未経験からM&A業界への転職は難易度が高いものの、正しい戦略があれば決して不可能ではありません。本記事では、10年以上の経験を持つM&A専門家の視点から、最新の採用動向、求められるスキル、会計知識の重要性を詳しく解説します。年収アップやキャリア形成を目指す方が、どのように準備を進め、激戦の選考を勝ち抜くべきか、その具体的な道筋を提示します。
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未経験から挑むM&A業界の現状と2026年の採用トレンド
M&A業界は、成果主義による報酬の高さや、経営に直結する専門スキルを磨ける場として、中途採用市場で非常に高い人気を誇っています。かつては一握りのエリートのみが挑戦できる領域でしたが、近年の社会情勢の変化により、未経験者にも門戸が広がっています。
なぜ今、未経験者の採用が活発なのか
現在、日本国内では少子高齢化に伴う後継者不在が深刻な社会課題となっています。多くの中堅・中小企業が「事業を誰に引き継ぐか」という悩みを抱えており、その解決策としてM&Aの需要が急増しているのです。
この需要拡大に合わせ、特にM&A仲介会社では人員の増強を急いでいます。即戦力となる経験者だけでは数が足りないため、ポテンシャル(将来性)を評価して未経験者を積極的に採用し、自社で育成する体制を整える企業が増えています。2025年から2026年にかけては、特にIT・ベンチャー特化型や、中小企業を支援する仲介会社において、若手の採用意欲が依然として高い状況にあります。
未経験者の転職難易度は高い
採用が活発とはいえ、その難易度は高いのが現実です。M&A業務は、会社の売買という経営者の「人生の決断」をサポートする仕事であり、圧倒的な人間力とビジネス総合力が求められるからです。
一般的な書類選考から内定までの通過率は、わずか数パーセント程度と言われています。倍率が30倍を超えるケースも珍しくありません。単に「稼げそう」「格好いい」といった志望動機では通用せず、後述するような実績や覚悟が厳しく問われます。
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M&A業界の主な転職先と難易度の違い
M&A業界は企業の種類によって業務内容や求める人物像が大きく異なります。下表の通り、未経験者が目指すべき方向性を決めるために全体像を把握します。
| 企業の種類 | 特徴 | 未経験採用 | 報酬・その他 |
|---|---|---|---|
| M&A仲介会社 | M&A仲介会社は、譲渡オーナー(売り手)と譲受企業(買い手)の間に立ち、中立的な立場でマッチングから成約までを支援します。中小企業の事業承継案件が中心で、営業力が極めて重視されます。 日本特有の業態ですが、日本で実行される殆どのM&Aを支援しているのが仲介会社になります。 | 最も積極的です。異業種のトップセールスが多く活躍しています。 | インセンティブ比率が高く、数千万円単位の年収も可能です。 |
| FAS(財務アドバイザリー) | FASは、M&Aに関連する財務調査(DD)や企業価値の算定、戦略立案など、専門的なコンサルティングサービスを提供します。BIG4などの大手~中堅会計事務所の系列が多く、専門性が高く、案件の一部のみに関わることもあります。 | 若手であれば可能ですが、公認会計士や税理士などの有資格者、または高い財務分析スキルが求められます。 | 専門性の高い業務内容です。 |
| 投資銀行・PEファンド | 投資銀行は超大型案件や海外案件を扱い、資金調達の支援も行います。PEファンドは未公開企業に投資し、企業価値を高めてから売却する投資家としての立場です。 | 投資銀行は若手のポテンシャル枠を除き非常に稀です。PEファンドは投資銀行やコンサル出身の「M&Aのプロ」が選別されるため、業界未経験者には極めて高い壁です。 | 高度な専門性が求められます。 |
| 事業会社のM&A部門 | 自社の成長戦略としてM&Aを行う企業(リクルートやニデックなど)の内部で、買収の実務を担います。 | 近年は採用が増えていますが、基本的にはM&Aの経験者が優先されます。 | 自社の成長戦略を担う重要な役割です。 |
これらの中で最も未経験者が入りやすい業態はM&A仲介会社になります。
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未経験者に求められる「3つの必須条件」
M&A業界への切符を手にするためには、以下の3要素で圧倒的な強みを示す必要があります。
1. 圧倒的な営業実績と「人間力」
M&Aアドバイザーは、経営者が心血を注いで育ててきた会社の譲渡を扱うため、深い信頼関係を築ける能力が必須です。
- 基準: 現職での営業成績が上位10%以内、できれば3〜5%以内に入っていることが望ましいです。
