ゼネコン業界のM&Aは、2024年問題や深刻な人手不足を背景に過去最高水準で推移しています。本記事では、業界再編の最新動向や売却相場の算定方法、譲渡オーナーが知っておくべきメリット・デメリットを専門家が解説。大手による技術獲得やエリア拡大の事例を交え、事業承継や成長戦略としてのM&A活用法を紐解きます。
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ゼネコン業界のM&A動向と2024年問題の影響
建設・ゼネコン業界におけるM&Aは現在、過去に類を見ないほどの活況を呈しています。 かつては「救済型」のイメージが強かった会社の売却ですが、近年では「成長戦略」や「事業承継の最適解」として選択されるケースが急増しています。 特に2024年問題(時間外労働の上限規制)の適用開始は、業界再編を加速させる最大のトリガーとなりました。
過去最高水準で推移するM&A件数とその背景
2025年の建設業界におけるM&A公表件数は245件と、過去最高水準を記録しました(レコフデータを基に当社集計)。 この背景には、経営者の高齢化による事業承継ニーズの高まりと、深刻な人手不足があります。 多くの地方ゼネコンや中小建設会社では、黒字経営であっても後継者が不在という理由で、第三者への譲渡を決断するケースが増えています。 親族内承継が難しくなっている今、M&Aは会社を存続させるための現実的な選択肢として定着しつつあります。
2024年問題と人手不足が加速させる業界再編
2024年4月から建設業にも適用された時間外労働の上限規制は、現場に大きな衝撃を与えました。 限られた労働時間内で工期を守るためには、より多くの人員を確保するか、DXによる生産性向上が不可欠です。 しかし、自社単独での採用やシステム投資には限界があります。 そのため、豊富な人材や資本を持つ大手・準大手ゼネコンの傘下に入り、リソースを補完し合う動きが活発化しているのです。
戦略的転換-「規模の拡大」から「機能の獲得」へ
従来、ゼネコンのM&Aといえば、単なる売上規模の拡大が主目的でした。 しかし現在は、その目的がより戦略的なものへと変化しています。 具体的には、特定の特殊技術を持つ企業の買収や、未進出エリアの地場ゼネコンを買収することによる商圏拡大、さらには脱炭素対応や海外進出(クロスボーダーM&A)を目的とした動きです。 単に大きくなるのではなく、「何ができるようになるか」という機能獲得が重視されています。
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ゼネコン業界の現状と抱える構造的課題
M&Aが増加する背景には、建設業界特有の構造的な課題が深く関わっています。 市場環境は決して悪くありませんが、供給体制の維持が困難になりつつあるのが実情です。 ここでは、業界全体のマクロデータと現場が抱える課題について整理します。
建設投資額の推移と市場規模
国内の建設投資額は、2010年代前半の底打ちから回復基調にあり、2024年度の見通しは約73兆円に達しています。 都市部の再開発やインフラの老朽化対策、災害復旧工事など、需要自体は堅調です。 しかし、建設業の許可業者数はピーク時から約2割減少しており、需要に対して施工の担い手が不足する「供給制約」の状態が続いています。
深刻化する高齢化と技術継承の危機
建設業就業者の高齢化は、全産業の中でも特に顕著です。 55歳以上が約36%を占める一方で、29歳以下の若手は約12%にとどまります。 このままでは、ベテラン層が引退する今後10年以内に、現場の技術やノウハウが失われる危機に直面します。 この「技術の断絶」を防ぐために、M&Aによって若手人材や有資格者を確保しようとする動きが加速しているのです。
資材高騰と利益率の低下圧力
近年の建設資材価格の高騰は、ゼネコンの収益を圧迫しています。 民間工事では価格転嫁が難航するケースも多く、特に建築工事においては完成工事粗利率の低下が見られます。 単独での仕入れではコスト削減に限界があるため、規模の経済を働かせるためにグループ化を目指す動きも、M&A増加の一因となっています。
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ゼネコンの売却相場と株価算定のポイント
多くの譲渡オーナー様が最も気にされるのが、「自社がいくらで評価されるのか」という点です。 ゼネコンの評価額は、一般的な計算式に加え、建設業特有の指標が大きく影響します。 ここでは、プロの視点から算定のポイントを解説します。
年買法による一般的な算出式
中小企業のM&Aで一般的に用いられる簡易的な計算式は、「時価純資産 + 実質営業利益 × 2〜5年分」です。 これを「年買法(年倍法)」と呼びます。 時価純資産とは、会社の全資産から負債を引いた純資産を時価で評価し直したものです。 ここに、会社が持つ「稼ぐ力(のれん代)」として、営業利益の数年分を加算します。 建設業の場合、保有している不動産や重機の含み益、未成工事支出金の評価などが純資産の修正項目となります。
ゼネコンが譲渡価格を最大化するポイント
建設業において、企業価値(譲渡価格)を左右するのは財務数値だけではありません。 買い手企業は、決算書には表れない「施工能力」や「将来の収益性」を厳しくチェックしています。 以下の要素が高く評価されると、相場以上での売却が可能になるケースがあります。
施工管理技士等の有資格者数と年齢構成
建設業法上、各現場には主任技術者や監理技術者の配置が義務付けられています。 そのため、1級・2級施工管理技士などの有資格者が何名在籍しているか、そしてその年齢構成が若返っているかは極めて重要な評価指標です。 有資格者が多く、かつ若手が育っている会社は、それだけで高いプレミアムが付きます。
公共工事の入札ランク(経審の点数)
公共工事を主体とする場合、経営事項審査(経審)の総合評定値(P点)が企業の格付けとなります。 特定エリアや工種における入札ランクが高い(例:Aランク)会社は、買収後すぐに大型案件に入札できるため、買い手にとって非常に魅力的です。
完工高に占める元請け比率と民間・公共のバランス
下請け専業よりも、発注者から直接請け負う「元請け」の比率が高い会社の方が、利益率が高くコントロールもしやすいため高評価となります。 また、公共工事と民間工事のバランスが良く、景気変動に強い受注体質であることもプラス材料です。
