クロスボーダーM&Aの最新動向2026|円安下の海外買収・対日投資

クロスボーダーM&Aの最新動向を徹底解説します。2025年以降、円安下でも増加する日本企業の海外買収(IN-OUT)や、ファンド主導のMBOなど、市場の変化を網羅しました。海外進出や事業承継の選択肢として、どこまで準備すべきでしょうか。

「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績にもとづく無料相談でお応えします。本格的な検討前の情報収集だけでもかまいません。まずはお話をお聞かせください。

クロスボーダーM&Aの全体像|2025年の市場環境とトレンド

2025年以降、日本企業を取り巻くクロスボーダーM&A(国境を越えた合併・買収)の環境は、大きな転換期を迎えています。かつては「円高」を追い風に海外資産を買いに行くのが定石でしたが、現在は歴史的な「円安」環境下にあります。それにもかかわらず、日本企業による海外企業への出資・買収(IN-OUT)は依然として高水準で推移しており、戦略的な意図がより明確になっています。

戦略的な「時間の購入」としての海外展開

支援現場で多くの経営者様と接していると、円安によるコスト増を懸念しつつも、「国内市場の縮小」への危機感がそれを上回っていると感じます。自社単独で海外拠点をゼロから立ち上げるには数年の歳月と膨大な労力がかかりますが、M&Aであればその時間をショートカットできます。 特に、以下のエリアへの投資が顕著です。

  • 北米・欧州:先端技術(AI、半導体、バイオ)やブランド力の獲得。
  • ASEAN(東南アジア):人口増加による成長市場の取り込み、製造拠点の最適化。

2025年のM&A市場データの読み解き

レコフ等のデータによると、2025年の日本企業による海外買収(IN-OUT)は、件数ベースでは調整局面も見られましたが、金額ベースや戦略的な重要度は増しています。 一方で、海外企業による日本企業の買収(OUT-IN)は、件数自体は横ばいから微減の傾向にありますが、その中身は大きく変化しています。特に注目すべきは、経営陣による買収(MBO)や非公開化を目的とした大型取引の増加です。

これら市場の動きは、日本企業が「守り」から「攻め」へ、そして「資本効率の追求」へと経営の舵を切り始めた証左と言えるでしょう。

地域別・形態別の最新動向

ここからは、クロスボーダーM&Aの動向を「IN-OUT」(海外買収)、「OUT-IN」(対日投資)、「ASEAN市場」の3つの視点で具体的に掘り下げます。

日本企業による海外買収(IN-OUT)|攻めの投資へ

円安環境下において、日本企業はより「質の高い」案件を厳選する傾向にあります。単なる売上規模の拡大ではなく、自社にない技術やビジネスモデルを取り込む「探索型」のM&Aが主流です。

製造業の高度化

日本の製造業は、伝統的なモノづくりから「高付加価値化」への転換を迫られています。例えば、欧州の特殊素材メーカーや米国の産業機械メーカーを買収し、グローバルなサプライチェーンを強化する動きが見られます。現場でも、部品メーカーが海外の販路を持つ同業を買収し、一気に輸出比率を高める相談が増えています。

ヘルスケア・バイオ領域

医薬品や医療機器分野では、新薬候補物質(パイプライン)や創薬プラットフォームを持つ欧米のバイオベンチャーを買収する事例が相次いでいます。これは自社開発のリスクを分散し、収益化までの時間を短縮するための定石となっています。

対日買収(OUT-IN)とMBOの加速

海外からの対日投資(OUT-IN)において、特筆すべきトレンドはMBO(マネジメント・バイアウト)と「非公開化」です。 上場企業において、短期的な株価変動や株主からの圧力にとらわれず、中長期的な構造改革を行うために、株式を非公開化する事例が増えています。

近年の主なMBO・非公開化の動き(例)

以下の表は、近年の象徴的なMBOやファンド主導の買収事例を整理したものです。

完了/公表時期対象企業買収・支援主体概要と目的
2024年アウトソーシングベインキャピタルガバナンス体制再構築のためMBOを実施。
2024年ベネッセHDEQT(スウェーデン)教育事業のデジタル化加速のため非公開化。
2023年東芝JIP(国内連合)経営再建と迅速な意思決定のため非公開化。
2024年日本ハウズイングゴールドマン・サックス既存事業の基盤強化と企業価値向上。

