事業承継に関するサービスの1つに転廃業支援というものがあり、SBI新生銀行グループがM&Aと自主廃業のハイブリット型のサービスとして提供しています。本記事では、そのサービスの概要と事例を紹介します。
事業承継における転廃業支援の必要性
中小企業の経営者にとって、事業承継は避けて通れない重要な課題です。しかし、後継者不在や業績不振などの理由により、事業の継続が困難な場合もあります。そのような状況下で、経営者の選択肢の一つとして考えられるのが「転廃業」です。
転廃業とは、事業の転換や廃止を意味します。このうち特に廃業は、経営者にとって非常に難しい決断ですが、適切な支援を受けることで、従業員や取引先への影響を最小限に抑えつつ、円滑に進められる可能性があります。
転廃業を検討する経営者の悩み
以下のような問題に直面する経営者は、専門機関による支援を検討すると良いでしょう。
- 従業員の雇用問題
- 取引先との関係維持
- 債務の処理
- 会社資産の処分
- 個人保証の解除
SBI新生銀行グループによる転廃業支援
SBI新生銀行グループでは、オーナー企業の事業承継・転廃業の課題に対応する体制を整えています。特に注目すべきは、M&Aを活用した廃業支援サービスです。
出所:SBI新生銀行HP
M&Aを活用した廃業支援の内容
以下のようなサービスを利用することで、経営者は自身の引退後も会社や従業員、取引先の将来を見据えた対応が可能となります。
- 会社の株式買取り
- 段階的な事業縮小
- 従業員の再就職支援
- 取引先への影響最小化
- 債務整理のサポート
サービスの特徴
SBI新生銀行グループによる転廃業支援の特徴は以下のようなものです。
豊富な経験とノウハウ
20年以上の業歴に基づく、豊富な経験とノウハウを活かした支援が受けられます。
総合的なサポート
資金面だけでなく、M&Aや事業再生など、多角的な支援が可能です。
専門家チームによる対応
財務、法務、税務など、各分野の専門家によるチーム支援を受けられます。
オーダーメイドの提案
各企業の状況に合わせた、きめ細かなオーダーメイドの提案が受けられます。
グループ会社との連携
SBI新生銀行グループ内の各社と連携した、幅広いソリューションが提供されます。
M&Aを活用した廃業支援のメリットと注意点
SBI新生銀行グループの転廃業支援サービスを受けるメリットと注意点を紹介します。
主なメリット
経営者の資金回収
会社の株式を適正価格で売却することで、経営者は一定の資金を回収できます。
従業員への配慮
買収先による雇用継続や再就職支援により、従業員の将来に配慮した対応が可能です。
取引先への影響最小化
段階的な事業縮小により、取引先への影響を最小限に抑えることができます。
債務問題の解決
買収に伴い、会社の債務問題も同時に解決できる可能性があります。
スムーズな引退
専門家のサポートにより、経営者は後顧の憂いなく引退することができます。
主な注意点
早期の相談
業績悪化が深刻化する前に、専門家に相談することが重要です。
情報の開示
適切な支援を受けるためには、会社の財務状況や課題を正確に開示する必要があります。
従業員とのコミュニケーション
従業員の不安を軽減するため、適切なタイミングで情報を共有することが大切です。
取引先への配慮
取引先との良好な関係を維持するため、丁寧な説明と対応が求められます。
個人保証の取り扱い
個人保証の解除や縮小について、専門家のアドバイスを受けながら交渉することが重要です。
M&Aを活用した廃業支援のプロセス
転廃業支援の一般的な流れを見ていきましょう。
1. 初期相談
経営者がSBI新生銀行グループの担当者と面談し、現状や課題について詳細に説明します。この段階で、M&Aを活用した廃業支援が適切かどうかを判断します。
2. 買収先の選定
SBI新生銀行グループが関与するファンドや、信頼できる買収先を選定します。この際、従業員の雇用継続や取引先との関係維持などの条件を考慮します。
3. 事業価値評価
会社の財務状況や事業の将来性を分析し、適切な譲渡価格を算出します。この評価は、経営者が受け取る金額の基準となります。
4. 交渉と契約
買収条件について交渉を行い、合意に達した後、契約を締結します。この段階で、段階的な事業縮小や従業員の再就職支援などの具体的な計画も決定します。
5. 事業の引継ぎと廃業準備
買収先に事業を引き継ぎながら、並行して廃業の準備を進めます。従業員の再就職支援や取引先への説明など、丁寧な対応を心がけます。
6. 最終的な廃業手続き
全ての準備が整った段階で、正式な廃業手続きを行います。この際、株主であるファンドのサポートを受けながら、法的手続を適切に進めます。
出所:SBI新生銀行HP
転廃業支援のまとめ
事業承継における転廃業支援、特にM&Aを活用した廃業支援は、経営者にとって選択肢の一つになり得ます。例えば、後継者不在等からM&A(企業譲渡)を検討したものの、なかなか譲受企業が見つからないことがあります。そのような場合でも、幸い資産超過のため関係者に大きな迷惑を掛けずに廃業できそうで、ついては従業員への退職勧奨や資産処分等の一切の実務を誰かに任せたいときは、転廃業支援サービスを受けることを検討してみると良いでしょう。
経営者の皆様は、早期に専門家に相談し、自社の状況に合わせた最適な解決策を見出すことが大切です。
著者
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人材支援会社にて、海外人材の採用・紹介事業のチームを率いて新規開拓・人材開発に従事。みつきコンサルティングでは、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。
監修:みつき税理士法人
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