M&Aを実施する際は、さまざまな調査が必要です。本記事では、M&Aで必要な調査について詳しく知りたい方に向けて、調査の目的、種類、注意点などについて解説します。調査を依頼する専門家の選び方や調査費の目安なども解説するため、参考にしてください。
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M&Aにおける調査とは?
M&Aを行うには、さまざまな調査が必要です。M&Aのために実施する調査は、対象となる企業の現状やリスクを把握するために行います。企業の実態について分析や評価を行い、M&Aを実行するか判断します。
調査の目的
M&Aは、その流れに渡って、調査が行われます。まずは、多くの候補企業の中から対象企業を選ぶ判断材料を得るためです。また、選んだ企業に対するM&Aについて、最終的な意思決定をするうえでも根拠となる情報が必要になります。そのため、財政状態、組織構造、企業が抱えている課題やリスク、M&Aで得られるシナジー(相乗効果)など、幅広い内容について調査することが不可欠です。
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M&Aのプロセス毎の主な調査
M&Aの実行について決定した後も、いくつかのプロセスが必要です。以下の各プロセスにおいては、それぞれ実施すべき調査があります。
- 候補企業の選定
- マッチング
- 基本条件交渉
- 最終条件交渉
- 最終契約書の締結

具体的に必要な調査について、詳しく解説します。
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候補企業の選定段階における調査
M&Aの候補企業の選定においては、多数の企業をソーシングし、調べたうえで企業を絞り込む必要があります。具体的には、開示された譲渡側の情報やノンネームシートに記載されている内容をチェックし、業種、事業内容、事業規模などを確認します。そのうえで、自社に合う企業をピックアップしましょう。
▷関連:M&Aのソーシングとは?実施時期・位置付け・重要性・方法・流れ
マッチング段階における調査
M&Aを実行する対象企業を1社に絞り込む段階では、複数の企業と秘密保持契約書を締結し、直接情報をやり取りします。インフォメーションメモランダム(IM:企業概要書)に記載された秘匿性の高い情報も確認可能です。組織図、役員構成、従業員、取引先、財務状況、事業計画などの詳細を把握できます。
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基本条件の交渉段階における調査
譲渡側と譲受側でM&Aの実行について合意するためには、財務状況、経営方針、業績などについての詳しい調査が必要です。そのうえで、企業価値算定、M&Aのスキーム(手法)、スケジュールなどを意向表明書や基本合意書に記載する必要があります。
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最終条件の交渉段階における調査
企業価値や統合計画などを決定する段階では、外部の専門家にデューデリジェンス(買収監査・企業調査)を依頼します。これにより明らかとなった譲渡企業の課題やリスクは必要に応じて最終契約書に反映されます。
▷関連:最終契約書(DA)はM&Aで最重要!記載項目・注意点・雛形
譲受企業が実施する調査
ここでは、M&Aの譲受側が通常行う主な調査について解説します。
自社の現状調査
自社の現状調査は、M&Aを検討する初期段階で譲受企業が実施する調査です。自社の経営資源や財務状況、事業の将来性や不足部分を把握し、M&Aの目的や戦略を明確にします。この分析をもとに、対象会社が自社のM&A戦略と整合するか、どのような価値やシナジーが見込めるかを評価します。
競合調査
競合調査は、譲受側がM&Aの候補の中から対象企業を選ぶ際に実施する調査です。譲渡側の企業の競合を調査し、M&Aで本当にその企業を譲り受けるべきか判断します。M&Aを成功させるためには競合調査が重要な意味をもつため、さまざまな角度から幅広い情報を集めることが大切です。
企業・経営者の信用調査
企業・経営者の信用調査は、M&Aの実行を検討するタイミングをはじめとし、さまざまな段階で必要です。企業・経営者に問題がないかチェックするために実施します。基本的な企業情報の照会をしたり、取引のある金融機関から聞き取りをしたりします。企業そのものに問題がなくても、経営者に不審な点がある場合は追加で調査が必要です。
反社会的勢力に関する調査
反社会的勢力とは、各都道府県の暴力団排除条例などで取り締まりが強化されている団体や個人のことです。反社会的勢力とつながりをもてば他社との取引や融資が停止になる恐れがあるため、M&Aの対象企業に対しても必ず調査する必要があります。M&Aのどの段階においても重要な調査です。
デューデリジェンス
デューデリジェンス(買収監査・企業調査)とは、M&Aの対象企業の価値やリスクを明らかにする調査です。M&Aの契約を締結する前に実施します。財務、税務、人事、ビジネス、IT、環境、不動産などさまざまな分野について調べる必要があり、弁護士や税理士をはじめとする専門家の協力が必要不可欠です。具体的な調査の範囲は、主に譲受側が決定します。
その他のチェック項目
M&Aではさまざまな調査が行われます。ここでは、特に重要な調査項目について解説します。
財務状況
財務状況は、決算書、会計帳簿、請求書などの書類から判断します。譲渡側企業の過去数年間における会計管理、財務、税務の状況について把握できます。特に、帳簿外の負債や未計上の取引がないか確認することが大切です。
資産状況
