株式を譲渡すると、支払調書の提出が義務付けられます。提出する際には、提出対象者であるか、保有する株式などが提出対象であるか、といった確認が必要です。本記事では、支払調書の定義や提出先、手続について解説します。
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株式等の譲渡の対価の支払調書とは
株式譲渡における支払調書とは、株式等の譲渡の対価の支払を証明するための書類を意味します。税務署が納税者の支払いを正確に把握するために必要で、法定調書の1つです。支払調書は、所得税法および租税特別措置法により、年間5万円以上の報酬を、個人に対して支払った場合の提出義務範囲について、規定されています。
株式譲渡を行う場合、譲渡側は住民税・所得税・復興特別所得税、譲受側は贈与税が課せられるケースがあることも覚えていきましょう。株式譲渡の実施を支払調書によって報告し、これらの税金の確定申告の内容が正確であるかを確認します。
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譲渡代金の支払をする会社が提出する
支払調書は、譲渡企業が上場・非上場に限らず、提出が必要な書類です。手続の対象者は、国内で株式等の譲渡の対価の支払いをする法人、証券会社または銀行とされています。M&Aの場合には、譲受側の会社が手続対象者(提出義務者)ということです。
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提出対象となる「株式等」
提出対象となっている「株式等」には、以下のものが該当します。
- 株式(株主または投資主となる権利、株式の割当を受ける権利、新株予約権および新株予約権の割当を受ける権利を含む)
- 特別の法律により設立された法人の出資者の持分、合名会社、合資会社または合同会社の社員の持分、協同組合等の組合員または会員の持分、その他法人の出資者の持分(出資者、社員、組合員または会員となる権利および出資の割当を受ける権利を含み、「3」に記すものを除く)
- 協同組織金融機関の優先出資に関する法律に規定する優先出資(優先出資者となる権利および優先出資の割当を受ける権利を含む)および資産の流動化に関する法律に規定する優先出資(優先出資社員となる権利および同法に規定する引受権を含む)
- 投資信託の受益権
- 特定受益証券発行信託の受益権
- 社債的受益権
- 公社債
自身が保有する株式などが該当するのか不明確な場合は、税理士や弁護士といった専門的な知識を持つ、プロのサポートを受けましょう。
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株式等の譲渡の対価の支払調書の手続・方法
ここからは、株式等の譲渡の対価の支払調書の手続き方法について解説します。株式譲渡に関する支払調書の手続には、「株式等の譲渡の対価等の支払調書」「株式等の譲渡における対価等の支払調書合計書」の両方を提出しなければなりません。
様式と記載要領については、国税庁のホームページからダウンロードが可能です。税務署で直接用紙を受け取ることもできるため、自分に合った方法で用意しましょう。
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株式等の譲渡の対価等の支払調書の作成
株式等の譲渡の対価等の支払調書を作成します。各項目に、株式譲渡の当事者の情報や取引内容について記載します。手続が複雑であるため、事前に確認しましょう。支払調書の作成で必要な記載項目は、以下のとおりです。
- 支払、交付を受ける者の住所および所在地
- 支払、交付を受ける者の氏名または名称
- 個人番号および法人番号
- 支払者または交付者の名称および法人番号
- 交付の取扱者の所在地および法人番号
- 区分
- 番号
- 名称または銘柄
- 支払、交付確定年月日
- 事由
- 株数または額面金額
- 支払、交付金額
- 源泉徴収税額
平成28年以降、個人番号、法人番号を記載する項目が増加傾向です。譲渡側が個人である場合、譲渡企業の経営者の個人番号が必要ですが、不明もしくは教えてもらえない場合には、空欄のまま提出します。税務署に提出するための支払調書ではなく、支払先に対する控えとして渡す場合は、個人番号を記載しないように注意しましょう。
また、記載する内容が不明といった理由により未提出、もしくは虚偽内容を記載した場合には、処罰の対象となる恐れがあります。記載内容などに不明点がある場合には、税理士や弁護士などに相談し、正確な書類の作成を心がけましょう。
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株式等の譲渡の対価等の支払調書合計表の作成
次に、株式等の譲渡の対価等の支払調書合計表を作成することが必要です。支払調書合計表には、支払調書の種類ごとに添付することが義務付けられています。株式等の譲渡の対価等の支払調書合計表の記載項目は、以下のとおりです。
- 提出者の所在地
- 提出者の氏名または名称および法人番号
- 代表者の氏名および代表印
- 合計表作成の担当者氏名
- 区分
- 支払金額
- 支払件数
- 源泉徴収額
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税務署に提出
支払調書、支払調書合計表の作成が完了したら、所轄の税務署に提出します。e-Taxソフトをダウンロードし、インターネットでの提出が便利です。また、直接税務署への持参または送付での提出もできるため、自分に合った方法で提出しましょう。
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株式等の譲渡の対価の支払調書の提出先
株式等の譲渡の対価の支払調書の提出先は、納税地などを所轄する税務署で、提出期限は翌年の1月31日です。納税地を所轄する税務署がわからない場合は、国税庁のホームページ「組織(国税局・税務署・税務大学校等)」で調べましょう。
提出期限を過ぎてしまった場合
法人税や所得税の申告と異なり、支払調書などの法定調書の提出は、提出期限を過ぎても延滞税や加算税は発生しません。ただし、提出期限を過ぎた場合、所得税法第242条で示されている「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられる恐れがあります。延滞税などは発生しないものの、支払調書の提出は計画的に行いましょう。
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株式譲渡の支払調書のまとめ
株式譲渡の支払調書は譲受側の法人が提出する法定調書で、上場・非上場に関わらず翌年1月31日までの提出が義務付けられています。未提出や虚偽記載には1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。個人番号など多くの項目を正確に記載する必要があり、記載方法に不明点がある場合は専門家への相談が重要です。
みつきコンサルティングは税理士法人グループであることからM&Aありきの提案ではなく、社内承継、親族内承継など複数の選択肢のメリットとデメリットを比較して選択可能です。経営コンサルティング経験者も多く在籍しており対象企業の詳細な事業分析を実施した上でシナジー創出を見込める候補先を紹介しています。
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著者

- 事業法人第三部長/M&A担当ディレクター
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宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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