中小企業M&Aの件数は2025年に過去最高を記録し、今後も2035年頃まで増加トレンドが続くと予測されています。経営者の高齢化や後継者不足を背景に、M&Aは「身売り」から「成長戦略」へと変化しました。本記事では、最新の市場データ、活発な業種、スモールM&Aやグループ化といった新潮流を解説します。自社の譲渡のタイミングはいつが最適でしょうか。
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中小企業M&A市場の現状|2025年は過去最高を記録
日本国内におけるM&A市場は、かつてない活況を呈しています。レコフデータの調査によると、2025年のM&A件数は過去最高の5,115件を記録しました。これは公表されている件数のみの集計であり、水面下で行われる小規模な取引を含めると、実態はさらに多いと推測されます。
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この増加傾向は一過性のものではありません。過去10年以上の長期トレンドを見ても、リーマンショックやコロナ禍による一時的な停滞を除き、M&A件数は右肩上がりで推移しています。特に近年は、中小企業同士のM&A(IN-IN型)が増加しており、大企業だけの戦略ではなく、中小企業の経営戦略として一般化していることが分かります。
また、事業承継・引継ぎ支援センターにおける成約件数も過去最高を更新し続けており、公的機関を通じた第三者承継も定着してきました。
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潜在市場規模は「13.5兆円」との試算も
特筆すべきは、今後の成長余地です。矢野経済研究所の調査によると、中小企業M&Aの潜在市場規模は約13兆5,000億円に上るとされています。現在M&Aを実施している企業は氷山の一角に過ぎず、潜在的には約20万社以上のM&Aニーズが存在すると見られています。 現場の感覚としても、これまでは「廃業」を選んでいた層が、「まずは査定だけでも」とM&Aを検討の選択肢に入れるケースが急増しています。
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なぜ中小企業のM&Aが増えているのか
M&Aが急増している背景には、構造的な社会課題と経営者の意識変化があります。主な要因は以下の3点に集約されます。
1. 深刻化する「2025年問題」と後継者不足
最大の要因は経営者の高齢化です。 帝国データバンク等の調査によると、社長の平均年齢は60.7歳と過去最高を更新しており、70代・80代の経営者も珍しくありません。いわゆる「団塊の世代」が75歳以上となる「2025年問題」を経て、数十万人の経営者が引退の時期に直面しています。 一方で、後継者不在率は依然として50%を超えています(約60%というデータもあります)。少子化や職業観の変化により、子供が事業を継がない「親族外承継」が当たり前となり、第三者への承継(M&A)が現実的な解として選ばれています。
2. 国による支援策の拡充
国も中小企業の廃業による経済損失(技術や雇用の喪失)を防ぐため、M&Aを強力に後押ししています。
- 事業承継・引継ぎ支援センター:全国47都道府県に設置され、相談対応やマッチング支援を強化。
- 事業承継・M&A補助金:専門家への手数料やデューデリジェンス費用の一部を補助。
- 税制優遇:事業承継税制や、M&A後の設備投資減税など。
これらの施策により、資金力が乏しい中小企業でもM&Aに取り組みやすい環境が整備されました。
3. 経営戦略としての「ポジティブな選択」へ
かつて中小企業のM&Aには「身売り」「乗っ取り」といったネガティブなイメージがつきまといました。しかし近年は、以下のような前向きな理由でのM&Aが増えています。
- 成長戦略:大手グループ入りによる販路拡大やデジタル化(DX)の推進。
- 人材確保:採用難の中、M&Aで従業員の雇用を守り、より良い待遇を提供する。
- 創業者利益:ハッピーリタイアによる第二の人生の充実。
現場でも、「会社を潰すより、大手と組んで社員を幸せにしたい」と語るオーナー社長が増えており、M&Aに対する心理的ハードルは劇的に下がっています。
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中小企業M&Aの最新動向|業種・地域別の特徴
M&Aの活発さは業種や地域によって濃淡があります。ここでは特に動きが激しい分野について解説します。
活発な業種とその背景
現在、特に下表の業種でM&Aが多発しています。共通するのは「業界再編」と「人手不足」の圧力です。
| 業種 | M&Aが増加している背景 |
|---|---|
| 調剤薬局 | 薬価改定や報酬制度の厳格化により、小規模店舗の経営が困難に。大手チェーンによる集約化(ロールアップ)が進行中。 |
| IT・ソフトウェア | 慢性的なエンジニア不足とDX需要の拡大。技術者と開発リソースを確保するための「時間を買う」M&Aが活発。 |
| 建設・物流 | 「2024年問題」による労働時間規制と人手不足。有資格者(ドライバー、施工管理技士)の確保が主目的。 |
| 医療・介護 | 経営者の高齢化に加え、採用難が深刻。地域医療を守るための事業承継型M&Aが急増。 |
