建築資材業界のM&A動向|事例・売却のメリットとデメリット・流れ

建築資材業界のM&A動向や相場、譲渡のメリットについて専門家の視点で解説します。後継者不足や市場縮小に悩む譲渡オーナーにとって、大手傘下入りは会社の存続と従業員の雇用を守る有効な手段です。サプライチェーン統合によるコスト削減など、業界特有の事情を踏まえた手続の流れや高く売るためのポイントをお伝えします。

「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」。そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績に基づき、お応えします。本格検討前の情報収集として、まずはお話をお聞かせください。

建築資材業界のM&Aが活発化している背景と最新トレンド

建築資材・建材卸業界を取り巻く経営環境は、年々厳しさを増しています。多くの経営者が将来への不安を抱えており、大手の傘下に入ることで事業の安定を図る動きが加速している状況です。

後継者不足と市場縮小による業界再編

地方の中小規模の建材卸会社では、親族や社内に事業を任せられる人材がいないケースが多発しています。国内の住宅着工件数が減少傾向にある中、単独での生き残りは容易ではありません。長年育ててきた会社を存続させ、従業員の雇用を維持するためには、第三者への事業承継が現実的な選択肢となります。譲受企業にとっても、地域の顧客網をそのまま引き継げる点は大きな魅力といえるでしょう。

大手による集約と規模の経済

業界全体で利益率の低下が課題となる中、スケールメリットを追求する動きが顕著です。たとえば、JKホールディングスグループのブルケン関東が日新電機から事業譲受を行った事例のように、大手企業によるエリア拡大や商品ラインナップ拡充を目的とした再編が進んでいます。支援現場でも、より広域で戦うための経営基盤強化を急ぐ声はよく耳にします。

サプライチェーンの垂直統合とデジタル化

仕入れから販売、さらに施工までを一元化する垂直統合型のM&Aが増加しています。流通プロセスを自社グループ内に取り込むことで中間コストを削減し、競争力を飛躍的に高めることが可能です。また、受発注業務のデジタル化に対応しきれない中小企業が、IT投資に積極的な企業のシステムを活用するために合流するケースも増えつつあります。

建築資材業界における主なM&A事例

他社の動向を知ることは、自社の将来像を描くための第一歩となります。ここでは、業界内で実際に起きた代表的な譲受の事例を紹介します。

長谷工コーポレーションによるウッドフレンズのTOB(2025年)

2025年には、長谷工コーポレーションがウッドフレンズを公開買付けにより子会社化しました。木造住宅関連のノウハウを取り込み、総合的な住環境づくりを加速させる狙いがあります。川上から川下までを網羅する動きは、今後も継続するでしょう。

ブルケン東日本による東洋住建の買収(2022年)

2022年の事例では、ブルケン東日本が東北エリアで建材販売と施工を行う東洋住建をグループに迎え入れました。これは明確な販売エリアの拡大と、施工体制の強化を狙ったものです。地域の有力な地盤を持つ企業は、大手にとって時間を買える貴重な存在となります。

前田工繊によるセブンケミカルの買収(2021年)

2021年に実施されたこの案件は、技術補完の好例といえます。前田工繊は、防水材製造において特殊な技術と実績を持つセブンケミカルを子会社化しました。これにより、自社のインフラ向け商材に新たな付加価値を加え、事業領域のさらなる拡大を実現しています。

コンドーテックによる栗山アルミの子会社化(2021年)

同じく2021年、コンドーテックがアルミ型材製造を手がける栗山アルミを譲受しました。商材の拡充だけでなく、製造ノウハウをグループ内に取り込むことで提案力を強化した事例です。現場の感覚としても、特定の素材に強い企業は常に高い関心を集めます。

