電気工事業界のM&A動向と売却相場|後継者不足の解決方法・事例

電気工事業界では深刻な後継者不足と有資格者の争奪戦を背景に、M&Aが急増しています。本記事では、市場規模約13.2兆円を誇る業界の最新動向や、譲渡オーナーが得られるメリット、実際の成約事例を徹底解説。売却相場の算定方法や失敗しないための重要ポイントも網羅し、経営者の悩みを解決へ導きます。

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電気工事業界のM&A動向

電気工事業界はいま、かつてないほどのM&Aブームの渦中にあります。 街を見渡せば再開発や再生可能エネルギー設備の建設需要は旺盛ですが、足元では「黒字なのに後継者がいない」という深刻な悩みを抱えるオーナー社長が後を絶ちません。 現場では、単なる救済策としてではなく、成長戦略としてのM&Aが活発化しています。

活発化の背景|人材不足と技術承継の危機

M&Aが増加している最大の要因は、構造的な人材不足と後継者難です。 電気工事業界の経営者の平均年齢は62歳を超え、実に60%以上の企業で後継者が決まっていないというデータがあります。 また、現場を支える電気工事士や施工管理技士の高齢化も進んでおり、若年層の入職者が減少しているため、技術の承継自体が危ぶまれています。

さらに、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)への対応も急務です。 労務管理が厳格化される中、中小規模の事業者単独では採用や体制整備が追いつかず、組織力のある大手・中堅グループへの参画を選ぶケースが増えています。

異業種参入と事業領域の拡大トレンド

市場環境の変化もM&Aを後押ししています。 電気工事の市場規模は約13.2兆円(2023年度)と堅調に推移しており、そのうち内線工事が約7割を占めています。 一方で、太陽光発電やEV(電気自動車)充電インフラ、データセンターといった新たな成長分野が急速に拡大しており、これらの技術や施工能力を確保したい大手企業による買収意欲が高まっています。

従来は同業者同士の統合が中心でしたが、近年は以下のような動きが目立ちます。

  • 通信建設会社による買収:5GやIoTの普及に伴い、電気と通信の融合領域を強化するため。
  • 総合設備化:空調・給排水工事会社が電気工事会社を譲受し、設備工事の一括受注(ワンストップ化)を目指す動き。
  • 商社・メーカーの参入:自社商材の施工機能を内製化し、付加価値を高めるための垂直統合。

電気工事業M&Aは今後も増える

高度経済成長期に整備された道路照明やトンネル設備、受変電設備の更新需要は本格化しており、公共インフラの更新工事は長期にわたり安定した発注が期待できます。メガソーラー単体の伸び率は鈍化しているものの、太陽光と蓄電池、ZEB、EV充電設備を組み合わせた総合提案の需要は拡大しています。こうした成長ニーズに迅速に対応する手段として、M&Aによる技術・人材・許認可の一括取得は今後も有効であり、業界再編はさらに進むと予想されます。

電気工事会社の売却相場と株価算定のポイント

支援現場で最も多くいただく質問の一つが、「うちはいくらで売れるのか?」という点です。 電気工事会社の企業価値評価(バリュエーション)は、保有する資産だけでなく、収益力や人材の質が大きく影響します。

一般的な計算式

中小企業のM&A実務では、以下の簡便法を目安として用いることが一般的です。

譲渡価格の目安 = 時価純資産 + 実質営業利益 × 2年〜5年分

時価純資産とは、会社の資産(現金、売掛金、不動産など)から負債を引いた金額を時価で評価し直したものです。ここに、会社が本来持っている稼ぐ力(実質営業利益)の数年分(「のれん代」や「営業権」と呼ばれます)を上乗せして算出します。

