M&Aシニアエキスパート|事業承継資格との違い・必要性・取得方法

M&A関連の資格の1つに、「M&Aシニアエキスパート」というものがあります。本記事では「M&Aエキスパート」資格との違いや学習する必要性、資格の取得方法を解説します。

M&Aシニアエキスパートとは

M&Aシニアエキスパートは、M&Aに関する有名な資格です。M&Aによって譲渡を計画する際には、資格についての知識も持っておくことも有効です。

中小企業M&Aの実務に関する専門的な知識とスキルを証明できる資格

M&Aシニアエキスパートとは、M&Aに精通した人材の養成を実施し、中小・零細企業の安定や成長を目的とした認定制度に含まれる資格です。日本M&Aセンターの成約実績に基づいたケーススタディを活用し、実務に関するさまざまなノウハウを習得できます。すでに3,300名超の人が、M&Aシニアエキスパートとして認定されています。M&A業界への転職時はもちろん、実際にM&Aをする人にとっても役立つ資格です。

M&Aシニアエキスパートは中小企業M&A実務に関する難関資格

M&Aシニアエキスパートは、数あるM&A資格のなかでも難関資格として有名です。そのため受験の際には多くの時間をかけて、対策を取る必要があるでしょう。M&Aエキスパートの認定制度には、ほかに「事業承継シニアエキスパート」「事業承継・M&Aエキスパート」といった種類があります。

事業承継・M&Aエキスパートとの違い

M&Aエキスパートは基礎的な知識を証明する入門レベルの資格であるのに対し、M&Aシニアエキスパートはより高度な実務知識を要する上級レベルの資格です。両者の違いを以下の表にまとめました。

項目M&AエキスパートM&Aシニアエキスパート
正式名称事業承継・M&AエキスパートM&Aシニアエキスパート
難易度基礎レベル上級レベル
位置づけM&Aの基本的な知識を証明する資格M&A実務に関する高度な専門知識を証明する資格
受験資格特になし事業承継・M&Aエキスパート認定者などの条件あり
試験方式CBT方式(コンピューター試験)認定講座受講後に筆記試験
試験時間120分120分
出題形式四答択一式30問、総合問題10題四答択一式 50題
合格基準100点満点中70点以上非公開
実施時期通年実施年2回(5月と11月)
認定機関一般社団法人金融財政事情研究会一般社団法人金融財政事情研究会
事業承継・M&AエキスパートとM&Aシニアエキスパートの違い

M&A業界を目指す方へ:M&A業務に必要?

M&Aシニアエキスパートの取得にはさまざまなメリットがありますが、M&Aに関わる際に必須となるかは別の話です。以下では、M&Aシニアエキスパートの必要性について解説します。

M&Aを実施する際に資格は不要       

M&Aをする際に、特別な資格の取得は不要です。そのため資格を取得していなくても、問題なくM&Aを進められます。一方で、M&Aを計画・実施する際には、会計事務所などの専門家と一体となった仲介会社に依頼し、サポートを任せるのがおすすめです。専門知識を持つスペシャリストによる支援は、M&Aのスムーズな成約につながる可能性を高めます。

M&Aに備えて資格の概要を把握しておくことはおすすめ

これからのM&Aに備えて、資格の概要を把握しておくことも検討すべきです。資格についての知識があると、M&Aの際にさまざまなメリットを得られる可能性があります。直接的に知識を活かすシーンがなくても、「M&Aの資格を取得している」「関連資格の知識を持っている」事実が、自信のある行動につながるケースは考えられます。

オーナー経営者へ:譲渡側が学習するメリット

M&Aシニアエキスパートの資格は、譲渡側に多くのメリットを与えます。以下では、M&Aの譲渡主が、M&Aシニアエキスパートについて知るメリットを解説します。

M&Aに関する専門的な知識を身に付けられる

M&Aシニアエキスパートの概要や試験内容をチェックすることで、M&Aの専門知識を身に付けられる可能性があります。M&Aに関する学習の一環として、資格の概要を確認する方法も検討されます。一方で、M&Aシニアエキスパートは専門的な要素が多いため、初心者は別のM&A資格を参考にすると良いでしょう。

相手のスキルや能力を図る指標になる

M&Aシニアエキスパートを取得している人材は、M&Aに関する高いスキルを持っていると想定できます。コンサルタントやM&Aサービスに依頼する際には、M&Aシニアエキスパートの資格を持っている人材を探すのも1つの方法です。一方で、必ずしも「M&Aシニアエキスパートの資格を持っているから、高いスキルを保有している」とは限らない点に注意が必要です。資格はあくまで目安に過ぎないため、実際にその目で相手の能力を測る必要があります。