資産状況とは、事業に使用している不動産や機械設備などの動産、権利、特許などの知的財産のことです。資産価値だけでなく、不動産の登記状況や訴訟の有無なども含めて確認します。
契約状況
取引先との契約、従業員との雇用契約、金融機関との融資契約などについて、実際の契約書をもとに確認します。契約書の確認においては、基本的に原本の閲覧を求めるべきです。
事業の将来性
事業の将来性は、販売先や仕入先といった取引先との取引状況から判断します。過去から現在までの取引状況をチェックし、収益性や安定性なども含めて確認する必要があります。また、従業員や企業の技術力に加え、会社や経営者の評判についても把握することが重要です。
競合と市場規模
競合や市場規模に関する調査は、M&Aの対象企業を選出する際や、M&A後の計画を立てる際などに必要です。競合他社との競争の状況、参入障壁の有無、市場規模の推移などを確認し、事業の将来性を見極めます。
組織の構造
組織の構造は、M&Aの対象企業を選ぶ際の目安になります。M&A後に組織を再編する際、役員や従業員の処遇を検討するうえでも必要な調査です。具体的には子会社の有無、事業所、役員や従業員などの組織の構造について調査します。
シナジー(相乗効果)
シナジー(相乗効果)は、M&A後、譲受側にとってどのようなメリットが生じるかを示します。譲受側と譲渡側の強みを合わせれば、従来以上の大きな成果を上げられる可能性があるでしょう。シナジー(相乗効果)について把握すると、M&Aの対象企業を適切に絞り込むための判断材料になります。
M&Aの調査を成功させるポイント
M&Aでの調査ポイントを譲渡オーナー側と譲受企業側に分けて紹介します。
売り手側
M&Aを実行する場合、譲渡オーナーも自社について相応に調査をしておくべきです。ここでは、M&A調査で譲渡側が気をつけるべきポイントを解説します。
譲受側の調査には十分に協力する
譲渡側には、譲受側の調査に協力する義務があります。虚偽の申告は信用をなくす原因になるため、リスクなどについても正直に開示しなければなりません。調査への協力は、M&A後のトラブルを避けるために重要です。M&A前の債務や問題について隠さず伝えましょう。実際の状況を明らかにするには、専門家に依頼すると確実です。
M&Aの開始前の調査を怠らない
M&Aを実行するうえでは、企業に対する調査に特に力を入れる必要があります。自社と合う企業や共に繁栄を目指せる企業などを見極めるには、各企業の詳細を知らなければなりません。また、自社のリスクや課題についても調査して洗い出し、可能な範囲で改善しましょう。それにより、トラブルが発生する可能性を抑えられます。
買い手側
M&Aを成功させるためには、譲受企業としては十分な調査を実施すべきです。その際は、さまざまなことを意識する必要があります。ここでは、M&A調査で譲受側が気をつけるべきポイントについて解説します。
優先順位をつけ効率的な調査をする
M&Aの検討を始めて実行するまでの時間は限られています。調査にはあまり時間をかけられないため、効率的に対応する必要があります。そのためには、調査項目について優先順位を決めることが大切です。優先順位をつけておけば、仮にすべてを調査できなくても必要最低限の情報を得られる可能性が高くなります。
必要十分なデューデリジェンス(買収監査・企業調査)を行う
リスクやトラブルを回避するためには、十分な調査が必要です。ただし、自社だけでは把握しきれない情報もあるため、より入念な調査を実施するには専門家へ依頼するとよいでしょう。調査すべき項目を事前にリスト化し、必要な情報を漏れなく取得できるようにすることも大切です。
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調査を依頼する専門家の選び方
専門家に調査を依頼する際は、実績やサービス内容についてよく調べましょう。自分が依頼したい項目について実績があり、その項目を得意としているか確認する必要があります。税、財務、会計、法務などの専門家がいるかどうかも重要です。
また、アフターサービスが充実していれば、より安心して調査を任せられます。費用対効果についても検討しましょう。
M&Aの調査に必要な費用の目安
M&Aの調査にかかる費用は、調査内容によって異なります。具体的な目安は50万円~300万円と幅があるため、まずは見積もりを依頼しましょう。
M&Aにおける調査は主に譲受側が行います。特に、デューデリジェンス(買収監査・企業調査)には多額の費用がかかる可能性があります。調査に携わった専門家に支払う手数料や従業員の人件費も発生するため、注意が必要です。
M&Aにおける調査のまとめ
M&Aでは候補企業の選定から最終契約まで、各段階で調査が必要です。財務状況や資産、契約内容、事業の将来性、反社チェックなど調査項目は多岐にわたります。デューデリジェンスを含む十分な調査により、リスクを把握して適切な価格決定ができます。
みつきコンサルティングは経営コンサルティング経験者が多数在籍するM&A仲介会社です。対象企業の事業分析からシナジー効果の判断まで、専門的な知見で支援します。調査から統合まで一貫したサポートが可能ですので、M&Aをご検討の際はお気軽にご相談ください。
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著者

- 事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
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宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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