建築資材業界でM&Aを選択するメリット・デメリット

経営権の移転は、双方の企業に大きな変化をもたらします。以下に譲渡オーナーと譲受企業の視点から要点を整理します。

売り手のメリット・デメリット

長年背負ってきた経営の重圧から解放される一方で、想定外の摩擦が生じるリスクも考慮しなければなりません。以下の表に詳細をまとめました。

譲渡オーナーのメリット譲渡オーナーのデメリット
事業承継と雇用の維持
後継者不在の問題を解決し、従業員の雇用や取引先との関係を継続できます。建築資材業界では長年にわたって築いた施工会社やメーカーとの取引関係が企業価値の核となるため、廃業ではなくM&Aによる事業継続が取引先への信頼維持につながります。

創業者利益の獲得
株式の売却によってまとまった資金を手にし、引退後の生活資金や新たな事業への投資に充てられます。建築資材業界は在庫資産や物流拠点を多く抱えるケースが多く、これらを適切に評価されることで想定以上の創業者利益を得られる場合があります。

個人保証の解除
譲受企業が負債を引き継ぐため、経営者に重くのしかかっていた金融機関の連帯保証や担保提供から解放されます。建材の仕入れに伴う借入金や設備投資融資への個人保証を抱えるオーナーにとって、この解放は精神的な安心感をもたらします。
経営の自由度の喪失
大手グループの傘下に入ることで、これまでの独自の企業文化や柔軟な意思決定が制限される可能性があります。特に地域密着型の建材店では、長年の慣行や顧客との独自の商慣習が親会社の方針と合わない場面が生じることがあります。

従業員や取引先の離反リスク
情報開示のタイミングを誤ると、不安を感じた優秀な営業担当者や重要な仕入先が離れてしまう懸念があります。建築資材業界では担当者個人の人間関係で取引が維持されているケースも多く、キーマンの離職が売上に直接影響するリスクがあります。

希望条件との乖離
不良在庫の評価損や簿外債務が発覚した場合、当初想定していた譲渡価格から大幅に減額されるリスクがあります。建築資材業界では季節変動や建設需要の波により在庫の評価が変動しやすいため、事前に在庫の状態を整理しておくことが重要です。

買い手のメリット・デメリット

成長の時間を短縮できる強力な手法ですが、買収後の統合プロセスにつまずくと投資回収が遅れる懸念があります。下表に主なリスクを示します。

譲受企業のメリット譲受企業のデメリット
販売エリア・顧客基盤の拡大
新規エリアへの参入を果たすとともに、既存顧客へのクロスセルによって売上を飛躍的に伸ばせます。建築資材業界では地域ごとの施工会社やゼネコンとの取引関係が重要であり、地場に根ざした企業を譲受することで、ゼロから営業網を構築するコストと時間を大幅に短縮できます。

コスト削減と効率化
仕入れ窓口の一元化や物流網の共通化を図ることで、サプライチェーン全体のコストを大幅に削減できます。建築資材は重量物が多く物流コストが収益に直結するため、配送拠点の統合や共同配送によるコスト削減効果は特に大きくなります。

技術や人材の獲得
施工管理技士などの有資格者や、特定の建材に関する深い専門知識を持つ熟練スタッフを即座に確保できます。建築資材業界では断熱材・耐火材・環境対応建材など専門性の高い製品知識が競争力の源泉となるため、こうした人材の獲得は特に大きな価値を持ちます。
簿外債務の引き受けリスク
未払い残業代や書面化されていない口頭での契約など、デューデリジェンスで発見できなかった負債を抱え込む恐れがあります。建築資材業界では、棚卸資産の評価や得意先への長期未回収売掛金が簿外リスクとして潜んでいるケースがあるため、在庫・債権の実態調査を徹底することが重要です。

PMI(統合プロセス)の難航
給与体系や人事評価の統合がスムーズに進まず、旧体制の従業員から反発を受けることで組織の生産性が低下する懸念があります。建築資材業界では職人気質のベテラン社員が多く、新しい管理体制への抵抗感が生じやすい点に配慮が必要です。