- 内容: 単に数字が良いだけでなく、なぜその成果を出せたのか、どのような工夫で顧客の課題を解決したのかを、論理的に説明できる力が求められます。
2. 強靭なメンタルと「激務耐性」
M&Aの仕事は華やかに見えますが、実際には非常にハードワークです。
- 特徴: 1件の成約に平均1年程度を要する「足の長いビジネス」であり、その間、常に高いプレッシャーにさらされます。
- 現実: 出張の多さ、膨大な資料作成、深夜や休日におよぶ交渉のサポートなど、泥臭い作業が大部分を占めます。これらを「当事者意識」を持ってやり抜く覚悟が必要です。
3. 基礎的な財務・会計知識
「財務が読めなければ仕事が成立しない」と言われるほど、数字への理解は必須です。
- 最低ライン: 日商簿記3級程度の知識は最低限必要で、より上位のレイヤーを目指すなら2級程度の学力が必要になります。
- 実務での活用: 決算書から企業の強みやリスクを読み解き、将来の収益性を予測する際に、この知識が土台となります。
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会計事務所・税理士法人出身者がM&A仲介で「最強」である理由
ここで、M&A実務に携わる立場からの重要な知見をお伝えします。未経験からM&A業界、特にM&A仲介会社を目指す上で、「会計事務所や税理士法人での勤務経験」は、営業経験に匹敵する、あるいはそれ以上の強力な武器になり得ます。
譲渡オーナー(売り手)からの圧倒的な信頼
M&A仲介の第一歩は、譲渡を検討しているオーナー社長との接点を持つことですが、経営者が最も心を開き、お金の悩みを相談できる相手は、顧問税理士や会計の専門家です。税理士等の資格者は、最初から共通の言語(決算書の数字)で会話ができますし、何より「単なる営業マン」ではないとみなされるため、信頼を獲得するスピードが格段に速くなります。これは、一般的な営業職出身者にはない、会計系バックグラウンドを持つ方だけの特権です。
企業価値算定(バリュエーション)の精度
M&Aにおいて、「この会社はいくらで売れるのか(買えるのか)」の算出は最も重要なプロセスの一つです。 会計事務所出身者は、減価償却費の取り扱い、役員報酬の適正化、節税策の裏側など、帳簿の数字の「裏側にある事実」を読み取る力に長けています。実態に即した正確な企業価値を算出できる能力は、交渉を円滑に進めるための核心的なスキルとなります。仮に算定結果が一般のアドバイザーと同じだとしても、譲渡オーナーに与える信頼感が違います。
みつきコンサルティングが体現する「会計×M&A」の価値
当社「みつきコンサルティング」は、みつき税理士法人グループに属するM&A仲介会社です。これは、単なるマッチングにとどまらず、税務・財務の高度な専門性を背景にした支援が可能であることを意味します。 未経験からM&A仲介への転職を考える際、「数字に強い」という特性を活かせる環境を選ぶことは、自身の成功確率を飛躍的に高める戦略的な選択と言えるでしょう。
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M&A業界への転職を成功させるための具体的な準備
未経験から内定を勝ち取るためには、入念な準備が必要です。
取得すべき資格と知識の習得
必須の国家資格はありませんが、意欲と基礎知識の証明として以下を検討してください。
- 日商簿記2級: もはや「持っていて当たり前」のレベルです。
- M&Aエキスパート: 金融財政事情研究会などが運営する民間資格。業界の全体像を学ぶのに最適です。
- 中小企業診断士: 経営全般の知識があることをアピールできます。
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対象年齢と学歴の壁を理解する
- 年齢: 20代中盤から30代半ばまでが全体の約9割を占めます。30歳を超えると、未経験からの採用は一気に難しくなるのが実情です。
- 学歴: M&A仲介会社では大卒以上であれば職歴重視ですが、外資系投資銀行などは東京大学・京都大学レベルの学歴が求められる傾向があります。
未経験者による転職方法
M&A業界への転職では、エージェント活用だけでなく、直接応募も有効な手段です。それぞれの特徴を理解し、戦略的に使い分けることが成功への鍵となります。
転職エージェントの賢い使い方
M&A業界の選考情報は「ブラックボックス化」している部分が多く、専門エージェントの活用が効果的です。
- メリット: 非公開求人の紹介、書類添削、模擬面接、年収交渉の代行などが受けられます。
- ポイント: M&A業界に特化した、実績のあるエージェントを選ぶことが内定への近道です。
直接応募という選択肢
エージェント経由だけでなく、企業の採用ページから直接応募することも有力な方法です。
