ。この二極化が、同業への売却を現実的な選択肢に押し上げました。
平和堂グループのユーイングがGENDAの傘下に入った例
GENDAは2025年4月24日、平和堂の子会社で、関西と中部に「室内ゆうえんちユーイング」など13店舗と、カプセルトイ売場など小型の設置場所86か所を持つユーイングの全株式を取得すると発表しました。目的はアミューズメント施設事業の拡大。店舗数の増加による機器と景品の購買力向上、限定プライズの投入、人的資源やDXの知見の共有による運営の効率化を、シナジーに挙げています。
売却の引き金になりやすい3つの出費と契約
親族や社員への事業承継が難しいという事情に加え、この業種には特有の引き金があります。機器の入替、現金まわりの設備、入居する商業施設の都合の3つ。どれも先送りするほど資金と時間を奪い、価格の交渉でも不利に働きやすいものばかり。会社を売りたいと思い始めた段階で、それぞれがいつ表面化しそうかを書き出してみてください。手元の資金で乗り切れるうちに動き出した会社ほど、売り時も相手も選びやすくなります。
メダル機や大型筐体の入替にかかる投資
人気機種の入替は、集客を保つための宿命のようなもの。大型のメダル機や新作のビデオゲーム機は1台あたりの価格が高く、筐体の値上がりも続いています。メダルゲームの売上が縮むなか、高額な入替を自社の借入で続けるべきか。社長の個人保証が膨らむ前に、資本力のある会社へ託すという決断も、前向きな選択肢のひとつ。
新紙幣対応の両替機と硬貨の手数料
2024年7月の新紙幣発行に合わせ、多くの店舗が両替機の入替や改修を迫られました。100円硬貨を大量に扱う業態だけに、金融機関で両替や預け入れをする際の手数料も積み重なります。キャッシュレス決済に対応した機器へ切り替えれば、今度はその投資が必要になるという悩ましさ。売上を直接生まない設備への出費が、小規模な会社ほど重くのしかかる構図。
入居する商業施設の改装・閉店と定期借家の満了
ショッピングセンターに入居する店舗では、施設側の改装や閉店、更新のない定期借家契約の満了が、そのまま営業の終わりにつながりかねません。再契約の条件として内装の一新や賃料の見直しを求められ、投資を回収できるか迷う場面も出てきます。退店か、店舗ごと大手に引き継いでもらうか。契約の残り期間があるうちに動くほど、選べる道は広がります。
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風営法5号営業の許可を引き継げる売却手法の選び方
店舗だけを譲れば許可もついてくると思い込んだまま交渉が進み、終盤になって取り直しに気づく失敗。アミューズメント施設の売却で、現場が最も避けたい展開のひとつ。
会社分割は承認で承継、事業譲渡は新規の取り直し
ゲームセンターの営業は、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)で5号営業に分類され、都道府県公安委員会の許可が要ります。会社ごと譲る株式譲渡なら、許可を持つ会社が変わらないため営業を続けられます。会社分割や合併は、事前に公安委員会の承認を受ければ許可の地位を承継できる仕組み。店舗や設備を個別に移す事業譲渡には承継の規定がなく、譲受企業が許可を取り直すことになります。手法ごとの扱いは、表中のとおり。
| 売却の手法 | 風営法の許可の扱い | 主な手続 | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| 株式譲渡 | 会社が許可を持ち続けるため、そのまま営業できます | 役員などが替わる場合、公安委員会へ変更を届け出ます | 新任の役員が欠格事由に当たると、許可の取消しにつながるおそれがあります |
| 会社分割 | あらかじめ公安委員会の承認を受ければ、分割先の会社が地位を承継します | 分割の効力が生じる前に承認を申請します | 承認の時期から逆算して、分割の日程を組みます |
| 合併 | あらかじめ承認を受ければ、存続する会社などが地位を承継します | 合併の前に承認を申請します | 譲受企業が自社へ吸収する場面で使われます |
| 事業譲渡 | 承継の規定がなく、許可は引き継げません | 譲受企業が新たに許可を申請します | 許可が下りるまで営業できず、立地や構造の基準も改めて審査されます |
アミューズメント施設7店舗が吸収分割で移った例
