転職エージェントの売却|決定単価と返戻金から読み解くM&Aの値付け

返戻金を差し引いた決定単価と、社長が抜けた後も続く決定の数。転職エージェントの売却価格は、この2つで大きく動きます。集客費の高騰や開示義務の増加に頭を抱えるオーナーのために、有料職業紹介事業許可を途切れさせない手法、職業安定法の点検項目、派遣大手やHRテック企業まで広がる譲受候補をまとめました。

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目次
  1. 3万を超える有料職業紹介事業所と、転職エージェントが売却を選ぶ事情
    1. 手数料収入は約9,835億円、就職実績のある事業所は半数に届かず
    2. 決定は出ているのに、オーナーが売却を考える4つの事情
  2. 有料職業紹介事業許可を途切れさせないスキームの選び方
    1. 株式譲渡なら許可はそのまま、届出の段取りが肝心
    2. 事業譲渡や会社分割では、買い手の側に許可が要る
    3. キャリアアドバイザーの歩合規程と引き留めの条件
    4. 引退後もヘッドハンターを続けたい社長と競業避止
  3. 転職エージェントの価格は、社長が抜けた後の決定件数で見られる
    1. 返戻金と歩合の未払いが削る、年買法(年倍法)の目安
    2. 買い手が決定データから確かめる転職エージェントの指標
    3. 看護師やITエンジニアなど、領域の深さと自前の集客が評価を押し上げる
  4. 転職エージェントのM&Aで見落としやすい職業安定法の論点
    1. 集中指導監督で目立った、帳簿と明示の不備
    2. お祝い金と転職勧奨の禁止は、2025年から許可の条件に
    3. 求職者データベースは、氏名を出さずに中身を示す
  5. 転職エージェントを譲り受けたい企業は何を求めているのか
    1. 紹介を伸ばしたい人材派遣大手、ウィルグループとHR CAREERの例
    2. AIで採用を変えたいHRテック企業、PeopleXとルーセントドアーズの例
    3. 領域を補い合う同業と、複数社を束ねる投資ファンド
    4. マッチングサイトと仲介会社、買い手探しの窓口をどう選ぶか
  6. 転職エージェントの会社売却に関するFAQ
  7. まとめ|転職エージェントに精通したM&A仲介会社みつきコンサルティング
    1. 転職エージェントの会社売却の関連コラム
M&Aの基本や会社売却の進め方を電話相談|0120-169-256・24時間受付

決定1件の紹介手数料は、理論年収の30〜35%ほどとする例が多いとされます。大きな額が動く反面、入社後の早期離職があれば返戻金で目減りし、社長が自ら担ってきた決定は引退とともに途切れかねません。有料職業紹介事業許可の届出や求職者データの扱いも、会社売却の場面では価格と契約条件を動かす論点に。転職エージェント(人材紹介会社)の売却を考えるオーナー経営者に向けて、その備えをお伝えします。

3万を超える有料職業紹介事業所と、転職エージェントが売却を選ぶ事情

紹介手数料の総額は過去最高を更新しました。ところが市場の伸びとは裏腹に、M&Aでの承継を考え始める小さな転職エージェントのオーナーの姿も目立ちます。

手数料収入は約9,835億円、就職実績のある事業所は半数に届かず

厚生労働省が2026年3月に公表した2024年度の職業紹介事業報告の集計(速報)によると、民営の職業紹介事業者の手数料収入は約9,835億円で前年度比17.6%増、常用就職(4か月以上か期間の定めのない雇用での就職)1件当たりでは約103万円でした。ただ、報告を出した有料職業紹介事業所30,561のうち、就職実績があったのは13,946事業所。総務省の労働力調査(2025年平均の詳細集計)では、転職者が330万人と4年ぶりに減ったのに対し、転職等希望者は1,023万人に増えました。動きたい人は多いのに、実際の転職は横ばい。限られた求職者を、大手を含む3万の事業所が奪い合う構図です。

