特定目的会社(TMK)とは何か、その目的や仕組み、設立方法などについて詳しく解説しています。特別目的会社(SPC)との違いや、設立のメリット・デメリットについても触れており、具体的な活用事例も紹介しています。
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特定目的会社(TMK)とは
特定目的会社(TMK)とは、資産の証券化に関する法律(資産証券化法)に基づいて設立される法人です。TMKは、特定目的会社のローマ字表記である”Tokutei Mokuteki Kaisha”の略称を取った名称です。
TMKは特別目的会社(SPC)の一種
特定目的会社(TMK)と似た法人として、特別目的会社(SPC:Special Purpose Company)があります。英語表記にすると、”Special Purpose Company”で、略称をとってSPC(エスピーシー)と呼ばれます。
特定の資産を証券化することは同じなのですが、特定目的会社(TMK)は「モノありき」の証券化といわれ、不動産だけに絞られます。特別目的会社(SPC)は「カネありき」の証券化といわれ、不動産だけでなくさまざまな資産を証券化させることができます。特定目的会社(TMK)は、特別目的会社(SPC)の一種となります。
▷関連:SPCとは?持株会社との違い・メリットとデメリット・活用方法
株式会社との違い
特定目的会社(TMK)と株式会社の大きな違いは、事業活動の範囲に制限があるかどうかです。株式会社は活動の範囲に制限がなく、事業をするために役職員の雇用も行います。
特定目的会社(TMK)は、資産証券化法という不動産などの資産を証券化する法律に基づいて設立される法人なので、活動の範囲が資産保有に限定されます。営業活動を行わないので、職員を雇用することはできません。一方で株式会社は会社法に基づいて設立される法人で、行える事業や従業員の雇用について制限がありません。
特定目的会社の目的
特定目的会社(TMK)の目的は、資産を保有している会社が、その特定の資産とその資産を保有するのにかかる負債を特定目的会社に譲渡することにより、資産を保有していた会社の貸借対照表を改善することです。
不動産や債権などの資産を保有するオリジネーター(原資産保有者)が、特定の資産を保有することを目的として特定目的会社(TMK)を使います。その資産を特定目的会社(TMK)に譲渡して事業全体の貸借対照表に記載しない(オフバランス化)ようにします。そして特定目的会社(TMK)の所有者は、資産の流動化により当該会社が発行する証券の保有者となり、資産が生み出すキャッシュフローを原資として投資の回収を図ります。
特定目的会社のメリット・デメリット
特定目的会社(TMK)のメリットとデメリットを整理した表は以下の通りです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 自己資本比率の維持 ・自己資本比率とは、会社財務の健全性を測る指標 ・総資本に占める純資産の比率で、自己資本比率が高いほど、総資本に対して借りているお金の比率が少なく、財務的健全性は高い ・会社が金融機関から借り入れした場合、会社の負債額が増加し自己資本比率が下がる ・特定目的会社(TMK)を設立すると、負債を負うのは会社ではなく特定目的会社(TMK)となるため、会社の自己資本比率を維持することができる ・金融機関からの信頼に繋がり、資金を受けやすくなる 倒産回避 ・事業がうまくいかなくなり倒産することになった場合、会社は保有している不動産などの資産を売却して債務を精算しなければならない ・特定目的会社(TMK)を設立し不動産を移転しておけば、仮に会社が倒産しても不動産は特定目的会社(TMK)の資産として守られる ・特定目的会社(TMK)に資産を移転し、資産を証券化することによって、資産を保有し続けることにより生じるさまざまなリスクから回避することができる ・債権者にとっては債権回収の可能性増加にもつながる バランスシートのスリム化 ・会社の貸借対照表(バランスシート)から不動産などの資産や負債を分離し、特定目的会社(TMK)に移し、特定の資産を分離することができる(オフバランス化) ・貸借対照表がスリム化されることで、自己資本比率や自己資本利益率といった財務指標を向上させることが可能となる ・大きな負債を負って取得した資産(ex.不動産)保有していると、負債比率が上がり、自己資本比率が下がってしまう ・資産や負債を特定目的会社(TMK)に移し、分離することで資産のオフバランス化が図れる ・事業に必要な追加資金や設備資金に必要な資金が受けやすくなる | 設立コストの発生 ・特定目的会社(TMK)の設立の最大のデメリットは、設立や維持にコストがかかること ・特定目的会社(TMK)の設立はSPC法に基づくため、10円以上の資本金を用意する必要がある ・会社設立の登記費用に3万円かかる ・最も大きな費用は専門家への報酬 ・特定目的会社(TMK)の設立には各種手続が必要になるため、登記費用などにかかる専門家報酬が発生する ・債権者に配当を分配する際の登記会計士などの監査にも維持コストが必要 手間と時間がかかる ・特定目的会社(TMK)の設立には、業務開始届出や資産流動化計画の作成・届出など、多くの手続きが必要 ・資産流動化法に基づく提出書類も求められる ・資産の取得予定日を逆算し、現実的なスケジュールを立てることが重要 |