ゼネコンM&Aのメリット(譲渡側・譲受側)
M&Aは、譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)の双方にメリットがなければ成立しません。 ここでは、それぞれの立場から見た具体的なメリットを整理します。 以下の表は、一般的なメリットを対比させたものです。
| 立場 | 主なメリット |
|---|---|
| 譲渡側(売り手) | ・後継者不在の解消と事業の存続 ・創業者利潤(売却益)の獲得 ・従業員の雇用維持とキャリアパスの拡大 ・個人保証(経営者保証)の解除 |
| 譲受側(買い手) | ・即戦力となる有資格者・技術者の確保 ・新規エリアや新工種への短期間での進出 ・スケールメリットによる資材調達コストの削減 ・優良な取引先基盤の引き継ぎ |
譲渡オーナー(売り手)が得られるメリット
最大のメリットは、やはり「事業承継問題の解決」です。 廃業を選択すれば、従業員は解雇され、取引先にも迷惑がかかりますが、M&Aであれば雇用も商流も守ることができます。 また、オーナー様個人にとっては、連帯保証から解放され、創業者利潤を老後の資金や新たな挑戦に充てられる点も大きな魅力です。 大手グループ入りすることで、従業員の福利厚生が向上し、採用力が強化されるケースも多々あります。
譲受企業(買い手)が得られるメリット
買い手にとって、M&Aは「時間を買う」行為です。 一から支店を出して技術者を採用し、信頼を築いて許認可を取得するには何年もかかりますが、M&Aならこれらを一瞬で獲得できます。 特に、採用難易度が高い施工管理技士や熟練職人をまとめて確保できる点は、現在の建設業界において何にも代えがたい価値があります。
ゼネコン業界のM&A成功事例と再編の型
ゼネコン業界の再編には、いくつかの典型的なパターンがあります。 成功事例を知ることで、自社がどのような形でM&Aを行うべきかのイメージが湧きやすくなります。 ここでは、近年のトレンドである「垂直統合」や「ぶら下がり」といった再編の型について解説します。
垂直統合型とぶら下がり型の再編
「垂直統合型」とは、ゼネコンが専門工事会社(サブコン)や関連事業を取り込む動きです。 例えば、大成建設によるピーエス三菱(PC工事)の子会社化などがこれに当たります。 元請け機能と専門施工機能を一体化させることで、コスト競争力と工程管理能力を高める狙いがあります。 一方、「ぶら下がり型」は、持ち株会社(ホールディングス)の下に複数の建設会社が並列で入る形です。 各社の社名や独自性を残したまま、グループとしてのシナジーを追求できるため、譲渡側の心理的抵抗が少ないのが特徴です。
異業種・クロスボーダーM&Aの増加
建設業界内だけでなく、異業種とのM&Aも増えています。 ハウスメーカーがゼネコンを買収したり、インフラファンドが土木会社に出資したりするケースです。 また、国内市場の縮小を見据え、海外の建設会社を買収する「クロスボーダーM&A」も、大手・準大手を中心に活発化しています。 例えば、清水建設による日本道路の完全子会社化のように、グループ内の再編を強化して海外展開や脱炭素事業へリソースを集中させる動きも目立ちます。
完全成功報酬制
M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。
着手金・中間金
0円
月額報酬
0円
成功報酬
成約時のみ
※レーマン方式
ゼネコン会社のM&Aに関するFAQ
建設会社のオーナー様からよくいただく質問をQ&A形式でまとめました。 現場の実務に即して回答します。
スキーム(手法)によります。 「株式譲渡」であれば、許可はそのまま引き継がれます。一方で「事業譲渡」の場合は、原則として許可の取り直しが必要です(ただし、事前の認可手続きを利用することで空白期間をなくす特例もあります)。実務上は、手続きが簡便な株式譲渡が選ばれることが大半です。
基本的にはそのまま継続します。 株式譲渡であれば法人格が変わらないため、契約関係もそのまま継続されます。ただし、発注者との契約約款に「経営権の移動に関する事前通知条項」がある場合は、発注者への説明と承諾が必要になることがあります。
可能です。むしろM&Aのメリットの一つです。 通常、株式譲渡のクロージング(決済)と同時に、借入金は対象会社に残ったまま買い手グループの信用力で借り換えたり、あるいは買い手が肩代わりしたりします。その際、オーナー様の個人保証は解除されるのが一般的です。
可能性は十分にあります。 建設業の場合、直近が赤字であっても「有資格者が多数在籍している」「高いランクの許認可を持っている」「優良な顧客基盤がある」といった広義の資産があれば、高く評価されることがあります。財務状況だけでなく、事業そのものの価値が重要です。
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2024年問題に端を発した人手不足への対応が急務となる中、ゼネコン業界のM&Aは「生存と成長のための必須戦略」となりました。技術者や施工能力の確保、エリア拡大を目指すM&Aは今後も高水準で続くでしょう。オーナー様にとっては、会社を存続させ、従業員の雇用を守るための有効な手段です。早めの準備が、より良い条件での承継につながります。
当社の強みは、税理士法人グループとしての会計・税務の知見と、建設業界特有の商流に精通したM&Aアドバイザーによる支援体制です。建設業のM&A実績が豊富な専門家が、御社の企業価値を正しく評価し、最適なマッチングを実現します。まずは一度、お気軽にご相談ください。
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著者

- 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
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みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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