決定は出ているのに、オーナーが売却を考える4つの事情

相談の多くは、決定が出ていて利益も残る会社から寄せられます。それでも売却に気持ちが向くのは、紹介ビジネスの売上が、社長とキャリアアドバイザー(CA)という「人」に支えられているからです。設備も在庫も持たない分だけ身軽に見えても、社長の体力の衰えや主力の退職ひとつで、翌年の決定数は大きく揺らぐもの。会社を売りたいと考え始めた経営者から聞く事情は、おおむね次の4つに集約されます。

社長がトップコンサルタントのまま、引き継ぐ相手がいない

求人企業の人事責任者と長く付き合い、難しい案件を決めてきたのは社長本人。1人で求人企業と求職者の両方を受け持つ両面型の運営では、取引の関係も社長個人にひもづきがちです。子どもには別の仕事があり、身内への事業承継という選択肢がないまま60代に入る方も。社内に任せられる人が育つ前に、引退の時期だけが近づいてきます。相談の場では、よく伺う話です。

育てたCAが独立し、求人企業ごと離れていく

有料職業紹介事業の許可は、資産などの要件を満たせば少人数でも取得できます。経験を積んだCAが独立し、担当していた取引先企業との関係ごと離れていく話もよく耳にするところ。歩合を厚くして引き留めれば利益が薄くなり、新人を迎えても独り立ちするまでには時間がかかります。採用と育成の繰り返しで、社長がいつまでも現場を離れられない状態に。

スカウト媒体と求人広告の費用がかさみ、集客で大手に押される

求職者を集める手段は、スカウト型の転職サイトやSNS、求人広告が中心です。データベースの利用料やスカウトの送信費は重くなりがちで、会員基盤と広告予算を持つ大手が先に求職者へ声をかけます。企業が求職者に直接アプローチするダイレクトリクルーティングの広がりも、中小のエージェントには逆風。決定1件の手数料が上がっても、集客の費用がそれを上回る年さえあるのが悩みどころです。

手数料実績の公開など、開示と帳簿の事務がかさむ

2025年4月からは、上位5職種の平均手数料率を厚生労働省の人材サービス総合サイトで公開し、求人企業との契約に違約金の定めを置くなら、その内容を前もって明示する義務も加わりました。就職者数や6か月以内の離職者数、返戻金制度の開示は、2018年から求められてきたもの。帳簿の記載や許可の更新も含め、管理の手間は少人数の事業所ほど重くのしかかります。

▷関連:人材派遣・紹介業のM&A|許可の承継と登録者が支える譲渡事例

有料職業紹介事業許可を途切れさせないスキームの選び方

許可証は、いわば会社の運転免許です。持ち主が会社である以上、会社ごと譲るか事業だけを譲るかで、扱いはまるで違ってきます。

株式譲渡なら許可はそのまま、届出の段取りが肝心

会社ごと譲る株式譲渡なら、許可の名義人である会社そのものは変わりません。有料職業紹介事業の許可も、求人企業との基本契約も、CAとの雇用契約も原則として続き、紹介を止める期間も生じません。新たな許可の申請も不要です。ただ、経営陣が入れ替われば届出が要り、許可の更新が成約の前後に重なると手続が立て込みます。許可の有効期間は、更新後5年。残りの期間を把握し、届出の担い手と時期を最終契約までに決めておけば、引継ぎ直後に慌てずに済みます。

役員が替われば、登記事項証明書を添えて30日以内に届出

成約に合わせて取締役の顔ぶれが替われば、管轄の労働局を通じて変更を届け出ます。登記事項証明書を添える届出の期限は、変更から30日以内。代表者や役員の住所・氏名が変わる場合も対象に含まれます。届出の遅れは、行政の指導を受けるきっかけにもなりかねません。成約日と役員の就任日を決めた段階で、書類の準備にかかっておくと安心です。

社長が職業紹介責任者なら、後任の選任を急ぐ

小規模な転職エージェントでは、事業所ごとに置く職業紹介責任者を社長が兼ねているケースが目立ちます。退任するなら後任を選び、30日以内に届け出なければなりません。後任の条件は、成年に達した後3年以上の職業経験があり、5年以内に職業紹介責任者講習を受けていること。後継に据えたい社員がいるなら、講習を先に受けてもらうのが近道です。責任者1人が受け持てる従事者は、50人までです。