自己資本比率の維持やバランスシートのスリム化といった財務面のメリットがある一方で、設立コストや手続きの煩雑さといったデメリットにも十分な配慮が必要です。特に設立や維持にかかる専門家報酬は、事前に十分な予算を確保しておくことが重要となります。
特定目的会社(TMK)の税務メリット
特定目的会社(TMK)を設立することで、税制面での優遇措置がとられています。
支払配当金の損金算入
法人税法では、配当を損金に算入することができませんが、資産流動化法では、一定の要件を満たすことで、TMKが機関投資家に支払う配当が、TMKにおいて損金になります。(租税特別措置法第67条の14)
不動産取得税等の減免
特定目的会社(TMK)を設立すると不動産取得税の減免が受けられています。具体的には、不動産取得税の5分の3を軽減することができます。
また、本来2%の税率が課される登録免許税の登記費用も、特定目的会社では1.3%です。この不動産取得税、登録免許税における減免措置は、従来の令和5年3月31日から2年間延期され、令和7年3月31日までとなっています。
特定目的会社(TMK)の設立方法
最後に、特定目的会社(TMK)を設立する際の流れについて概要していきます。
特定目的会社の仕組み
特定目的会社は株式会社形態の法人として設立され、不動産を証券化したうえで債権者へ売却します。不動産収益を債権者に分配するだけの簡素な仕組みなので、株主に財務諸表を出さず、役員も存在しません。
特定資産の流動化について基本事項を定めたのが資産流動化計画です。資産流動化計画には、計画期間、資産対象証券の優先劣後の程度、特定資産の内容・取得の時期、特定資産の管理及び処分の方法等の事項を記載し、あらかじめすべての特定社員の承認を受けなければならないことがSPC法に規定されています。
設立の流れ
特定目的会社の設立に係るSPC法に則って進められるため、基本的にSPCの設立と同じ流れです。
- 公証人や登記法務局、税務署などの各種機関に特定目的会社(TMK)設立の申告
- 設立にあたって、発起人となる特定社員や議決権の引受証明など必要書類、定款案の作成、原始財産目録(実査)を作成
- 定款を作成し、公証人で認証を受ける
- 金融機関に特定資本金を預け、払込証明書を発行依頼する
- 法務局で登記申請(申請日が設立日)
- 申請から2週間後に登記完了
特定目的会社を設立する条件として、下記のようなものが挙げられます。
- 資本金は10万円以上、内閣総理大臣への届出が必要
- 登録免許税は3万円
- 定款印紙が必要
- 取締役1人+監査役1人が必要、会計監査法人が必要な場合もある
- 資産流動化計画の作成が必要
- 業務開始届出の提出が必要
特定目的会社(TMK)はM&Aできる?
TMKは資産流動化法に基づいて設立される特別な法人形態であり、主に不動産の証券化を目的として設立されます。TMKは用途が限定的であり、資産流動化に特化した会社形態ですが、M&A(譲渡または買収)の当事者にはなれるのでしょうか。
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TMKの持分譲渡
TMKの持分(優先出資)の譲渡自体は法律上可能です。ただし、TMKは資産流動化法の枠組みの中で運営される必要があり、通常の株式会社のような柔軟なM&A取引には向いていません。TMKは特定の資産(主に不動産)の流動化という限定的な目的のために設立されるため、一般的な事業承継や企業買収のスキームとして活用されることは稀です。
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M&Aで使われるのはSPC
M&Aの実務では、TMKよりもSPC(特別目的会社)が広く活用されています。SPCは柔軟なスキーム設計が可能で、LBO(レバレッジド・バイアウト)などのM&A手法で頻繁に利用されます。買収資金の調達やリスク分離、買収後の事業再編などを目的として設立され、不動産以外の事業や資産にも対応できる点が特徴です。
▷関連:LBOとは?仕組とM&Aスキームの流れ・メリットとデメリット
特定目的会社(TMK)のまとめ
特定目的会社(TMK)は、資産流動化法に基づく不動産の証券化に特化した法人で、自己資本比率の維持やバランスシートのスリム化が可能です。設立には資本金10万円以上、内閣総理大臣への届出、資産流動化計画の作成など、株式会社とは異なる手続きが必要となります。支払配当金の損金算入や不動産取得税の減免など税務上のメリットがある一方、設立コストや専門家報酬などの費用負担にも留意が必要です。
みつきコンサルティングは、みつき税理士法人グループのM&A仲介会社として15年以上の実績を持ちます。中小企業M&Aに特化し、経験豊富なM&Aアドバイザー、公認会計士、税理士が多数在籍しています。特定目的会社の設立は、資産流動化法の専門知識と税務面での高度な理解が求められます。みつき税理士法人と連携することで、法務・税務面のサポートをワンストップで提供できます。特定目的会社の活用をご検討の際は、ぜひ当社にご相談ください。
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著者

- 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
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みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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