電気工事業が譲渡価格を最大化するポイント

電気工事業界において、上記の「のれん代」を高く評価してもらい、譲渡価格を最大化するためには、以下の指標が重要視されます。

有資格者の年齢構成と人数

単に人数が多いだけでなく、第一種電気工事士や1級電気工事施工管理技士などの資格を持つ「若手・中堅社員」がどれだけ在籍しているかがカギとなります。

元請け比率と商流

特定の大手サブコンの下請けに依存せず、官公庁や地場優良企業からの「直請け(元請け)」案件が多い会社は収益性が高く、高評価につながります。

ストック収益の有無

工事の受注だけでなく、保守・点検などのメンテナンス契約による安定的なストック収益がある場合、経営の安定性が評価されやすくなります。

M&Aにおける譲渡オーナー・譲受企業のメリット

M&Aは譲渡オーナーと譲受企業の双方にとって課題を解決する手段となり得ます。下表は双方のメリットをまとめたものです。

譲渡オーナー(売り手)のメリット譲受企業(買い手)のメリット
後継者問題の解決
親族内承継が難しい場合でも、M&Aを活用することで第三者にバトンを渡すことが可能です。廃業を回避し、事業と雇用を存続できます。

従業員の雇用維持
廃業すれば従業員は解雇となりますが、M&Aであれば雇用契約は原則として維持されます。大手グループ入りにより福利厚生や待遇が改善されることもあります。

個人保証の解除
株式譲渡によって金融機関への個人保証という重荷から解放され、安心して引退生活に入ることができます。

創業者利益の確保
長年育ててきた会社の株式を現金化することで、老後の資金や新たな挑戦への原資となる創業者利益を得ることができます。
有資格者と技術力の確保
育成に数年かかる熟練技術者や有資格者をチーム単位で一括して確保できます。人材採用難の時代において極めて大きな価値です。

事業エリアと顧客基盤の拡大
自社が未進出のエリアで実績を持つ企業を譲受することで、スピーディーな商圏拡大が可能です。相手先の優良な顧客基盤や建設業許可、経営事項審査(経審)の点数なども承継できます。

▷関連:建設業のM&A・会社売却|2026年最新動向と相場・注意点を解説

具体的なM&A事例と注目領域

電気工事業界のM&Aは、同業種間での規模拡大だけでなく、周辺領域を取り込む動きも活発です。 ここでは、具体的な事例と注目の領域について解説します。

大手通信工事・設備会社によるロールアップ事例

地域に根ざした有力な電気工事会社を大手資本がグループ化する事例が増えています。下表は代表的な事例をまとめたものです。

事例概要譲受の狙い
北陸電気工事によるの日建の子会社化北陸を地盤とする北陸電気工事が、神奈川県で管工事・電気工事を手掛ける日建を譲り受けました。首都圏での商圏拡大を目的とした地域補完型のM&Aです。
きんでんによるフジクラエンジニアリングの子会社化大手電力系設備会社であるきんでんが、配電・送電技術や特定分野のエンジニアリング機能を持つフジクラエンジニアリングをグループに迎え入れました。技術補完を目的としており、専門的なエンジニアリング機能の強化を狙ったものです。

再エネ・脱炭素分野におけるM&A事例

カーボンニュートラルへの対応が急務となる中、再生可能エネルギー関連の技術を持つ企業への注目が集まっています。下表は代表的な事例になります。

事例概要譲受の狙い
燦キャピタルマネージメントによる高山エンジニアリングの子会社化太陽光発電設備の工事やコンサルティングに強みを持つ高山エンジニアリングを譲受しました。クリーンエネルギー分野への参入加速を目的としています。太陽光だけでなく、蓄電池設置やEV充電インフラ整備など、脱炭素関連の工事需要を取り込む狙いがあります。

総合設備化・周辺領域への展開事例

「電気」だけでなく「管(空調・衛生)」「通信」なども含めた総合設備業への転換を図る事例も見られます。下表は代表的な事例です。

事例概要譲受の狙い
ETSホールディングスによるユウキ産業の子会社化電気工事会社であるETSホールディングスが、空調・給排水工事を手掛けるユウキ産業を譲受し、設備工事の一括受注体制を構築しました。発注者(ゼネコンや施主)から見た窓口の一本化を実現し、受注競争力を高めることを目的としています。電気・管・通信を横断した総合設備業への転換を図る戦略です。

