-まずは、今回M&Aをご検討された経緯について、改めて詳しくお聞かせいただけますか。
当社は創業以来、楽器製造業界で事業を拡大してまいりました。楽器製造業界では老舗企業に入るかなと思います。私自身、2代目社長として会社を地道に育ててきた自負がありますが、ここ数年は業界を取り巻く環境が大きく変化し競争も激化していました。加えて、自身の年齢のこと、そして何よりも後継者問題が現実味を帯びてきたことが大きなきっかけです。従業員や弊社の楽器を購入して下さるお客様のためにも、会社の継続と持続的な成長が必要と考えたとき、M&Aという選択肢が最も現実的であるのではないかと考えるようになりました。
-M&Aを具体的に検討し始めた際、どのような悩みや不安を感じていらっしゃいましたか?
正直なところ、最初は不安だらけでした。M&A自体が初めての経験でしたので、何から手を付けてよいのか分からず、どのように情報を取るのが良いのかも分からない状況でした。特に、従業員の雇用や取引先との関係がどうなるのか、会社の文化や理念がきちんと引き継がれるのかという点が心配でした。また、会社の価値がどのように評価されるのか、条件交渉がどのように進むのだろうなど、漠然とした不安がありました。
-みつきコンサルティングにご相談されたきっかけは何でしたか?
みつきコンサルティングさんから事業承継の選択肢としてM&Aを検討してみませんか?というお手紙を頂いたことがきっかけでした。60歳を超えたぐらいからM&Aに関するお手紙を数多く頂きますが、みつきコンサルティングさんから頂戴したお手紙は、お相手先やM&Aによって得られるシナジーが具体的に記載されていましたので、半信半疑ではありましたがお話を一度聞いてみようと思い同封されていたFAXをご返信させて頂いたことがきっかけでした。実際に担当者とお会いしてみると、丁寧に話を聞いてくださり、業界の動向やM&Aの流れについて分かりやすく説明していただきました。私の悩みや不安に寄り添いながら、的確なアドバイスをくださったので、自然と信頼感が生まれました。
-初回の面談で印象に残ったことや、担当者とのやり取りで感じたことを教えてください。
担当者の方は、数字や業績だけでなく、私自身の想いや会社の歴史、従業員への想いまで深くヒアリングしてくださいました。「どんな形で会社を残したいのか」「譲渡後にどんな未来を描きたいのか」といった本質的な部分にまで踏み込んで話してくださったのが印象的でした。単なる事務的なやり取りではなく、私の気持ちを大切にしてくれる姿勢に、安心感を覚えました。
-M&Aのプロセスに入る際、どのような準備や心構えが必要だと感じましたか?
まずは自社の現状を客観的に見つめ直すことが大切だと感じました。担当者のアドバイスもあり、財務状況や組織体制、事業の強み・弱みを整理し、資料を整える作業から始めました。また、従業員や取引先に対して、どのタイミングでどのように説明するかも事前に考えておく必要があると感じました。M&Aは会社オーナーだけの問題ではなく、従業員や取引先など多くの方に影響を与えるものなので、責任の重さを改めて実感しました。
-譲渡先企業に求めた条件や希望は、どのようなものでしたか?
一番大切にしたのは従業員の雇用が現行水準の処遇を維持し守られること、そして会社の文化や価値観を大切にしてくれることでした。また、事業の成長に本気で取り組んでくださる企業であること、理念やビジョンをご理解頂けるかどうかも重視しました。
-みつきコンサルティングの担当者は、候補先の選定や交渉でどのようなサポートをしてくれましたか?
私たちの希望や不安を丁寧にヒアリングしたうえで、複数の候補先企業を提案してくださいました。それぞれの企業の特徴や強み、経営方針などを分かりやすく説明してくださり、比較検討できるよう複数の候補先をご提案頂きました。お相手との交渉の場面では、私たちの立場に立って、細かな条件調整や意思疎通をきめ細やかに行ってくださり、非常に心強かったです。
-実際に複数の候補先とお会いされたと伺っていますが、その際に感じたことや印象深いエピソードがあれば教えてください。
どの企業様も熱意を持ってお話しくださり、当社の事業や従業員に関心を持っていただけたことはありがたかったです。その中でも最終的に譲渡を決めたG社は、事業運営方針を丁寧にお話頂く中で、自社の従業員の方々を大切にされていらっしゃるんだなということが伝わってきたことで、G社のオーナー様なら弊社の事業や従業員も本当に大切にしてくださるだろうというイメージが沸いてきました。
-M&Aプロセスの中で、特に大変だったことは何でしょうか?