将来的にM&Aの事業に関わるのなら取得を目指すこともおすすめ

将来的にM&Aに関する事業に携わりたいのなら、M&Aシニアエキスパートの資格取得が検討されます。実際にM&Aをする機会を利用し、具体的な経験をしながら、M&Aシニアエキスパートの勉強をすることも考えられるでしょう。M&Aシニアエキスパートは難関資格に該当するため、長期的な学習が必要になる可能性もあります。興味があるなら早めに情報収集と試験対策に臨み、合格を目指すのがおすすめです。

資格を取得する方法

M&Aシニアエキスパートを取得するには、所定の方法・条件を満たす必要があります。以下では、M&Aシニアエキスパートの資格を取得する方法を解説します。

資格を取得するまでの流れ

M&Aシニアエキスパート資格を取得までの一般的な流れは以下のとおりです。

1.「M&Aシニアエキスパート養成スクール」を受講する

M&Aシニアエキスパート資格を受験するには、「M&Aシニアエキスパート養成スクール」の認定講座を、3日間受ける必要があります。受講資格は、以下の内容になっています。

  • 事業承継・M&Aエキスパート認定者(試験合格者)
  • 弁護士・公認会計士・税理士・司法書士、銀行・信用金庫・信用組合・証券会社・生命保険会社において法人営業経験が5年以上あり、現在も在籍中の人
  • 会計事務所等で5年以上の実務経験があり、現在も在籍中の人
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士

講義時間は10:00〜17:30で、受講料としてテキスト代を含めた132,000円(10%税込)が必要です。詳しい受講カリキュラムも、事業継承・M&Aエキスパート協会のホームページで確認できます。

2.M&Aシニアエキスパートの認定試験を受験する

M&Aシニアエキスパート養成スクールの認定講座を受講後、M&Aシニアエキスパートの認定試験を受験します。試験で100点中70点以上を取得することで、合格となります。点数は試験終了後のスコアレポートで確認可能なため、合否をスムーズに把握できます。試験では7割の正答が必要になるため、しっかりと試験対策をして点数を獲得できるように備えましょう。

3.M&Aシニアエキスパートの認定証を受け取る

試験に合格したら、M&Aシニアエキスパートの認定証を受け取ります。認定証を受け取ることで、正式にM&Aシニアエキスパートとして認定されます。認定証の送付には、試験から約1か月程度かかります。そのためM&A業界への転職時に、M&Aシニアエキスパートの資格を活用したい場合には、送付時期に注意が必要です。

試験の概要

M&Aシニアエキスパート資格は、四答択一式・記述式などの問題が計50題出題され、120分間で回答する試験が実施されます。出題範囲には、「M&A実務」「企業評価実務」「M&Aの法務・会計・税務」が含まれます。試験を受ける際には、受験料として11,000円(10%税込)が必要です。試験日時や会場は、事業継承・M&Aエキスパート協会のホームページで確認可能です。

M&Aなら「みつきコンサルティング」がおすすめ

M&Aの実施時には、専門家のサポートを受けることでスムーズに必要なプロセスを進められます。M&Aを検討する際には、専門知識を持つ人材を多数確保している「みつきコンサルティング」への相談がおすすめです。

みつきコンサルティングは、税理士法人系のM&A仲介会社です。これまで財務のプロとしてさまざまなM&Aに携わり、多数の案件を制約させた実績があります。成約率は80%以上となっているため、スムーズにM&Aをクロージング(成約)させたいケースでもお役に立てます。専任のコンサルタントがM&Aの支援を実施し、候補先の選定から調査、交渉までを担当します。完全成功報酬となるため、成約に至るまで費用はかかりません。まずはお気軽に、M&Aの進め方について「みつきコンサルティング」にご相談ください。

M&Aシニアエキスパートのまとめ

M&Aシニアエキスパートは、M&A関連の資格のなかでも、難関なものとして知られています。取得の難易度は高いですが、その分メリットが大きい資格だといえるでしょう。M&A業界への転職を考える人だけでなく、実際にM&Aで譲渡を検討している人にも役立つ可能性があります。この機会にM&Aシニアエキスパートについて、詳細を確認してみてはいかがでしょうか。

M&Aのプロにサポートを依頼するのなら、みつきコンサルティングへご相談ください。税理士や会計士といった財務のプロが、専門知識とノウハウを活かしてM&Aの全面的なサポートを実施します。M&Aにおける悩みの解決につながるアドバイスも可能なので、お困りの際にはまず1度「みつきコンサルティング」にお問い合わせください。

著者

西尾崇
西尾崇事業法人第三部長
宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。
監修:みつき税理士法人

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