会社売却後の元オーナーの役割を徹底解説!残留期間や注意点

会社売却を検討する際、経営者が最も気になることの一つが「売却後の自分の立場」です。引退して自由を謳歌するのか、それとも顧問として会社に残るのか。会社売却後のオーナーの役割は、契約条件や本人の意向によって多岐にわたります。本記事では、残留・引退それぞれの具体的な役割や、成功のために欠かせない心のケア、実務上の注意点について、専門家の視点から詳しく解説します。

「うちの会社でも売却できるだろうか…」、「何から始めればいいんだろう…」
そのようなオーナー経営者の不安に、中小企業向けM&A仲介会社みつきコンサルティングは、20年間・500件以上の支援実績にもとづく無料相談でお応えします。本格的な検討前の情報収集だけでもかまいません。まずはお話をお聞かせください。

会社売却後のオーナーの役割の全体像

会社売却が完了した後、譲渡オーナーがどのような道を歩むかは、大きく分けて「会社に残留する」か「完全に引退する」かの二択となります。

かつての中小企業M&Aでは、売却と同時にオーナーが引退するケースが一般的でした。しかし、近年のM&A市場では、スムーズな経営統合(PMI)を実現するために、元オーナーが一定期間サポート役に回るケースが多く見られます。これは、譲受企業側が「前オーナーの持つノウハウや人脈」を高く評価し、事業の安定性を確保したいと考えるためです。

また、売却益を手にした後に、全く新しいビジネスを立ち上げる「シリアルアントレプレナー(連続起業家)」としての役割を選ぶオーナーも増えています。

会社に残留する場合の具体的な役割とポジション

会社売却後、一定期間会社に残る場合、その役割は最終契約でどのように取り決めるかによって異なります。主なポジションは以下の通りです。

社長・役員としての続投(ロックアップ)

譲受企業の傘下で、引き続き経営トップや事業責任者として指揮を執るケースです。これは一般に「ロックアップ(キーマン条項)」と呼ばれ、通常2〜3年程度の期間が設定されます。事業の安定性を保ち、譲受企業へスムーズにバトンを渡すことが最大の役割となります。

会長・顧問・相談役としてのサポート

実務の決定権は譲りつつ、大所高所からアドバイスを行う役割です。主な仕事は、重要な取引先への挨拶回りや業界団体との関係維持、社内文化の継承などです。実務負担を減らしつつ、後継者の育成をサポートする立場と言えます。

残留する場合の役割比較表

役職主な役割意思決定権売主のメリット
社長・役員経営の継続、目標達成有(制限あり)収入の安定、事業への責任
会長・顧問助言、取引先維持無(または限定的)負担軽減、ノウハウ継承
事業責任者特定部門の統括部門内のみ現場への貢献、スキル活用

会社を完全に離れる場合の人生の選択肢

会社売却後、完全に会社を離れる場合の選択肢を下表にまとめました。ビジネスの第一線を退いた後も、多様なセカンドライフが可能です。

選択肢内容
新たなビジネスへの挑戦売却で得た多額の資金と、これまでの経営経験を活かして、新会社を設立するケースです。一度会社を育て上げたノウハウがあるため成功率が高く、よりスケールの大きな事業に挑む経営者も少なくありません。また、プライベートカンパニーを設立し、地域貢献や資産管理を目的とした運営を行う例も見られます。
セミリタイア・引退による自由な生活経済的な自由を手に入れ、趣味や家族との時間を最優先にする生き方です。海外移住や長期旅行、ゴルフなどの趣味に没頭するなど、これまでの忙しい日常では叶わなかったセカンドライフを送ることが可能です。
社会貢献や投資家としての活動これまでの経験を社会に還元するため、NPO活動や慈善事業に参画するオーナーもいます。また、「エンジェル投資家」として、若手起業家への資金援助やメンター(助言者)としての役割を担い、次世代の育成に貢献する道もあります。

専門家が明かす!実務で重視される「心の準備」

10年以上のコンサルティング経験から申し上げますと、会社売却後のオーナーにとって最も困難なのは、実務的な役割の遂行ではなく「アイデンティティの再構築」です。

ポストM&Aブルー(喪失感)への対策

「会社の顔」であった自分から、一人の個人に戻る過程で、強い孤独感や喪失感(ポストM&Aブルー)を抱える方は珍しくありません。これまで「会社=自分」だった生活が突然なくなるため、何を目標にすべきか分からなくなってしまうのです。これを防ぐには、売却前から「売却後の人生設計」を綿密に行っておくことが不可欠です。

権限の変化に対する受容

残留する場合、以前は自分の判断ですべて決定できていたことが、親会社(譲受企業)の承認を必要とする体制に変わります。この「権限の縮小」にストレスを感じるオーナーは多く、新体制に馴染めず早期退職に至るケースもあります。残留を選ぶ際は、自分が「組織の一員」として動けるかどうか、冷静に見極める必要があります。

新たな存在意義の発見

売却資金を活用して、以前からやりたかったボランティア活動を始めたり、子息の教育に力を入れたりすることで、新たな生きがいを見つける方も多くいらっしゃいます。会社を離れることは「終わり」ではなく、人生の「再定義」であるとポジティブに捉えることが、幸せな売却後の人生を歩む鍵となります。

