個人M&Aが失敗しやすい理由とは?失敗防止対策や事例を解説!

個人で行う小規模なM&Aは、成功すれば大きなメリットを得られますが、会社の事業を譲受するためには専門的な知識を理解する必要があり、個人には難易度が高いケースもあります。そのため、個人M&Aに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、個人M&Aで失敗しないための方法などについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

個人M&Aとは?

個人M&Aとは、譲受側が個人である小規模なM&Aのことです。譲受側は、売却対象の事業や資産を買収することで、自身の事業を拡大するなどの目的を持っています。特に、中小企業などでよく行われ、事業承継や事業の合理化などの目的で行われる場合もあります。

個人M&Aの現状

昨今、さまざまなメディアでM&Aが取り上げられたことにより、多くの人が個人M&Aに取り組んでいます。ここでは、個人M&Aの現状について紹介します。

個人M&Aは年々増えている

個人M&Aは、中小企業や個人事業主などの間で需要が高まっており、昨今増加傾向にあります。これは、コロナ禍による業績悪化や事業承継の課題、グローバル化に伴う競争力強化などが理由として挙げられます。

しかし、実施するには専門的な知識や経験が必要であることや、譲受側の少なさなどの課題もあるとされており、適切な知識を身につけてM&Aを行う必要があるでしょう。

個人むけの小規模なM&Aを扱うサイトが増えている

近年のM&A需要の高まりに伴い、個人向けの小規模なM&Aを扱うサイトが増えています。これらのサイトは、個人M&A案件のマッチングに特化しており、事業譲渡や買収の方法や事例を提供しているため、サービスを活用することで個人M&Aの難易度が下がっている部分もあります。

以前はM&Aといえば大規模な案件が多い傾向にありましたが、昨今は年間売上が1,000万円未満の会社や事業のM&Aも増えており、これらのサイトはそのニーズにも応えています。

サーチファンドとは?

サーチファンドとは、会社を譲受して経営者になりたい個人が、資金を調達するためのファンドのことを指します。現在の事業を改善して売上や企業価値を伸ばすことに秀でた人材が能力を発揮できる枠組みとして生まれました。

日本ではまだまだ新しい枠組みと捉えられていますが、少しずつ件数が増えています。現在はアメリカで行われている手法ですが、今後は日本でも普及していく可能性が高いと考えられます。

個人M&Aが失敗しやすい理由

個人M&Aは昨今さまざまなところで取り上げられていますが、現状はまだ多くの方が失敗に終わっている傾向があります。ここでは、個人のM&Aが失敗しやすい理由について見ていきます。

従業員がついてこない

個人M&Aが失敗しやすい理由の1つとして、従業員がついてこないことが挙げられます。急に現れたM&A後継者が事業に口出しすることに対して、嫌悪感を抱く従業員もいるでしょう。結果として、新しいオーナーに不信感を持ち退職や業績低下などのリスクが発生することもあります。

そのため、従業員に対して適切なコミュニケーションをとったり福利厚生を改善したりと、事前に関係性構築の準備を行うことが大切です。

譲受側のM&Aに関する知識が低い

2つ目の理由として、M&Aに関する知識が低いことが挙げられます。個人M&Aにおいて、譲受側のM&Aに関する知識が低い場合、取引が円滑に進まずトラブルの原因となることも考えられます。具体的には、契約内容や手続きの理解不足が原因となり、実施した後で問題が発生するなどです。

事前にリスクマネジメント(発生する可能性のあるリスクに対しての予防)を行い、譲受側もM&Aに関する知識を高めておく必要があるでしょう。

譲渡企業に対する理解不足

3つ目の理由として、譲渡企業に対しての理解度が低いことが挙げられます。M&Aを行う場合、本来はしっかりと相手企業のことを理解しなければなりませんが、個人買収者が譲渡企業のビジネスモデルや市場動向、財務状況について十分に調査せずに取引を進め、予期せぬ問題が発生する場合があります。

その結果、双方の期待がずれてM&Aが失敗してしまうのです。個人でM&Aを行う場合は、譲渡企業に対する適切なリサーチと評価が重要になります。

ノウハウがうまく引き継げない

4つ目の理由として、ノウハウがうまく引き継げないことが挙げられます。M&A手続きは複雑で、個人でも十分な知識や経験が必要です。しかし、特に、引き継ぎ期間が短い場合やM&Aによって事業内容が異なるなどの場合は、ノウハウの引き継ぎが難しくなりうまく引き継げないこともあります。

また、引き継ぎ期間中には適切な行動や言動を行い、既存の顧客や従業員にも丁寧に対応することも重要です。

簿外債務が発覚するケースも

5つ目の理由として、簿外債務が発覚するケースが挙げられます。簿外債務とは、貸借対照表に記載されていない債務のことでM&A後に負担を強いられるものであり、発覚すると買収価格の調整や契約解除を余儀なくされることもあります。

このようなリスクを回避するためには、徹底的なデューデリジェンス(買収監査・企業調査)が必要になります。

個人のM&Aで失敗しないためのポイント

ここまで、個人のM&Aで失敗する理由について紹介してきました。どのような対策を取れば失敗を避けられるのでしょうか。ここでは、個人のM&Aで失敗しないために知っておくべきことについて紹介します。