| 製造業 | 高度な技術力を持ちながら後継者がいない「黒字廃業予備軍」を、技術獲得目的で買収するケースが多い。 |
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都市部から地方への「クロスボーダー的」な動き
地域別に見ると、関東(東京)の企業が買い手となり、地方の優良企業を買収するケースが増えています。 地方企業にとっては、都市部資本が入ることで経営基盤が強化され、全国への販路が開けるメリットがあります。一方で、地方×地方のM&Aは、対象企業数が限られることや専門家不足により、マッチングに苦戦するケースも散見されます。 支援の現場では、オンライン面談の普及により、距離の壁を越えたマッチングが以前よりスムーズに進むようになっています。
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今後の見通し|スモールM&Aとグループ化の進展
今後の中小企業M&Aのマーケットはどのように変化していくのでしょうか。2035年頃に向けた主要なトレンドを予測します。
「スモールM&A」の定着と一般化
年商数千万円〜1億円規模の小規模なM&A(スモールM&A)や、個人によるM&A(個人M&A)がさらに普及するでしょう。 M&Aマッチングサイトの台頭により、これまでは仲介会社が扱わなかった小規模案件でも相手探しが可能になりました。「飲食店を1店舗だけ譲渡する」「Webサイトだけ売却する」といったライトな取引は、今後ますます日常的なものになります。
「グループ化」による連邦経営
特定の(親)会社が、同業種の中小企業を次々と買収し、緩やかなグループを形成する動き(ロールアップ)が加速しています。 グループ入りした企業は、屋号や社長(雇われ社長として継続)を残したまま、バックオフィス業務や仕入を共通化して効率化を図ります。売り手オーナーにとっても、会社名やブランドを残せるため、心理的な抵抗感が少ない手法として好まれています。
2035年まで続く増加トレンド
民間調査によると、事業承継型のM&Aは2035年頃にピークを迎えると予測されています。経営者の高齢化の波はあと10年以上続くため、需要は底堅いでしょう。 ただし、買い手側の選別眼も厳しくなっています。「誰でも売れる」時代から、「選ばれる企業しか売れない」時代へと移行しつつあります。早めの「磨き上げ」(企業価値向上)が、将来の成約率を左右することになるでしょう。
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中小企業M&Aの動向に関するFAQ
中小企業M&Aの動向について、現場でよく聞かれる質問をまとめました。
条件次第では可能です。買い手は現在の利益だけでなく、技術、人材、立地、顧客基盤などの「将来の価値」を評価します。赤字の原因が明確で、買い手のノウハウで改善可能と判断されれば成約のチャンスは十分にあります。
一般的には半年から1年程度が目安です。マッチングサイトを利用したスモールM&Aでは3ヶ月程度で完了することもありますが、デューデリジェンス(買収監査)や条件交渉に時間を要する場合もあります。余裕を持ったスケジュールが必要です。
「自社と同規模・同業種の実績があるか」が重要です。大手仲介はネットワークが広い一方、営業優先だったり、手数料が高額な場合があります。地場の案件なら地域金融機関か全国対応の仲介会社、小規模ならマッチングサイトなど、自社のサイズ感に合った専門家を選びましょう。
現場で最も懸念される点です。一般的に、M&Aでは雇用条件の維持が確約されるケースが大半です。成約前の情報漏洩を防ぎ、成約後に丁寧な説明会を行うことで、不安を払拭し、キーマンの離職を防ぐことがPMI(統合プロセス)の要となります。
まとめ|中小企業M&Aの動向
中小企業M&Aは、2025年に過去最多件数を更新し、今後も2035年頃まで増加が続く見通しです。経営者の高齢化や後継者不足を背景に、M&Aは「廃業回避」の手段から、IT化や人材確保を含む「成長戦略」へと進化しました。特に調剤薬局、建設、IT業界等での再編が活発で、スモールM&Aやグループ化といった新しい形態も定着しつつあります。
当社の立場(みつき税理士法人グループのM&A仲介会社)としても、多くの中小企業M&Aの実績経験から、早めの準備が成功の鍵であると実感しています。M&Aアドバイザー・公認会計士・税理士が在籍する当社では、貴社の状況に合わせた最適な戦略をご提案します。中小企業M&A動向を踏まえた事業承継や成長戦略について、まずはお気軽にご相談ください。
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著者

- 事業法人第二部長/M&A担当ディレクター
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ヘルスケア分野に関わる経営支援会社を経て、みつきコンサルティングでは事業計画の策定、モニタリング支援事業に従事。運営するファンドでは、投資先の経営戦略の策定、組織改革等をハンズオンにて担当。東南アジアなど海外での業務経験から、クロスボーダー案件に関しても知見を有する。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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