GENDAは2024年11月22日、子会社のGENDA GiGO Entertainmentが、リユースやアニメ関連の事業も営むドラマから、アミューズメント施設7店舗を吸収分割で承継すると発表しました。双方の利益成長を目的に、前述のユーイングの例と同じく、運営の効率化や購買力の向上を見込んでいます。許可を持つ店舗を、会社から切り出して譲る場面で分割が選ばれた一例。
事業譲渡で許可を取り直すときに壁となる立地の基準
新たな許可の審査では、学校や病院、保育所などの保全対象施設からの距離、用途地域の制限、店内の見通しや照明といった構造の基準が、申請時点の条件で確かめられます。開業した頃は問題がなくても、その後近くに保育所ができていれば、同じ場所で許可が下りない可能性も。店舗単位の売却を考えるなら、所轄の警察署や行政書士を通じて、再取得の見込みを早めに探っておきたいところです。
商業施設の一角にあるゲームコーナーと10%の目安
スーパーや商業施設の一角に置くゲームコーナーは、遊技設備を置く部分の面積が、客の利用する床面積の10%以下であれば、風営法の許可が要らない場合があります。許可のない売場を多く抱える会社では、譲渡後に機器を増やした途端、この目安を超えるおそれも。設置場所ごとの面積の測り方を、図面と一緒に残しておくと安心です。
譲受企業が売場を広げる計画を持つとき
譲受企業が売場の拡張や機種の追加を考えているなら、その時点で許可が要ることも。許可の取得を誰の負担で、いつまでに進めるかを最終契約に書き込んでおけば、引渡し後のもめごとを防げます。
株式譲渡でも欠かせない役員変更の届出と管理者の確認
株式譲渡であれば手続が何も要らない、というわけではありません。譲受企業から役員を迎えると、公安委員会への変更の届出が必要に。新任の役員が、許可を受けられない人の条件である欠格事由に当たれば、許可そのものを取り消されるおそれもあります。営業所ごとに選ぶ管理者も見落としやすい部分。店長が管理者を兼ねる店舗では、店長の退職や異動が、そのまま届出の手続につながります。
許可証と賃貸借契約を最初にそろえる理由
アミューズメント施設の売却相談で、みつきコンサルティングが早い段階でお願いするのが、店舗ごとの風俗営業許可証と、入居先との賃貸借契約書の写しです。分割で店舗を切り出すなら、公安委員会の承認と家主の承諾を同時に追いかけることになり、片方が遅れると日程全体が崩れるため。当社が仲介した遊技場の案件でも、吸収分割で対象店舗を切り出す際、運営主体の交代に不安を抱いた家主から事前承諾を得るまで、粘り強く説明を重ねました。
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台売上・景品原価・賃料比率が動かす譲渡価格の目安
年商が同じ2つの店舗でも、譲渡価格に大きな差がつくのはなぜか。答えは、1台ごとの稼ぎと景品の原価、家賃の重さにあります。
年買法をアミューズメント施設に当てはめる際の注意点
価格の目安づくりには、中小企業の実務で広く使われる年買法(年倍法)が向いています。資産と負債を今の値段で評価し直した時価純資産に、数年分の利益にあたるのれんを足す方法で、算式は時価純資産+のれん。将来の収益を割り引くDCF法や、上場企業の株価と比べる類似会社比較法は、規模の大きな案件で補助に使う程度。ゲームセンターでは、機器の中古相場や、入居先へ預けた保証金の返還条件しだいで、時価純資産が帳簿の数字から大きく動きます。
時価純資産で見直される機器・保証金・原状回復
帳簿上は償却を終えたプライズ機でも、中古市場で値が付くことがあります。逆に、部品の供給が終わったビデオゲーム機は、簿価が残っていても価値を認められにくいもの。保証金は、契約で差し引かれる償却分を除いた返還見込み額で評価され、退店時の原状回復費用は負債として見込まれます。どちらも契約書と見積がそろっていれば、金額の根拠を示しやすい。
機種別・店舗別にそろえたい6つの指標
企業価値評価の土台になるのは、店舗ごとの収益がこの先も続くかどうかです。下表に、アミューズメント施設の譲受企業がとくに注目する指標と、手元にそろえたい資料を並べました。決算書だけでは見えなくても、どれも店舗の管理データから作れる数字。プライズの比率と景品原価率は仕入れ方ひとつで動くため、数字に説明を添えて示すと誤解を防げます。直近3期分を、機種別・月別に用意しておくのが理想。
| 指標 | 譲受企業の見方 | 用意したい資料 |