事業譲渡や会社分割では、買い手の側に許可が要る

拠点や特定の職種の紹介だけを切り出すなら、事業譲渡や、事業を別の会社へ切り分けて移す会社分割も選択肢になります。ただし許可は会社に付くもので、事業と一緒には移りません。受け皿となる会社が紹介の許可を持っているなら、新しい拠点の届出で足り、持っていなければ新規の申請から始めることに。合併などでは、効力が生じる日に許可が間に合うよう、前もって申請する扱いも認められています。拠点が増えれば財産的な条件も上がり、基準資産額(資産から負債を差し引いた額)は500万円に事業所数を掛けた額以上が必要。CAの転籍には本人ごとの同意が欠かせず、取引先企業とも契約を交わし直します。

転職エージェントの売却を支援する際、みつきコンサルティングでは、許可証の有効期間と更新月、職業紹介責任者の講習の受講日、人材サービス総合サイトに載っている事業所の情報を、最初の面談で突き合わせます。譲受企業が手数料率や返戻金規定をグループの基準にそろえる考えなら、届出制手数料の変更の届出、同サイトの掲載の差し替え、求人企業への説明の順番まで決めて、最終契約に書き込む段取り。事業譲渡を選ぶ場合は、譲受企業の事業所追加の届出が成約日に間に合うよう、資産要件の確認から逆算して日程を組みます。届出の遅れで紹介が止まる事態を防ぐための備えです。

キャリアアドバイザーの歩合規程と引き留めの条件

紹介会社の給与は、固定給に決定件数や手数料に応じた歩合を上乗せする形が少なくありません。株式譲渡なら雇用契約も歩合の規程もそのまま続きますが、譲受企業の制度に合わせて改める話が出ると、稼ぎ頭のCAほど敏感に反応するもの。退職後に一定期間、担当した求人企業へ働きかけないと約束する誓約書も、期間や範囲によっては効力を否定されることも。引き留めの決め手は、書面より処遇と役割。成約後の評価制度を最終契約の前に確かめ、主要なCAに残ってもらうための手当てを譲受企業と話し合っておくと安心です。

引退後もヘッドハンターを続けたい社長と競業避止

売却後も、個人のヘッドハンターとして古くからの求人企業を手伝いたい。そう考える社長は意外と多くいます。事業譲渡では、特約がない限り、譲渡した会社が同じ市町村と隣接する市町村で20年間、同じ事業を控えるという会社法の定めがあり、株式譲渡でも契約で競業避止を取り決めるのが通例です。紹介の仕事はどこからでも営めるため、地域より「どの求人企業と、どの職種で」の線引きが交渉の中心に。続けたい仕事があるなら早い段階で切り出し、条件交渉に慣れた相談先を仲介会社の一覧から見比べておくのも一案です。

▷関連:サービス業のM&A|人手不足と許認可承継で変わる譲渡事例と相場

転職エージェントの価格は、社長が抜けた後の決定件数で見られる

決定単価は?返金は何件?面談でこう聞かれ、決算書をめくっても答えにたどり着けない場面があります。初めての売却で起こりがちな、小さなつまずきです。

返戻金と歩合の未払いが削る、年買法(年倍法)の目安

目安の価格を手早くつかむ方法としてよく使われるのが、年買法(年倍法)です。会社の時価純資産+のれん(数年分の利益)という算式で、おおよその水準を出します。時価純資産は、資産と負債を時価で見直した差額のこと。将来の収益から逆算するDCF法などの企業価値評価を併せて使う場面も。オフィスとパソコンがあれば営める転職エージェントでは、価格の多くを利益の側が占めます。決定の売上を入社日で計上しているか、返戻金の見込みを負債に載せているか、CAへの歩合の未払いが漏れていないか。こうした点を直した後の利益こそが、価格の土台です。

買い手が決定データから確かめる転職エージェントの指標

入社後すぐの退職で返金が続けば、決定単価が高くても手元に残る売上は目減りします。だからこそ譲受企業は、合計の売上より、決定1件ずつの中身に目を向けるもの。下表に、転職エージェントの売却で求められやすい指標を、算出の仕方と価格への効き方とあわせて掲げました。人材サービス総合サイトで公開している早期離職の数字と比べられることもあるため、社内の集計と食い違いがないか、事前に確かめておきましょう。