デューデリジェンスの対応は、やはり大変でした。普段の業務と並行して資料提出やQ&Aの回答を進めなければならなかったので、忙しさと対応量の多さで負担が大きかったです。しかし、その都度、担当者の方が譲渡企業様側から頂く資料の徴求内容やQ&Aの質問内容を嚙み砕いてお伝え頂きましたので私の負担もかなり省略できたではと感じております。担当者の方も大変だったと思いますが、細やかなサポートをして頂いたことは大変感謝しております。
-従業員の方々への説明やフォローについて、どのように進められましたか?
従業員への説明は、できる限り早い段階で行うことを心がけました。突然の発表で驚く従業員や不安を感じていそうな従業員もいましたが、私の年齢を鑑み、従業員の雇用の維持や事業の持続的な運営体制を整えるためには、このタイミングでM&Aを実施することがベストだと考えた経緯を従業員へ説明を行いました。従業員への開示前に担当者から他社の事例や説明内容の打ち合わせを入念にし説明会当日も同席して頂きましたので非常に心強くスムーズに説明できたと思います。全体での説明会の後、個別に面談を設けたことで、従業員の不安や疑問の大半は解消できたのではと思っております。
-取引先やお客様へのご説明はどのように進められましたか?
主要な取引先には個別に訪問しM&Aに至った経緯をご説明し、今後も変わらずお取引が続くことをお伝えしました。お取引様からは長年のお付き合いということもあり、労いのお言葉を頂くなど温かいお言葉を頂戴し感謝の気持ちでいっぱいでした。個人のお客様にはオーナーが誰かと言うよりは、魅力的な商品(楽器)が今後も販売されるかが大事な論点かと思いますので、特別ご説明は行いませんでした。
-譲渡先企業との最終的な意思決定に至ったポイントは何でしたか?
当社の事業や従業員を大切にしてくださる姿勢が決め手でした。M&A後も引継ぎ業務などで私も一定期間会社に残る予定ですが、いずれ退任することが決まっている中で、一緒に頑張ってきた仲間である従業員がM&Aを機にネガティブな思いをして欲しくないという気持ちが大きかったです。また、譲渡後の事業計画や成長戦略についても具体的な提案があり、当社の将来を託せるとお相手先であると確信できました。
-みつきコンサルティングの担当者が特に頼りになったと感じた場面はありますか?
交渉が難航した際や、私が迷ったときに、冷静かつ的確にアドバイスをくださった点です。30年近く運営してきた会社ということもあり、私自身感情的になりがちな場面も多くあったと思います。そんな中でも、中立的な立場で客観的なアドバイスを頂戴できたこと、私の意向に沿わない意見も忌憚なくぶつけて頂くなど真摯に向き合いサポートして頂いていることを常に感じさせて頂いてたので、安心して任せることができました。また、細かな事務手続きやスケジュール管理も徹底してサポートしていただきましたのでストレスなく進めることができたと思います。
-M&Aの最終契約締結時のご心境を教えてください。
正直、ホッとした気持ちと同時に、寂しさもありました。長年運営してきた会社を手放すことへの葛藤はありましたが、担当者や譲渡先企業の方々が温かく見守ってくださり、前向きな気持ちで新しいスタートを切らなければとの思いになることができました。
-譲渡後、ご自身の生活や心境に変化はありましたか?
これまで経営に全力で取り組んできた分、少し肩の荷が下りたような気がします。今は、一線を退き会社の成長を見守る立場として、引き続き応援していきたいと思っています。従業員が新しい環境で活躍している姿を見ると、M&Aを決断して本当に良かったと感じます。
-M&Aを通じて、会社や従業員にとって良かったと感じる点はありますか?
新しい経営体制に変わり、社長も若返ったことで事業運営スピードが上がったことやG社のノウハウやネットワークの活用で様々な施策にチャレンジする機会が増えたことで、会社にもより活力が出てきたのではと感じております。また、資本力ある企業グループに参画したことで、従業員も安心して働ける環境を感じてもらえているのではと思います。
-最後に、これからM&Aを検討される方へメッセージがあればお願いします。
M&Aを検討されるのであれば早めに専門家に相談されるのが、良いかと思います。私もM&Aを検討したいと思った時、何かあら検討すべきか分かりませんでした。専門家であるみつきコンサルティングさんに相談したことで、M&Aに期待すること、自社の状況把握、M&A後のイメージ等が徐々に整理され進みだしたと思います。相談する相手がいることで、自分自身への腹落ちも深くなっていくと思います。悩みや不安は尽きないと思いますが、信頼できる専門家と一緒に進めることで、必ず道は開けると思います。自分の想いを大切に、納得のいく選択をしてもらえればと思います。