|---|---|---|
| 1台あたりの売上 | 機種ごとの稼ぎと、入替の効果が出ているかを見ます | 機種別・月別の売上データ |
| プライズ比率と景品原価率 | 売上の柱と粗利の安定度、景品を調達する力を測ります | 景品の仕入台帳、原価率の推移 |
| メダル・ビデオゲームの構成 | 縮小が続くジャンルにどこまで頼っているかを確かめます | 機器台帳、ジャンル別の売上 |
| 賃料比率 | 売上歩合を含む家賃の重さと、更新後の条件を見通します | 賃貸借契約書、賃料の明細 |
| 機器の経過年数 | 次の入替時期と、引継ぎ後に必要な投資額を見積もります | 取得日と所有・リースの区分を記した機器台帳 |
| 店舗別の営業利益 | 不採算店の有無と、閉店する場合の費用をつかみます | 店舗別の損益、原状回復の見積 |
機器台帳の作り直しから始まる価格の準備
価格の準備は、機器台帳の作り直しから始まります。全機器を自社所有、リース、売上を機器メーカーと分け合う契約の3つに分け、取得時期と直近の売上を1行ずつ並べる作業。税理士法人グループの当社では、この台帳を決算書の固定資産台帳や、機器などにかかる償却資産の申告書とも突き合わせます。廃棄した機器が帳簿に残っていたり、申告から漏れた機器が見つかったりすれば、売却相場を語る前に手当てが要るため。台帳が整った会社ほど、のれんの交渉に時間を割けるようになります。
景品調達と機器投資から考える売り手のメリット・デメリット
長年並べてきた機械や店の名前が変わる寂しさと、投資の重荷を下ろせる安堵。この業種の売却には、その両方がついてまわるもの。
大手の傘下に入ると何が変わるか
アミューズメント施設の譲渡オーナーにとっての主な損得を、下表で組み合わせて示しました。大きいのは、機器と景品を大手の購買力で調達できるようになり、入替投資の判断を資本力のある会社に託せる点です。その代わり、店名や機種の構成、景品の方針は、譲受企業の基準に寄っていくのが通例。どちらを重く見るかは、社長が何を残したいか次第。譲れない条件を言葉にする作業は、業界に通じたM&A仲介の担当者と一緒に進めると、漏れを防げます。
| 譲渡オーナーのメリット | 譲渡オーナーのデメリット |
|---|---|
| 機器入替の負担を手放せる 大型メダル機や新作機の更新を、譲受企業の投資計画で進められます。 | 機種構成の決定権が移る 常連客が好む古い機種が、効率を重んじて入れ替えられることがあります。 |
| 景品の調達力が上がる 人気プライズや限定景品を、グループの購買力で仕入れやすくなります。 | 店名や看板が変わる 地域で親しまれた屋号が、グループのブランドに統一される場合があります。 |
| 個人保証から外れる道が開ける 機器や内装の借入に付いた社長の保証を、金融機関との調整で外せる可能性が高まります。 | 交渉中の情報漏れが怖い 噂が広がると、アルバイトの離職や常連客の動揺を招きかねません。 |
| 店舗と雇用を残せる 閉店ではなく承継を選ぶことで、店長やアルバイトの職場を守れます。 | 働き方のルールが変わる シフトや評価の仕組みがグループ基準に合わせられ、戸惑う社員も出ます。 |
| 退店にかかる費用を避けられる 廃業と違い、原状回復や機器の処分にかかる費用を自ら負わずに済みます。 | 価格が希望に届かないことも 償却が進んだ機器の多い店舗は、時価純資産が伸びにくくなります。 |
| 収益力を価格に映せる 機器を中古で売り払うだけの清算と比べ、店舗の稼ぐ力をのれんとして受け取れます。 | 引継ぎ期間の拘束 譲渡後も一定期間、顧問などの形で残るよう求められることがあります。 |
店名と機種構成をどこまで残すかの交渉
デメリットの多くは、条件の組み立てで和らげられます。屋号を一定期間そのまま使う、地域の常連客が多い機種を当面残す、店長の処遇を維持するといった約束を、基本合意の段階で示しておくやり方。ただ、条件を重ねすぎると譲受企業の運営の自由を縛り、価格に跳ね返ることもあります。残したいものに優先順位をつけ、上位の2つか3つに絞って伝えるのが現実的な線。何を手放せるかを先に決めておく社長ほど、交渉の場で迷いません。
アルバイトの多い店舗で従業員と常連客に伝える順番