指標算出の仕方価格への効き方
返金後の決定単価返戻金を差し引いた手数料の総額÷決定件数年収の高い層や専門職を扱うほど高く、のれんの根拠になりやすい
6か月以内の離職率と返金率無期雇用で入社した人のうち6か月以内に辞めた人の割合
返金額÷手数料の総額
高いほど売上の実質が目減りし、価格の調整を求められやすい
社長の決定比率社長が担当した決定件数÷全決定件数高いほど、引継ぎの期間や成果連動の対価を条件に求められやすい
CA1人当たりの年間決定数CAごとの決定件数を在籍期間で年換算人による差が小さいほど、仕組みで決めている会社と映る
自社経由の登録者比率自社サイトや紹介経由の新規登録÷全新規登録媒体費に頼らず集客できる会社は、利益が続く根拠を示しやすい
売上上位10社への集中度と取引年数上位10社からの手数料÷手数料の総額
上位10社との平均取引年数
1社の採用停止で売上が落ちる危うさを測る
推薦から入社までの歩留まり書類推薦→面接→内定→入社の各段階の通過率マッチングの精度と、内定承諾まで導く力を映す

社長の決定がどれだけ残るかを示すため、当社では決定案件を担当者別に3年分さかのぼって並べ直します。返戻金を払った案件を差し引いた純額で見ると、社長の決定比率と、CAの決定単価が伸びているかどうかが一目で分かるためです。社長の比率が高い会社なら、成約後に一定期間残って求人企業を引き継ぐ計画と、その間の決定実績に応じて対価の一部を後から受け取るアーンアウトを組み合わせ、評価を落とさない形を探ります。税理士法人グループのM&A仲介会社として、役員報酬や交際費も平常の水準に引き直し、利益の説明に厚みを持たせるのが基本。

看護師やITエンジニアなど、領域の深さと自前の集客が評価を押し上げる

採用の難しい職種ほど、紹介の値打ちは上がります。看護師やITエンジニア、経営幹部に強いエージェントは決定単価が高く、求人企業との取引も長続きしがちです。評価を押し上げるもう一方の柱が、自前の集客。自社サイトの記事や、転職した人からの紹介で登録が集まる会社は、媒体費が膨らみにくく、譲受企業から見ても引き継ぎやすい資産です。領域と集客の強みを決定データで裏づけられれば、売却相場の目安より上の評価を引き出す材料にもなり、企業価値を語るうえでの説得力も増します。

転職エージェントのM&Aで見落としやすい職業安定法の論点

医療など3分野の有料職業紹介事業者に厚生労働省が行った集中指導監督では、2024年5月時点で約6割に違反が見つかりました。譲受企業の調査が職業安定法の運用に及ぶのも当然です。

集中指導監督で目立った、帳簿と明示の不備

対象となった1,152事業所のうち、違反が確認されたのは716事業所。件数で多かったのは、事業情報の明示・公開551件、帳簿書類の記載不備472件、手数料に関する指導409件、労働条件等の明示336件、返戻金の明示等273件でした。成約前に譲受企業が行うデューデリジェンスでも、求人管理簿・求職管理簿・手数料管理簿と請求書の突き合わせ、手数料表や返戻金規定の明示、人材サービス総合サイトの掲載内容が見られます。帳簿の保存期間は完結後2年間。抜けがあれば、売却前に埋めておくのが賢明です。

お祝い金と転職勧奨の禁止は、2025年から許可の条件に

求職者に社会通念を超える金銭を渡して登録を促すことと、紹介で無期雇用に就いた人へ就職から2年間転職を勧めること。どちらも職業安定法の指針で禁じられてきた行為で、2025年1月以降の新規許可や更新から、許可の条件として付されるようになりました。違反が続けば、許可の取消しも視野に入ります。調査で過去の求職者向けキャンペーンや、紹介した人へ再び声をかけた記録まで調べられるのはこのため。入社祝いや転職支援金といった名目の施策を行っていた会社なら、金額と期間、対象者を一覧にし、いつ見直したかを説明できるようにしておくと落ち着いて臨めます。