- メリット: 企業側の採用コスト(紹介手数料)がかからないため、採用ハードルが下がる可能性があります。また、志望度の高さを直接アピールできる点も強みです。
- ポイント: 自分の市場価値を客観的に把握し、企業研究を徹底する必要がありますが、熱意を伝えやすいルートと言えます。
エージェントで情報収集しつつ、本命企業には直接応募するなど、柔軟な活動が推奨されます。
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未経験者が知っておくべきM&A業界の「光と影」
入社後に「思っていたのと違う」と後悔しないよう、M&A業界への理解を深めておきましょう。
M&Aアドバイザーの具体的な仕事内容
M&A業界での主な業務は「ソーシング」と「エグゼキューション」の2段階に分かれます。
| プロセス | 具体的な業務内容 | 求められるスキル |
|---|---|---|
| ソーシング | ターゲット選定、DM・電話・訪問によるアプローチ、譲渡オーナーとの面談、アドバイザリー契約の締結 | 行動力、テレアポ、傾聴力、信頼構築力 |
| エグゼキューション | 企業評価、資料(IM)作成、譲受候補の選定、お見合いの実施、意向表明、基本合意、DD対応、最終契約、決済 | 財務分析力、調整力、交渉力、法務・税務知識 |
メリット:得られるリワード
- 高年収: 平均年収が1,000万円から2,000万円を超える企業も多く、20代で1,000万円到達は珍しくありません。
- 市場価値の向上: 金融、法務、税務、経営に関する知識が身につき、将来の起業や経営層へのキャリアパスも広がります。
- 社会貢献: 廃業危機にある企業を救い、従業員の雇用を守ることで得られる達成感は格別です。
デメリット:厳しい現実
- 激務: 案件の締切直前などは連日終電帰り、徹夜作業が発生することもあります。
- 成果主義の重圧: 結果が出なければ報酬が低くなるだけでなく、精神的なプレッシャーも大きいです。
- 地道な作業: 華やかな交渉の裏で、膨大なデータ入力やスケジュール調整、電話営業などの泥臭い作業が続きます。
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未経験者のM&A業界への転職に関するFAQ
M&A業界への転職を検討されている方からよく寄せられる質問にお答えします。
国内の中小企業を対象とするM&A仲介会社では、基本的に英語力は問われません。ただし、外資系投資銀行やFASでクロスボーダー(海外)案件を扱う場合は、ビジネスレベルの英語力が必須となります。
非常に難しいですが、公認会計士や税理士などの高い専門性があれば、FASなどの領域で採用される可能性はあります。極稀に、みつきコンサルティング等の会計事務所系M&A仲介会社では、営業未経験者にも門戸を開いていることがあります。なお、一部の仲介会社ではポテンシャル枠として採用することもありますが、何らかの「抜きん出た実績」が必須です。
証券会社、メガバンク、地方銀行などの金融業界や、キーエンス、リクルートといった高い営業力が求められる企業、または総合商社やコンサルティングファームの出身者は非常に高く評価されます。
正直なところ、30代後半からの未経験採用は極めて限定的です。ただし、特定の業界での深い知見(例:医療、IT、建設)や、経営者としての経験、あるいは高度な士業資格(公認会計士等)があれば、チャンスはあります。
未経験からM&A業界を目指すあなたへ
未経験からM&A業界へ飛び込むことは、あなたのキャリアにおける「最大の冒険」になるかもしれません。高い壁はありますが、そこを乗り越えた先には、他の業界では決して味わえない大きな達成感と、確固たるプロフェッショナルとしての地位が待っています。特に、財務や税務の知識をお持ちの方は、その強みを武器に「経営者に寄り添えるアドバイザー」を目指してください。数字の力で企業の未来を創る仕事は、非常に尊いものです。
みつきコンサルティングは、みつき税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業のM&Aに特化しています。M&Aアドバイザー・公認会計士・税理士が多数在籍しており、M&A未経験でも税理士や公認会計士の資格をお持ちの方は応募可能です。未経験からM&A業界への挑戦をご検討の際は、ぜひご相談ください。
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著者

- 名古屋法人部長/M&A担当ディレクター
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人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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