ゲームセンターは学生やフリーターのアルバイトが多く、噂が広がりやすい職場です。従業員への説明は最終契約の後に行い、店長と機器の保守を担う社員から始めて、アルバイト全員へと段階を踏むのが基本。管理者を兼ねる店長や修理のできる社員が辞めると、営業そのものが揺らぐためです。常連客への案内は、譲受企業と文面をすり合わせてからにしたいところ。説明の順番を誤ると、引継ぎ直前の離職や客離れを招きかねません。
ロールアップ型の大手から異業種まで広がる買い手の顔ぶれ
以前なら閉店を選ぶしかなかった規模の会社にも、いまは譲受の打診が届きます。同業の小さな会社を続けて取得し、規模を広げる大手が現れたため。
立地と客層で見当がつく買い手の類型
譲受企業の候補は、下表の5つの類型に分けられます。どの類型が関心を示すかは、店舗の立地と客層からおおむね見当がつくもの。商業施設に入るファミリー向けの店舗なら大手運営会社や小売系、駅前で若年層が集まる店舗なら機器メーカー系、駐車場の広い郊外の大型店ならボウリング場などを営む複合施設系が、それぞれ有力な候補になります。自社の店舗がどこに当てはまるかを先に見ておくと、打診の順番を決めやすくなるはず。
| 譲受企業の類型 | アミューズメント施設を求める理由 | 関心を持たれやすい店舗 |
|---|---|---|
| 店舗網を広げる大手運営会社 | 店舗が増えるほど機器と景品をまとめて仕入れられ、運営の仕組みも横に広げられます | 商業施設に入るプライズ中心の店舗、地域に複数店を持つ会社 |
| 機器メーカー系の運営会社 | 自社の機器や景品を置く直営の場を増やし、遊ぶ人の反応を開発に生かせます | 駅前や繁華街で若年層が集まる店舗 |
| 小売・ホビー関連の事業会社 | 物販の売場と遊びの場を組み合わせ、来店のきっかけを増やせます | カプセルトイやキッズ向け遊具を備えた店舗 |
| 複合施設の運営会社 | ボウリングやカラオケと組み合わせ、1人あたりの利用額を伸ばせます | 駐車場の広い郊外の大型店 |
| 投資ファンド | 複数の運営会社を束ねて規模を高め、数年後に次の譲受先へ引き継ぎます | 管理体制が整い、店舗別の数字を示せる会社 |
マッチングサイトに載せる前に決めたい情報の出し方
M&Aのマッチングサイトには、ゲームセンター1店舗やボウリング場、体験型の遊戯施設まで、数十万円から数億円超の案件が並びます。小規模な案件は店舗単位の事業譲渡が多く、譲受企業が許可を取り直す前提の取引になりがち。会社ごと譲る規模の中小企業M&Aなら、公開の場に載せず、候補先へ個別に打診するほうが向いています。商業施設に入る店舗の場合、出店者の動きが施設側へ伝わると、契約更新の交渉に響きかねないのが実情。打診の前に、仲介会社の一覧で支援機関の登録状況や実績を見比べておくと安心。
地域に空白を抱える会社への打診が効く理由
当社が譲渡側の助言を担った千葉の遊技場運営会社の案件では、3店舗のうち2店舗を会社分割で切り出し、千葉へ初めて進出する大手に譲りました。その地域に店舗を持たない会社ほど、立地の整った店舗をまとめて得られる価値を重く見ます。アミューズメント施設でも、同じ商圏の同業だけを相手にすると、条件を比べる相手が見つからないことも。進出したい地域に空白を抱える運営会社まで打診先を広げれば、交渉の選択肢は増えていきます。
買い手のデューデリジェンスで問われる賃貸借と機器契約、景品の上限
基本合意のあとに始まる譲受企業のデューデリジェンスでは、店の裏側まで光が当たります。指摘の多くは、譲渡オーナーが先回りして把握できるものばかり。
商業施設の賃貸借契約と原状回復の見積
入居型の店舗で最初に読まれるのは、賃貸借契約の残り期間と、株主や役員が替わったときの扱いです。株式譲渡であっても、支配権の変更に家主の承諾を求める条項があれば、承諾なしの譲渡は契約解除の理由になりかねません。売上に応じて家賃が増える歩合賃料の率、定期借家なら再契約の見通し、退店時の原状回復の範囲も点検の対象。床の補強や電気容量の増設が絡むと、原状回復の費用は思いのほかふくらみます。
機器のリース・割賦とネットワーク対応機の契約
機器の契約では、リースや割賦の名義変更に貸主の承諾が要るか、中途解約で残債の一括払いを求められないかが確認されます。オンラインで対戦や成績を管理する機種は、メーカーとの通信やサービスの契約があってこそ動くもの。1プレイごとに売上の一部を支払う分配型の契約も少なくありません。他社の店舗に機器を置かせてもらう設置契約があれば、契約期間と売上の配分率が評価の土台。書面のない口約束の設置先は、引継ぎの段階で失われやすい点に注意が必要です。