求職者データベースは、氏名を出さずに中身を示す

登録者のデータは転職エージェントの財産ですが、調査の段階で生の個人情報を渡す必要はありません。職業安定法は、求職者の個人情報を業務の目的に必要な範囲で集め、使うよう求めています。調査には、登録の時期や年齢層、職種、直近1年に面談した人数といった集計で応じるのが基本。株式譲渡ならデータの持ち主は会社のまま変わりませんが、事業譲渡で移すなら事情が異なります。個人情報保護法上は事業の承継として扱える場面がある一方、取得時に示した利用目的を超えて使うには本人の同意が要ります。

よくある相談の1つが、人材サービス総合サイトに載せている早期離職の数字と、社内の返金記録が合わないというもの。退職の連絡が求人企業から届かず、6か月以内の離職を把握しきれていないケースです。当社の点検では、過去2年分の手数料管理簿と請求・返金の記録を突き合わせ、ずれの原因と金額を開示前に洗い出します。数字の食い違いは、それ自体より、説明できないことのほうが評価を下げるもの。原因と再発防止の手当てを添えて示せば、譲受企業の受け止め方はむしろ落ち着きます。

転職エージェントを譲り受けたい企業は何を求めているのか

売り先は同業の人材紹介会社だけ。そう思い込んでいるオーナーは多いものの、実際に手を挙げる企業の顔ぶれは、もっと幅広いのが実情です。

紹介を伸ばしたい人材派遣大手、ウィルグループとHR CAREERの例

派遣を主力とする人材会社にとって、紹介事業は登録スタッフに正社員への道を示し、派遣先との取引を採用支援へ広げる手段です。2025年10月1日、人材派遣を中心とするウィルグループは、看護師や介護士、保育士などの紹介を手がけるHR CAREER(2020年設立、取引先約900社)を子会社にしました。ねらいは、医療・介護といった人材需要の伸びる領域で紹介の規模を広げること。HR CAREERが培った成約率の高い営業の運営手法を取り込み、派遣から紹介へ、事務職から専門職へと、働き手のキャリアの選択肢を増やすシナジーを見込んでいます。

AIで採用を変えたいHRテック企業、PeopleXとルーセントドアーズの例

人事向けのITサービスを手がける企業も、転職エージェントに目を向けています。2026年2月2日、AI面接などのサービスを展開するPeopleXは、ミドル・シニア層の転職支援やキャリア相談を営むルーセントドアーズの全株式を取得したと発表しました。背景にあるのは、人の採用・配置とAIの導入を総合的に判断する知見への需要。転職・採用支援にAIの技術を生かし、現場の知見を自社の製品へ反映させるほか、法人営業やマーケティングの一本化、管理部門の共通化による利益率の向上も見込んでいます。求人の照合や面談の準備を技術で効率化できる相手は、少人数のエージェントにとって心強い存在です。

領域を補い合う同業と、複数社を束ねる投資ファンド

同業の人材紹介会社も、もちろん有力な候補です。IT職に強い会社が医療職の紹介会社を迎える、首都圏の会社が地方の拠点を得るといった、自社に欠けた領域や地域を補う組み合わせが中心。求人企業の層が重なれば、提案の幅も広がります。投資ファンドは、複数の紹介会社を束ねて管理部門や集客を共通化し、規模を大きくするねらいで動く存在です。社長に一定期間の続投を求めることも多く、全株式を譲る前に資本業務提携、つまり一部の株式を譲って業務でも協力する形から関係を始める道も残されています。

マッチングサイトと仲介会社、買い手探しの窓口をどう選ぶか

中小企業のM&Aで相手を探す窓口には、当事者同士が直接やり取りするM&Aマッチングサイトと、間に立って交渉を支える仲介会社があります。マッチングサイトには売上数千万円規模の小さな紹介会社の案件も多く並び、自分のペースで候補を探せるのが利点。ただ、案件の概要から社名が推測されると、CAや求人企業に話が漏れるおそれも。社長依存の度合いをどう説明し、価格の根拠をどう示すか。そこまで手を貸してほしいなら、人材ビジネスの売買に慣れたM&A仲介に窓口を任せるのが現実的です。