現場の感覚として、これらは大企業だけの話ではありません。中堅・中小企業においても、後継者不在や事業再構築のために、外資系ファンドや国内ファンドと組んでMBOを行うケースは確実に増えています。

ASEAN市場への熱視線|ベトナム・シンガポール

北米・欧州に次いで投資が集中しているのがASEAN地域です。特にベトナム、シンガポール、マレーシアへの関心が高まっています。 背景には、チャイナ・プラス・ワン(製造拠点の分散)の動きに加え、「消費市場」としての魅力向上があります。

  • ベトナム:人口ボーナス期にあり、製造拠点だけでなく、小売・サービス業の進出先としても人気です。
  • シンガポール:アジアの統括拠点として機能するほか、周辺国への展開ハブとしての役割が期待されています。

当社でも、「国内の需要減を補うために、まずはタイの同業を買収したい」というオーナー様からのご相談を頻繁にいただきます。

業界別のクロスボーダーM&Aの深掘り

クロスボーダーM&Aの動向は、業界ごとに全く異なる様相を呈しています。ここでは、特に動きが活発な「建設・インフラ」「食品」「IT・テクノロジー」の3業界について解説します。

建設・インフラ業界|都市開発とデータセンター需要

建設業界では、国内の公共事業依存からの脱却を目指し、急成長する東南アジアのインフラ需要を取り込む動きが活発です。

国ごとの投資機会と特徴

ASEAN各国では建設分野において異なる投資機会があります。下表は、主要国の投資機会と特徴をまとめたものです。

国名特徴投資機会
シンガポール成熟市場であり、再開発案件が主流です。老朽化ビルの再開発や、環境性能の高いグリーン建築(ZEB等)のノウハウを持つ企業の需要が高いです。
マレーシアデータセンター建設が急増中です。AI普及に伴う電力・冷却インフラの整備や、ハラル対応施設建設への参入チャンスがあります。
インドネシア新首都「ヌサンタラ」建設などの国家プロジェクトが進行中です。都市鉄道、高速道路、上下水道などの社会インフラ整備に、日本の施工管理技術が求められています。
タイ東部経済回廊(EEC)などの国家主導開発や交通インフラ整備が活発です。高速鉄道や空港拡張に伴う工事、工業団地建設、および高齢化社会を見据えたヘルスケア施設の需要があります。

建設分野のM&Aでは、単に現地の施工会社を買うだけでなく、内装・設備工事やファシリティマネジメント(建物管理)など、付加価値の高い領域へシフトしているのが最近の特徴です。

食品業界|北米とアジアの二極化

食品業界のクロスボーダーM&Aは、「北米」と「アジア」で目的が二極化しています。下表は、地域別の投資目的と特徴をまとめたものです。

地域主な目的具体的な事例特徴
北米ブランドと規模の獲得です。サッポロHDによる米ストーンブリューイン買収、キリンHDによる米ベルズ・ブルワリー買収などがあります。世界最大の消費市場である米国では、クラフトビールや特定ジャンルのトップブランドを買収し、同業買収によるシェア拡大が進んでいます。
アジア流通網と生産拠点の確保です。森永乳業によるベトナムの乳製品メーカー買収、亀田製菓、カルビー等の展開が見られます。人口増加エリアでの販路確保が主目的です。現地の食文化に根ざしたローカル企業を買収し、日本の品質管理や商品開発力を注入するスタイルです。

現場での注意点として、食品業界は現地の嗜好(味覚)や宗教上の制約(ハラル認証等)が大きく影響します。買収後のPMI(統合)では、日本のやり方を押し付けず、現地のマーケティングチームを尊重する姿勢が成功の鍵となります。

IT・テクノロジー・製造業|技術獲得競争

IT・テクノロジー分野では、技術革新のスピードに追いつくための「時間を買う」M&Aが常態化しています。下表は、分野別の投資動向と特徴をまとめたものです。

分野主な投資動向特徴
生成AI・半導体ソフトバンクグループなどによる巨額投資が目立ちます。中堅企業でもAI技術を持つスタートアップへの出資が増えています。
製造業のDX独自のIoT技術やSaaSを持つ海外企業を買収する動きが加速しています。自社のハードウェア製品と組み合わせてサービス化する戦略が進んでいます。