引継ぎ直前に見つかる筐体の不具合
支援の現場で意外に多いのが、引継ぎの準備中に、知らされていなかった筐体や基板の不具合が見つかる場面です。修理費の負担をめぐって双方の関係が冷え込み、決済が遅れる例も。当社では、故障中の機器や修理待ちの基板を一覧にして早めに開示し、価格の調整と、会社の状態を事実だと約束する表明保証のどちらで手当てするかを、先に決めておくよう勧めています。
景品の上限と年少者の入場管理、行政処分の履歴
風営法の遵守状況も、表明保証の対象として細かく調べられる部分。クレーンゲームの景品は、警察庁の解釈運用基準で小売価格がおおむね1,000円以下に限られ、18歳未満の客を午後10時以降に入れることはできません。高額な景品の提供や年少者の深夜入場で、公安委員会から改善を命じられる指示処分を受けた履歴があれば、譲受企業は再発防止の体制まで確かめるはず。処分歴は伏せるより、原因と改善策をあわせて先に開示するほうが、交渉をこじらせない近道。
完全成功報酬
M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。
着手金・中間金
0円
月額報酬
0円
成功報酬
成約時のみ
※レーマン方式
アミューズメント施設のM&A・売却でよくある質問
相談の場で、アミューズメント施設のオーナーからよく寄せられる質問を4つ取り上げます。
預かりメダルは換金できないため、価格への直接の影響は限定的。ただ、預かり枚数の多い常連客は店の大切な財産で、譲受後に会員の仕組みを切り替えるなら、移行の費用と手間を見込む必要があります。自社で発行するプリペイドカードがあれば、未使用残高と資金決済法の届出の要否も確認の対象。現場では、会員数と預かり残高の推移を一覧にし、買い手が客層の厚みを読めるよう準備します。
ボウリング場は風営法の許可の対象外ですが、ピンセッターやレーンといった大型設備の状態が価格を大きく動かします。メーカーの保守契約が続くか、交換部品を確保できるかは、買い手がほぼ必ず確かめる点。リーグ戦や会員の継続利用も、売上の安定を示す材料になります。建物が自社所有なら、耐震性や消防設備の点検記録も確認の範囲。現場では、設備の年式と改修履歴、保守契約書を最初にそろえていただきます。
あわてて処分する必要はないものの、旬を過ぎたキャラクター景品は時価が下がり、時価純資産の計算で減額されやすくなります。投入できる見込みのある在庫と、事実上売れ残った在庫を分けて示せば、評価をめぐる話し合いも短くまとまりやすい。処分で損失を出すと直前期の利益が下がり、のれんにも響く点に注意。現場では入荷時期別の在庫表を作り、処分の時期を買い手と相談しながら決めます。
カプセルトイの販売機は風営法の許可の対象外のため、許可承継の心配はあまりありません。評価の中心は、人気シリーズを安定して仕入れる取引先、1台あたりの回転、出店先との契約期間。日本アミューズメント産業協会の調査では、施設でのカプセルトイの売上は2023年度に前年度の約1.9倍となり、関心を寄せる買い手も増加傾向。みつきコンサルティングでは、機器ごとの売上と仕入先の一覧から確認を始めます。
アミューズメント施設のM&A・売却支援はみつきコンサルティング
アミューズメント施設の売却では、風営法の許可を引き継げる手法の選択、機器と景品の時価、商業施設や機器メーカーとの契約が、価格と日程を形づくります。長く守ってきた店を誰に託すか、迷うのは自然なこと。準備の順番さえ押さえれば、店と従業員を残す道筋は描けるもの。
みつきコンサルティングは、税理士法人グループに属する、財務・税務に強いM&A仲介会社です。中小企業のM&A仲介の実績経験が豊富で、M&Aに特化した専門スタッフが仲介会社選びの段階からお手伝いします。アミューズメント施設の会社売却なら、みつきコンサルティングへご相談ください。
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著者

- 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
-
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士
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