外航海運業界の会社売却は、深刻な船員不足や脱炭素化などの環境規制対応といった構造的課題を背景に活発化しています。本記事では、市場動向から譲渡オーナーにとっての売却メリット、企業価値を左右する評価指標、具体的な譲渡事例までを網羅的に解説します。将来の設備投資負担や後継者不在に悩む経営者の方へ、経営基盤を強化し従業員の雇用を守るための最適な事業承継戦略をお伝えします。
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外航海運の市場動向
外航海運は、コンテナ船やタンカーなどを用い、国際間の海上貨物輸送を担う社会インフラです。世界の海上荷動きは全体として増加傾向にあり、貿易において重要な役割を果たしています。
定期船と不定期船の事業特性
外航海運の事業は、あらかじめ決められたルートを運航する定期船と、特定の顧客ニーズに応じる不定期船に大別されます。需要と供給のバランスにより、運賃市況が大きく変動するのが特徴です。
日本籍船と外国籍船の現状
国際競争力の観点から、コスト削減を目的に便宜置籍船を利用するケースが数多く見受けられます。政府は経済安全保障の観点からトン数標準税制などを導入し、日本籍船や準日本船舶の確保に努めています。
市場環境と今後の見通し
中東情勢の悪化による航路変更の影響などにより、運賃市況は上昇傾向を見せる場面もあります。しかし、中国の景気動向や米国の関税政策次第で、今後の輸送需要が急激に変動するリスクもはらんでいます。
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外航海運の会社売却のメリットと課題
支援現場では、資金力のある企業への参画を望む譲渡オーナーの声が多く聞かれます。単独での事業継続には、特有の大きな壁が存在するためです。
船員の高齢化と深刻な人手不足
国内の海運業界では、現役船員の約半数が50歳以上を占め、若手人材の確保と育成が急務となっています。労働環境の改善を含めた定着策が求められますが、中小規模の会社では対応が後手に回りがちです。
脱炭素への移行と環境規制の強化
国際海事機関(IMO)による温室効果ガス(GHG)排出削減目標や、バラスト水管理条約など、環境規制が年々強化されています。これらに適合するための設備投資は、経営を強く圧迫する要因です。
船価高騰と老朽船の増加
保有する船舶の約7割が老朽船というデータもあり、維持や修繕の負担が重くなっています。船価の高騰も相まって、単独での新造船へのリプレースが困難な企業が増加しているのが実情です。
会社売却を通じた課題解決
こうした逆風下において、会社売却は有効な選択肢となります。譲受企業のスケールメリットを活かすことで、各種課題を乗り越えることが可能です。以下の表に双方のメリットをまとめました。
下表は、外航海運業界における会社売却のメリットを整理したものです。
| 比較項目 | 譲渡オーナーのメリット | 譲受企業のメリット |
|---|---|---|
| 経営課題の解決 | 投資負担からの解放 巨額な新造船投資や環境規制対応の資金負担から解放される | 運航効率の向上 船隊の規模拡大により、航路網の最適化や運航効率化が図れる |
| 雇用と事業の維持 | 従業員の雇用確保 大手資本の傘下に入ることで、船員や陸上スタッフの雇用が守られる | リソースの獲得 有資格の熟練船員や、長年培われた顧客基盤を一挙に獲得できる |
| 資本と収益の改善 | 創業者利益の獲得 譲渡によりリタイア資金を得て、後継者不在の問題も解消する | 新規領域への参入 ケミカルタンカーなど、成長分野への参入やサービスの多角化を実現できる |
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外航海運会社の売却相場と株式評価
売却時の株価は、保有資産から負債を引いた時価純資産に、数年分の営業利益を営業権(のれん)として上乗せする手法が一般的に用いられます。
評価額を左右する具体的なKPI
外航海運において評価を大きく左右するのは、保有する船舶の船齢や修繕履歴です。燃費性能が高く、環境規制に適合した船舶を保有している場合は、評価が上乗せされる傾向にあります。
契約形態による収益の安定性
スポット契約が多い定期船よりも、特定の荷主と数年から10年単位の長期契約を結んでいる不定期船の方が、将来の収益予測が立てやすくなります。そのため、長期契約比率の高さはプラス評価に直結する重要項目です。