打診先を選ぶとき、支援現場で最初に見るのは、譲受候補がいま手薄な職種と年収帯です。看護師の紹介に強い会社なら、医療職を持たない派遣会社やHRテック企業のほうが価値を感じやすいため。初回の打診は社名を伏せた1枚の概要にとどめ、秘密保持契約を交わした相手にだけ職種別の決定実績を見せていきます。京都で求人フリーペーパーを発行していた会社の売却を当社が仲介した際も、紙からネットへの移り変わりで苦戦が続くなか、デジタルマーケティングに強い全国規模の同業へ株式を譲り、譲渡後は求人情報へのアクセス数が大きく伸びました。集客の弱さを相手の力で補う発想は、転職エージェントにも通じます。

M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。


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転職エージェントの会社売却に関するFAQ

紹介ビジネス特有の事情から生まれる質問に、実務の目線でお答えします。

Q:医療・介護の紹介が中心です。手数料の上限規制の議論は、売却価格に響きますか?

響く可能性はあります。2026年3月、日本医師会と四病院団体協議会は、紹介手数料の上限規制の導入や返戻金制度の義務化を厚生労働大臣に要望しました。制度が決まったわけではないものの、買い手は手数料率が下がった場合の利益を試算するはず。現場では、医療機関向けの売上比率と取引の継続年数、返戻金規定の水準を確かめます。ほかの職種の売上が育っていれば、評価のぶれは抑えられます。

Q:ヘッドハンティングで着手金を受け取る依頼が多いのですが、どう評価されますか?

着手金は依頼の時点で入る収入のため、景気の波を受けにくい売上と受け止められやすいのが特徴です。ただし、計上の仕方次第。探索が成約日をまたいで続く依頼の着手金を受け取った時点で売上にしていれば、残りの役務は買い手側が担うことになり、その分を価格から差し引く話も出ます。現場で見るのは、着手金だけで終わった依頼の割合と、成功報酬まで進んだ比率、継続して依頼してくる企業の数です。

Q:成約の時点で、返戻金の対象期間が残っている決定はどう扱いますか?

価格の調整で手当てするのが一般的です。現場では、成約日時点で返戻金の対象期間が終わっていない決定を一覧にし、過去の返金率から見込み額を出します。そのうえで、見込み額を価格から差し引くか、対価の一部を一定期間後に支払う形にするかを話し合う段取り。返金を求められた場合に売り手と買い手のどちらが負担するかも、契約書に明記しておきます。

Q:社長個人の名義で使っているスカウト媒体やSNSのつながりは、売却したら引き継げますか?

会社名義で契約している媒体は、株式譲渡なら原則そのまま使えます。気をつけたいのは、社長が個人で申し込んだサービスと、SNS上の個人的なつながり。利用規約で名義の変更や譲渡を認めていない場合があり、人脈そのものは会社に移りません。みつきコンサルティングがお勧めするのは、媒体ごとの名義と更新日を一覧にし、求職者や求人企業とのやり取りを会社の顧客管理システムに残す引継ぎ期間を設けることです。

税理士法人を母体とするM&A仲介会社|みつきコンサルティングが選ばれる理由

まとめ|転職エージェントに精通したM&A仲介会社みつきコンサルティング

転職エージェントの売却では、返金後の決定単価と6か月以内の離職の少なさ、社長がいなくても決定が積み上がる体制が評価の軸です。株式譲渡なら有料職業紹介事業許可を保てる一方、職業安定法の帳簿や求職者データの点検は欠かせません。育てたCAや長年の取引先を委ねる以上、すぐに決めきれないのも無理はありません。

財務・税務に強いM&A仲介会社であるみつきコンサルティングは、中小企業のM&A仲介の実績経験が豊富です。M&A支援に特化した専門スタッフが決定データの分析から許可の届出まで伴走しますので、おすすめの仲介会社を比べる際の候補にお加えください。転職エージェントの会社売却なら、みつきコンサルティングへ。

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著者

田原 聖治
田原 聖治事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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