システム統合の負担
受発注システムや在庫管理ソフトが異なる場合、その統合に多大な時間と追加のIT投資費用が発生するケースがあります。建築資材業界は受発注の頻度が高い割にFAX等による商慣習が根強く残っており、現場への納品管理が複雑なため、システム統合の遅れが現場対応の混乱に直結するリスクがあります。

建築資材業界の企業価値の目安

自社がどれくらいの価値で評価されるのかは、多くの譲渡オーナーが最も気にするポイントです。業界の相場感と評価を高める要素について解説します。

建築資材業界の売却相場と一般的な企業価値評価

企業価値は一般的に、時価純資産に営業利益の数年分(のれん)を加算する手法で簡易的に算出されます。建築資材業界においては、この営業権部分を示すEBITDA倍率が3〜5倍程度で評価される傾向にあります。ただし、広大な資材置き場の含み益や、長期間動いていない不良在庫の有無によって実際の評価額は大きく変動するため、帳簿上の数字だけで判断するのは危険です。

建築資材業界で高く売れるポイント

買い手が何を見て評価するのかを知ることが、手取額を最大化するための近道となります。

安定した既存顧客との取引基盤

地域の工務店やゼネコンとの間に、長年にわたる直接の取引口座を持っていることは極めて高い評価に直結します。譲受企業は自社の商材をその顧客網に乗せて販売するクロスセルを強く期待しているからです。特定の1社への売上依存度が低く、多数の優良顧客が分散している状態が最も理想的だといえます。

特殊な技術や商材の保有

一般的な汎用品だけでなく、特定のメーカーの一次代理店権や、自社独自の加工技術を持っている企業は希少価値が高まります。他社が簡単に真似できない強みを持つことで、単なる価格競争から脱却できるため、譲受企業は相場以上のプレミアムを乗せてでも買収を希望します。

物流網や施工体制の内製化

ただ商品を右から左へ流すだけでなく、自社で倉庫や配送トラックを保有し、ジャストインタイムで現場に納品できる機能は大きな強みです。さらに、建材の納入と併せて取付工事まで一括で請け負える施工体制を有している企業は、高い利益率を確保できるため引く手あまたとなります。

建築資材業界のM&Aの進め方(流れ)

会社売却には専門的な手続が連続するため、全体のロードマップをあらかじめ把握しておくことが安心につながります。

STEP
事前準備と仲介会社への相談

決算書や保有資格のリストなどを準備し、M&A仲介会社に相談を持ちかけます。建築資材業界では、倉庫内の過剰在庫や滞留在庫の扱いが後々問題になりやすいため、初期段階で実態を正確に把握しておくことが重要です。

※当社では、業界特有の在庫評価を考慮した簡易的な株価算定を無料で実施しています。

STEP
企業価値算定と譲受企業の選定

算出された目安を踏まえ、シナジーが見込める候補企業をリストアップします。建材卸同士の同業統合か、関連施工会社への異業種売却かによってアプローチ方法は大きく変わります。

※みつきコンサルティングは、全国の幅広いネットワークから最適な譲受企業をご提案します。

STEP
トップ面談と基本合意の締結

双方の経営トップが直接顔を合わせ、経営理念や将来のビジョンをすり合わせます。条件が折り合えば、独占交渉権を付与する基本合意書を取り交わします。

※当社では、トップ面談前の想定問答づくりから当日の同席までフルサポートいたします。

STEP
デューデリジェンスの実施

譲受企業が公認会計士や弁護士を派遣し、財務や法務の詳細な調査を行います。建材業界特有のポイントとして、一般建設業許可などの更新状況や、取引先との間で書面化されていない口頭の契約条件がないかなどが厳しくチェックされます。

※当社なら、外部専門家との煩雑なやり取りもすべて窓口となって代行します。

STEP
最終譲渡契約の締結と決済

調査結果を踏まえて最終的な譲渡価格や条件を確定させ、最終契約書に調印します。その後、株式の引き渡しと同時に売却代金が決済され、経営権が正式に移行します。

※みつきコンサルティングなら、オーナーの利益を最大化する契約条項の交渉に妥協しません。

STEP
統合プロセスと従業員への開示

最も配慮が求められるのが、周囲への情報開示のタイミングです。地域の工務店や仕入先メーカーに対して、いつ誰がどう伝えるかを綿密に計画し、離反を防がなければなりません。