近年の外航海運会社の売却事例
業界内では、大手が事業を集約し、競争力を強化するための動きが加速しています。実務の現場でも、異業種を含めたダイナミックな再編が見受けられます。
大手同士の大型事業譲渡
ENEOSホールディングスは、原油タンカー以外の海運事業を新設子会社に分割し、その株式の80%を日本郵船に約760億円で譲渡しました。資本効率を重視したポートフォリオ経営を推進する狙いがあります。
内航船主業の売却による再編
第一中央汽船が、内航船主業を営む子会社の泉汽船を、外航海運や船主業を展開するリベラへ売却した事例があります。自社のコア事業を見直し、位置付けを整理するための戦略的な譲渡です。
異業種やファンドの参入
近年は、異業種やファンドが海運分野へ参入するケースも目立ちます。ファンドの資本参加により、財務体質の改善やDX推進による経営の近代化を図る動きが活発化している状況です。
外航海運の会社売却に関する相談先
自社の企業価値を正確に把握し、最適な譲受企業を見つけるためには、専門的な知見を持つ外部機関への相談が不可欠となります。
専門の仲介会社への依頼
船価の適切な評価や環境規制への知見を持つ専門の仲介会社に依頼するのが、最も確実な方法です。船員の雇用維持や取引先との関係継続に配慮し、円滑な統合をサポートしてくれます。
インターネットプラットフォームの活用
近年は、オンライン上の事業承継プラットフォームを利用して譲受候補を探す企業も増えています。地域を問わず、効率的に多くの候補企業と接触できる点が大きな魅力です。ただ、このようなマッチングサイトは、なるべくコンサルタントの労力を掛けない代わりに費用を抑えられる特性があるため、小規模企業がお相手候補を探すのには適していますが、海運会社のような規模の大きな会社が多い業種には適さないと言えます。
完全成功報酬制(料金体系)
完全成功報酬制
M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。
着手金・中間金
0円
月額報酬
0円
成功報酬
成約時のみ
※レーマン方式
外航海運の会社売却に関するFAQ
事業の売却を検討する経営者から寄せられる、代表的な疑問にお答えします。
株式譲渡スキームを用いれば、原則として従業員の雇用契約はそのまま引き継がれます。現場では、譲受企業側も優秀な船員の確保を目的としているケースが多く、処遇が維持または向上することが大半です。
可能です。ただし、今後の修繕費や環境規制への適合費用が見込まれるため、株価評価においてマイナス調整される要因となります。譲受企業の自社船隊とのシナジー次第で評価は変動します。
対象になります。ただし、契約更新のリスクがあると見なされるため、安定した長期契約を持つ企業に比べると評価額が抑えられる傾向にあります。荷主との強固な関係性や過去の更新実績をアピールすることが重要です。
初回の相談から最終契約の締結まで、平均して半年から1年程度かかります。船舶のコンディション確認や法務・財務の買収監査(デューデリジェンス)に時間を要するため、早めの着手をお勧めします。
外航海運に精通したM&A仲介会社|みつきコンサルティング
外航海運の会社売却は船員の確保や環境規制への対応コストを背景に活発化しており、最適な譲受企業と組むことで安定的な事業継続が可能となります。大手の資本力を活用して船隊の更新や運航効率の向上を図ることは、大切な従業員の雇用を守るためにも有効な選択肢です。
税理士法人グループのM&A仲介会社である当社は、中小企業M&Aの豊富な実績を有しています。外航海運会社の売却なら、みつきコンサルティングへご相談ください。専門知識を活かし、外航海運の最適なマッチングを支援いたします。
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著者

- 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
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みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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