財務状況を十分に確認する

M&Aにおいては、相手企業の財務状況を正確に把握することが重要です。具体的には、貸借対照表や損益計画書などを確認し、財務状況を事前に精査しておくことが重要です。また、譲渡側は準備不足に陥らないように、一定数以上の株主の同意を得ておくことや、自社の強みをアピールすることが必要不可欠となります。

そして、譲受側は成約支援実績を持つ事業承継・M&Aプラットフォームを活用し、財務状況のチェックに加え、取得価格の妥当性を専門家を活用しながら検討することも意識しましょう。

相手方との信頼関係を構築する

M&Aを実施する際は、譲渡側・譲受側双方の信頼関係を構築することが必要不可欠です。信頼関係を構築するには、事前の把握不足や情報開示不足、買収後の人材マネジメント不足などを改善することが求められます。

譲渡側は準備不足を避けるため、株主の同意を得た上で目的を固め、余裕のあるスケジュールを立てることが大切です。

将来的な計画を事前に立てておく

M&Aは将来的な計画を事前に立て、どのような未来を目指すかについて事前に考えておくことが大切です。それは、個人M&Aにおいても同様であり、経営者としての将来的なビジョンを明確にすることが求められます。具体的には、将来的な計画を事前に立てておき、成功するために必要な経営資源を適切に活用しなければなりません。

また、将来的な計画が立てば事業を成長させるための準備もスムーズに進められます。さらに今後の経営方針を従業員にも共有することで、正しい方向性で経営を進めていけるようになるでしょう。

専門家への相談が重要

失敗しないM&Aを行うためには、事前の情報収集や準備が欠かせません。しかし、「何を準備すれば良いのかわからない」といったように準備自体が難しい場合には、専門家に依頼することをおすすめします。

M&Aの専門家に相談し、不確定要素やリスクを最小限に抑えるためのアドバイスを仰ぐことで、成功する可能性がより向上するでしょう。

個人M&Aを行った事例

最後に、個人でM&Aを行った事例について紹介します。

T様の事例|廃業一歩手前の洋菓子店を救った

T様は、コンサルティング会社勤務などの経歴から身につけた能力をもとにM&Aに挑戦しました。M&Aに関するサイトを閲覧する中で「いつか菓子店を開きたい」と感じており、「地元で愛される手作りフランス菓子店」に興味を持ち、M&Aであれば出資できる金額感で自分の夢である菓子店を引き継げると考えました。

M&Aを進める中で、前オーナーにアドバイザーのような形でサポートを続けてもらうことができ、一定期間店を閉めることもなく店舗の営業を続けながら引き継ぎをすることができたことがメリットでした。さらにコンサルティング会社の経験を活かし、菓子屋の商品開発や販売経路の拡大、業務の改善にもとり組んだ結果、売上も引き継いだ時点より増えています。

参照:あと1~2週間で廃業”の洋菓子店を救った、20代若者の即断力

M様の事例|キックボクシングジムの経営を始めた

会社員を行いながら個人でもビジネスをしたいと考えていたM様は、M&Aという選択肢を知り、2年ほどかけてさまざまな案件に触れる中でキックボクシングジムの案件を見つけました。自身の条件に合うだけでなく、前オーナーが他の事業に挑戦し始めたところの前向きな譲渡であり、価格が相場より低いことも魅力でした。

メイントレーナーからの辞意で交渉が一次的に中断したものの、その経験を活かし、譲渡後は新しいスタッフにしっかりとした教育をすることができました。予約システムの見直しで稼働率もあがり、入会者数も順調に増えています。今では近場にもう1店舗を構えるドミナント戦略も検討するまでになりました。

参照:「300万円の個人M&Aで切り拓く新しい働き方」会社員と二足の草鞋で踏み出すキックボクシングジム経営!

I様の事例|大学生でM&Aを行った

大学生であるI様はビジネスに興味があったわけでも、起業しようと思ったわけでもなく「理想の自習室が欲しい」という思いでレンタルスペースのM&Aを行いました。自身で物件を探して設備を購入するより、M&Aで購入した方が安価で理想の環境が手に入ることが魅力でした。

広告出稿はしなかったものの、レンタルスペース予約サイト内で上位に表示されたことが功を奏し、2ヶ月目で譲渡側から共有された過去の売り上げを超えて黒字化を果たしました。レンタルスペースの運営は大学を卒業するまでの期間限定としていますが、2~3年で初期費用を回収できることを目指しています。

個人M&Aの失敗のまとめ

この記事では、個人M&Aで失敗しないためにどうすればよいかなどを解説しました。個人M&Aは適切な対策や準備を行えば、失敗を防げる可能性が高くなります。紹介した事例なども参考に、自分の条件にあったM&Aのを検討してみてはいかがでしょうか。

また、個人でM&Aを行う場合は、みつきコンサルティングの利用をおすすめします。税理士法人グループであることから、M&A(第三者への承継)ありきの提案ではなく、事業所内承継、親族内承継など複数の選択肢のメリット・デメリットを比較して進めることができます。経営コンサルティング経験者も多く在籍しており、対象企業の詳細な事業分析を実施した上でシナジー(相乗効果)の創出を見込める候補先を紹介することも可能です。個人M&Aで成果を出したい方は、ぜひ利用を検討してみてください。

著者

西尾崇
西尾崇事業法人第三部長
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人

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