※当社では、成約後も従業員や取引先への円滑な発表手順まで丁寧にアドバイスします。

建築資材業界におけるM&Aの今後の見通し

この先、業界を取り巻く環境はどのように変化していくのでしょうか。

建材卸業界では効率化と生き残りをかけ、M&Aは引き続き活発に推移すると予想されます。資材価格の高騰や物流の課題に対処するためには、一定の企業規模が不可欠だからです。様子を見ている間に自社の競争力が相対的に低下してしまうリスクもあるため、早い段階で選択肢を持っておくことが経営者の責任ともいえます。

みつきコンサルティングが建築資材業界のM&Aで選ばれる理由

大切な会社の未来を託すパートナー選びは、決して失敗が許されません。

建築資材業界における豊富なネットワーク

建築資材・建材卸業界特有の商習慣や評価ポイントを熟知しています。一般的な決算書には表れない顧客との関係性や技術力を的確に言語化し、譲受企業に対して力強くアピールすることが可能です。

税理士法人グループならではの高度な財務分析

M&Aにおいては税務リスクの排除や、手取額を最大化するためのスキーム構築が欠かせません。公認会計士・税理士が多数在籍する当社の強みを活かし、複雑な財務・税務課題にも迅速かつ正確に対応し、安全な取引を実現します。

初期費用ゼロの完全成功報酬制

着手金や中間金といった途中費用は一切いただきません。成約に至るまで費用が発生しない完全成功報酬制を採用しているため、初期費用の負担なく、じっくりと納得のいく譲受企業探しに専念していただけます。

M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。



建築資材業界のM&Aに関するFAQ

支援現場で譲渡オーナーからよくいただくご質問にお答えします。

Q:建材の在庫に不良在庫が含まれていると売却に不利ですか。

全く売れないわけではありませんが、評価額の減額対象にはなります。現場では、まず実地棚卸を行い、正常在庫と不良在庫を切り分けることがあります。事前に対策を打つことで負のサプライズ要因を最小限に抑えます。

Q:建設業許可は譲受企業にそのまま引き継がれますか。

株式譲渡のスキームであれば、法人格が存続するため原則としてそのまま引き継がれます。ただし、経営業務の管理責任者や専任技術者が退職してしまうと要件を満たさなくなるため、キーマンの継続雇用が条件となることが多いです。

Q:取引先であるメーカーや工務店に反対されませんか。

契約条項と相手先企業との関係性次第です。基本的には大手グループに入ることで信用力が増し、取引先にとってもメリットが大きいと説明します。事前漏洩を防ぎ、適切なタイミングで(通常は譲渡直後に)丁寧に説明することが重要です。

建築資材業界に精通したM&A仲介会社|みつきコンサルティング

建築資材業界のM&Aは、後継者不足の解消や大手の傘下入りによる競争力強化など、多くの利点をもたらします。在庫評価や許認可の引継ぎなど特有の課題も存在しますが、入念な準備により回避は十分可能です。長年会社を守り抜いてきたオーナーの決断が報われるよう、当社が誠心誠意サポートいたします。

税理士法人グループである当社は、建築資材業界のM&A支援において豊富な実績と高度な専門知識を有しています。財務調査から最適なマッチング、最終的な手続まで一貫して支援し、オーナーの手取額の最大化を実現します。建築資材業界のM&Aなら、みつきコンサルティングへご相談ください。

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著者

田原 聖治
田原 聖治事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人

みつきコンサルティングは、中小企業の会社売却・事業承継に特化した譲渡企業様に完全成功報酬制のM&A仲介会社です。売り手と買い手企業の最適なマッチングを、経験豊富なM&Aコンサルタントが初期相談から成約まで一貫してフルサポートします。

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