会社売却後のオーナーが直面する契約上の拘束

会社売却後の役割は、売主としての希望だけでなく、最終契約書(DA)に定められた義務によっても規定されます。下表の通り、株式譲渡契約書等によって3つの重要な要素が決定されます。

契約上の要素内容
競業避止義務による制限売却後、一定期間は「同じ業種での起業」や「競合他社への就職」が制限されることが一般的です。これは、元オーナーが近隣で同様の商売を始めると、譲受企業の利益を損なうためです。新しい挑戦を考えている場合は、この義務の範囲と期間を事前に交渉しておく必要があります。
アーンアウト条項と業績へのコミット「売却後の業績目標」の達成度に応じて、追加で譲渡対価が支払われる契約をアーンアウトと呼びます。この条項がある場合、元オーナーは売却後も高い利益目標を達成するために、強いコミットメントと役割を求められることになります。
個人保証からの解放というメリット役割とは異なりますが、会社売却の大きな副産物として、金融機関からの個人保証(経営者保証)の解除があります。譲受企業が債務を引き継ぐことで、オーナーは財務的な重圧から解放され、新たな役割に専念できる環境が整います。

元オーナーが果たすべき重要な引継ぎ業務

会社譲渡後、元オーナーには「無形資産の承継」という非常に重要な役割が期待されています。下表の通り、従業員や取引先への対応、ノウハウの伝達の3つの観点から責任を果たす必要があります。

役割内容
従業員への説明と不安の払拭オーナーの交代は、従業員にとって最大の不安要素です。売却の背景や新体制のメリットを丁寧に説明し、モチベーションの低下や離職を防ぐフォローを行うことは、元オーナーにしかできない役割です。
主要な取引先・顧客との関係維持「社長の人柄」で取引が続いている中小企業の場合、オーナーの退任が取引停止のリスクを招きます。譲受企業の担当者を同行させ、自ら紹介・推薦を行うことで、良好な関係を次世代に繋ぐ役割を果たす必要があります。
独自のノウハウや社風の伝達マニュアル化されていない業務フローや、業界特有の慣習、大切にしてきた経営理念などを譲受側に伝えます。これがスムーズに進まないと、統合プロセス(PMI)でトラブルが生じる原因となります。

会社売却後のオーナーに関するFAQ

会社売却を検討中の経営者から、オーナーの役割についてよく寄せられる質問をまとめました。

Q:売却後、強制的に会社を辞めさせられることはありますか?

一般的に、中小企業のM&Aにおいてオーナーが強制的に排除されることは稀です。むしろ、引き継ぎのために「残ってほしい」と懇願されるケースがほとんどです。ただし、譲受企業の経営方針や契約内容によっては、役割が変更される可能性はあります。

Q:顧問として残る場合、給料はどのくらいもらえますか?

役員報酬や顧問料は、これまでの報酬体系や期待される役割に応じて、買い手との交渉で決まります。フルタイムではない場合、以前よりは減額されるのが一般的ですが、それでも一定の安定した収入を得られるメリットがあります。

Q:競業避止義務はどのくらいの期間続くのが一般的ですか?

業種や地域にもよりますが、一般的には2年から5年程度とされることが多いです。期間があまりに長すぎたり、範囲が広すぎたりすると、その後の人生設計に支障が出かねないため、契約締結前に必ず専門家を交えて詳細を詰めるべきです。

会社売却後のオーナーの役割を最適化するために

会社売却後のオーナーの役割は、単なる契約上の義務ではなく、その後の人生の幸福度を大きく左右する重要な要素です。会社売却後のオーナーの役割は、残留して経営を支える、引退して新たな趣味や慈善活動に充てる、あるいは連続起業家として再出発するなど、多岐にわたります。どの道を選ぶにせよ、事前の契約交渉で役割を明確にし、従業員や取引先への配慮を忘れずに行うことが、M&A成功の鍵を握っています。

当社は、みつき税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の業歴があり、中小企業のM&Aに特化した実績経験が豊富なM&Aアドバイザー・公認会計士・税理士が多く在籍しております。会社売却後の役割等について不明な点がある際は、みつきコンサルティングにご相談ください。

著者

伊丹 宏久
伊丹 宏久事業法人第二部長/M&A担当ディレクター
ヘルスケア分野に関わる経営支援会社を経て、みつきコンサルティングでは事業計画の策定、モニタリング支援事業に従事。運営するファンドでは、投資先の経営戦略の策定、組織改革等をハンズオンにて担当。東南アジアなど海外での業務経験から、クロスボーダー案件に関しても知見を有する。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人

【無料】資料をダウンロードする

M&Aを成功させるための重要ポイント

M&Aを成功させるための
重要ポイント

M&Aの事例20選

M&Aの事例20選

事業承継の方法とは

事業承継の方法とは

【無料】会社売却のご相談 
簡単30秒!即日対応も可能です

貴社名*
お名前*
電話番号*
メールアドレス*
所在地*
ご相談内容(任意)

個人情報の取扱規程に同意のうえ送信ください。営業目的はご遠慮ください。

買収ニーズのご登録はこちら >

その他のお問い合わせはこちら >