電気工事業のM&Aを成功させるポイント

M&Aは相手がある取引であり、単に「売りたい」だけでは成立しません。 譲渡オーナーが希望する条件で、かつ従業員にとっても幸せな成約を勝ち取るためには、入念な準備が必要です。

適切なバリュエーションと企業価値の可視化

自社の強みを客観的な数字や資料で「見える化」することが不可欠です。 買い手企業は、財務諸表の数字だけでなく、その裏側にある実態を厳しくチェックします。 特に以下の点は、デューデリジェンス(買収監査)で重点的に確認されます。

  • 工事原価管理の正確性:ドンブリ勘定になっていないか、未成工事支出金に架空計上がないか。
  • 労務コンプライアンス:未払い残業代や社会保険の加入状況、安全管理体制に不備はないか。
  • 保有資格の状況:名義貸しなどの違法行為がないか、資格者の高齢化リスクはどうなっているか。

これらを事前に整理し、リスクがあれば隠さずに開示・対策することで、買い手からの信頼を得ることができます。

専門家の活用とPMI(統合プロセス)の重要性

M&Aは成約(クロージング)がゴールではありません。成約後のPMI(統合作業)が成功して初めて、会社は成長軌道に乗ります。 特に電気工事業界は「職人気質」の会社が多く、企業文化の違いが摩擦を生みやすい傾向にあります。 現場の職人が新しい親会社の管理体制に反発し、連鎖退職してしまうことは絶対に避けなければなりません。 そのためには、業界特有の商慣習や現場の機微を理解しているM&A仲介会社のサポートが不可欠です。専門家を通じて、統合後の給与体系や現場ルールのすり合わせを慎重に行うことが、技術者の離職を防ぐカギとなります。

M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。



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電気工事会社のM&Aに関するFAQ

M&Aを検討し始めたオーナー社長から寄せられる、よくある質問にお答えします。

Q:赤字や債務超過でも会社を売却できますか?

不可能ではありませんが、ハードルは上がります。ただし、電気工事業界は人材不足が深刻なため、財務状況が悪くても「有資格者が多数在籍している」「特定の優良顧客との口座がある」といった強みがあれば、買い手が見つかる可能性は十分にあります。現場ではまず、保有する資格者リストと直近の受注明細を確認します。

Q:M&Aのことは従業員にいつ伝えるべきですか?

基本的には、最終契約を締結たい直後、またはクロージング直後が望ましいです。検討段階で噂が広まると、従業員が不安を感じて動揺したり、退職につながったりするリスクがあるからです。伝えるタイミングと伝え方については、専門のアドバイザーと綿密に打ち合わせることを強くお勧めします。

Q:建設業許可や経営事項審査(経審)の点数は引き継げますか?

株式譲渡(会社ごと売却)のスキームであれば、許認可や経審の点数は原則としてそのまま引き継がれます。これが事業譲渡の場合は、許認可の取り直しが必要になるケースがあるため注意が必要です。契約条項と許認可の種類によるため、法務確認が必須となります。

電気工事業界に精通したM&A仲介会社|みつきコンサルティング

近年、電気工事業界では後継者不在や人材確保の課題解決策としてM&Aが加速しており、大手企業によるロールアップや異業種からの参入が活発化しています。譲渡オーナー様にとっては、創業者利益の確保や従業員の雇用維持を実現する好機ですが、成功には業界特有の商流や資格制度への理解が不可欠です。

みつきコンサルティングは、税理士法人グループのM&A仲介会社として、財務や税務の専門性を活かした精緻な企業価値評価に強みを持っています。電気工事業界のM&Aの実績経験が豊富で、職人の想いや現場の事情を深く理解したアドバイザーが、貴社の強みを最大限に引き出すご提案をいたします。電気工事業界のM&A・会社売却なら、みつきコンサルティングへお気軽にご相談ください。

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著者

田原 聖治
田原 聖治事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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