成功と失敗を分けるポイント|今後の注目トレンド

今後、クロスボーダーM&Aを検討する上で押さえておくべき重要なトレンドとリスク管理について解説します。

脱炭素・グリーン技術とスタートアップ投資

「脱炭素(カーボンニュートラル)」は、M&Aにおける最重要テーマの一つになっています。 エネルギー業界や自動車業界に限らず、あらゆる産業で環境負荷低減が求められています。そのため、再生可能エネルギー技術、省エネ素材、カーボンオフセット関連の技術を持つ海外スタートアップへの投資(マイノリティ出資含む)が急増しています。

現場の実感として、本業とは異なる分野であっても、「環境技術」をフックにした買収は、投資家や金融機関からの評価も高く、資金調達がしやすい傾向にあります。

円安・地政学リスクとPMI(統合プロセス)の重要性

海外M&Aには、「カントリーリスク」や「為替リスク」が付きまといます。特に最近は、米中の対立や各地の紛争など、地政学的な不確実性が高まっています。

「同意なき買収」への備え

国内でも「同意なき買収(敵対的TOB)」が増加していますが、海外ではより一般的です。海外企業から買収を仕掛けられた場合の防衛策や、逆に海外企業を買収する際に敵対的にならないための交渉術も重要になっています。

PMI(買収後の統合)の難しさ

クロスボーダーM&Aの失敗原因の多くは、買収後の統合(PMI)の失敗にあります。言語の壁はもちろん、意思決定スピードや評価制度の違いが摩擦を生みます。 「日本流の根回し」は海外では通用しません。買収契約の段階から、統合後の組織図やキーマンの処遇を明確にし、Day1(統合初日)からトップダウンで変革を進める覚悟が必要です。

クロスボーダーM&Aの動向に関するFAQ

クロスボーダーM&Aの動向について、現場でよく聞かれる質問をまとめました。

Q:円安の今、海外M&Aを行うのは損ではありませんか?

短期的には買収コストが割高になるため、財務的な負担は増します。しかし、長期的な視点で見れば、縮小する国内市場にとどまるリスクの方が大きいと判断する経営者が多いです。また、海外で稼ぐ力をつければ、円安は逆に収益の押し上げ要因(為替換算益)となります。現場では、円安を一過性のものと捉えず、海外収益比率を高めるための必要経費と割り切る判断が増えています。

Q:中小企業でもクロスボーダーM&Aは可能ですか?

可能です。近年は数十億円~数百億円の大型案件だけでなく、数億円規模の小規模なクロスボーダー案件も増えています。特にASEAN地域では、中小規模の製造業やサービス業の売り案件が多く存在します。ただし、国内M&A以上にデューデリジェンス(買収監査)や契約交渉の難易度が高いため、海外実務に精通したM&A専門家のサポートが不可欠です。

Q:海外企業を買収する際、最も注意すべきリスクは何ですか?

「簿外債務」や「法務リスク」はもちろんですが、実務上最も失敗しやすいのは「人材の流出」です。買収発表直後に現地のキーマンが競合他社に引き抜かれたり、従業員のモチベーションが低下したりするケースが後を絶ちません。これを防ぐためには、リテンション(引き留め)プランの策定や、異文化を尊重するコミュニケーションが極めて重要です。

まとめ|海外M&Aの動向

2025年のクロスボーダーM&Aは、円安という逆風下にあっても、企業の生存と成長をかけた「攻めの選択肢」として定着しています。 海外買収(IN-OUT)では、北米・欧州での先端技術獲得と、ASEANでの市場拡大という二極化が進んでいます。また、国内ではMBOによる非公開化が加速し、経営の自由度を高める動きが顕著です。成功の鍵は、買収前の緻密な戦略策定と、買収後の異文化統合(PMI)への覚悟にあります。

当社、みつきコンサルティングは、税理士法人グループとしての緻密な数字の精査と、豊富なM&A支援実績を強みとしています。国内案件はもちろん、タイ企業とのクロスボーダー案件や事業承継に関するお悩みも、M&Aアドバイザーや公認会計士・税理士が親身にサポートいたします。タイ進出やMBOをご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。

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著者

伊丹 宏久
伊丹 宏久事業法人第二部長/M&A担当ディレクター
ヘルスケア分野に関わる経営支援会社を経て、みつきコンサルティングでは事業計画の策定、モニタリング支援事業に従事。運営するファンドでは、投資先の経営戦略の策定、組織改革等をハンズオンにて担当。東南アジアなど海外での業務経験から、クロスボーダー案件に関しても知見を有する。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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