航空測量業は公共事業の需要が底堅い一方で、高齢化による事業承継や技術革新への対応という課題を抱えています。本記事では、航空測量会社の売却相場や企業価値を高めるポイント、直近の譲渡事例を詳しく解説します。後継者不在に悩む経営者の方々が、自社の高度な技術や人材を次世代へ引き継ぎ、従業員の雇用を守るための最適な解決策が見つかります。
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航空測量会社の売却関連の市場動向
現場の話題から入ります。ドローンの導入が進む一方で、従来の航空機を使った業務との棲み分けに悩む声を聞く機会が増えました。まずは業界の全体像から確認していきましょう。
主要4社で1900億円規模の市場環境
航空測量は、航空機から地上を撮影して地形を計測し、都市計画や防災対策に役立てる業務です。主要4社の売上高合計は2024年度で約1900億円規模に達しました。「国土強靭化基本計画」を背景に、各自治体からのハザードマップ作成依頼など、需要は堅調に推移しています。
業界はに着実成長、ただし2024年度は公共投資減少の影響も
主要4社の売上高合計は2024年度に前年度比+4.7%の1,942億円となり、過去5年の年平均成長率は5.5%です。近年は防災・減災対策や3次元データ活用推進など公共投資の需要増が成長を支えてきましたが、2024年度は公共投資が減少に転じる局面も見られました。一方で、脱炭素・国土強靭化・インフラ維持管理DXといった分野では空間情報技術への需要が堅調な企業もあり、事業領域の多角化が業績の安定化に寄与しています。
測量業者の減少と事業承継の課題
市場が安定する反面、国土交通省の登録業者数を見ると測量業は21年連続で減少しています。2024年度末時点で11,140業者となっており、経営者の高齢化による後継者不在が深刻な課題です。このような背景から、譲渡を通じた事業承継の必要性がかつてなく高まっています。
測量業者上位50社の2024年度契約金額は前年比13%減の915億円、件数も減少傾向
国土交通省「建設関連業等の動態調査報告」によると、測量業者上位50社の契約金額は2024年度に前年度比13%減の915億円となっています。内訳は公共向けが約8割・民間向けが約2割であり、公共需要への依存度が際立ちます。測量件数も2008年以降は年2万件前後で推移していたところ、2024年度は1.6万件まで減少しており、1件あたりの受注規模の拡大で収益を維持している構図が読み取れます。
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航空測量会社の売却メリット・課題
長年培ってきた技術をどう評価してもらうか。多くのオーナーが抱える素朴な疑問です。業界特有の事情から売却の利点と懸念事項を整理します。
売り手と買い手のメリット・デメリット
会社を譲渡する側と受け入れる側には、それぞれ明確な利点と懸念事項が存在します。経営の安定化や技術の獲得といった前向きな要素だけでなく、統合に伴うリスクも理解しておくことが大切です。下表に、航空測量業界における売り手・買い手それぞれの詳細をまとめました。
| 比較項目 | 譲渡オーナーのメリット・デメリット | 譲受企業のメリット・デメリット |
|---|---|---|
| メリット | 後継者問題の解消と従業員の雇用維持 大手資本の参画により、最新測量機器への投資が可能になります。個人保証から解放され、創業者利益も獲得できます。 航空機・ドローン等の高額資産が適正評価される 航空測量専用の航空機やLiDAR搭載ドローンは一般的な機材より資産価値が高く、適切な評価を受けることで有利な条件での売却につながります。 | 専門技術者と有資格者の迅速な確保 測量士や技術士といった貴重な人材を一度に獲得できます。官公庁に対する長年の入札実績や顧客基盤を引き継ぎ、事業領域を拡大できます。 航空法上の許可・認定資格の承継 航空測量に必要な無人航空機の飛行許可や国土地理院の登録資格は、株式譲渡であれば原則そのまま引き継げるため、新規取得に要する時間とコストを大幅に節約できます。 |
| デメリット | 社風の変化による従業員の動揺 新しい評価制度や業務プロセスが導入されることで、現場の技術者が戸惑うリスクがあります。 機材の老朽化が売却評価を引き下げるリスク 航空機やドローン、LiDAR機器の整備状況・経過年数によっては、資産評価が大幅に低下し、希望売却価格との乖離が生じる可能性があります。 | 簿外債務やシステム統合の負担 事前の調査で発見できなかったリスクを引き継ぐ可能性があります。異なる測量システムやデータ形式の統合に時間とコストがかかります。 点群データ・GIS資産の管理コスト 蓄積された大量の点群データやGISデータは資産価値がある一方、保管・管理・更新には継続的なコストが発生し、統合後の運用負担となるリスクがあります。 |
公共工事依存と先端技術への投資負担
航空測量は官公庁需要が大部分を占めるため、実績が重視され新規参入が難しいという特徴があります。既存企業にとっては参入障壁が守りとなります。しかし、3D都市モデルの作成やドローンレーザ測量など、最新技術への対応が急務です。単独での設備投資に限界を感じ、大手の傘下に入る選択をするケースが増加しています。
UAV測量の公共測量届出は全体のわずか2%程度、官公庁業務での本格普及はこれから
国土地理院「2023年度 公共測量の記録」によると、UAV写真・レーザ測量による公共測量の届出件数は全体の約2%程度にとどまっています。ドローン普及が急速に進む建設分野と比較して、広範囲にわたる公共測量への本格適用はまだ始まった段階です。ただし、規制緩和と技術精度の向上に伴い民間分野での競争が本格化する可能性があり、対応が遅れた中小事業者は技術力の陳腐化リスクに直面します。
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3次元データ・ドローン技術が牽引する売却動向
新しい機材を入れたが使いこなせる若い社員がいない。支援現場でよく耳にする小さな失敗です。最新技術への対応が業界再編の鍵を握っています。
異業種による空間情報技術の獲得
大手や中堅企業による買収が活発化しており、その目的の多くは3次元データ処理やGIS(地理情報システム)などの高度な技術獲得です。近年では、測量業以外の企業が参入する事例も目立ちます。通信インフラやモビリティ分野の企業が、空間情報技術を取り込むために歴史ある測量会社を譲り受ける動きが加速しています。
大手4社はすでに超大手の傘下に、独立系の主要プレーヤーはほぼ消滅
業界動向レポートによると、パスコはセコム(75%)・伊藤忠商事(25%)によるTOBを経て2025年1月に上場廃止、国際航業はミライト・ワンの連結子会社(100%)、エアロトヨタ(旧:朝日航洋)はトヨタ自動車の子会社(99.99%)、アジア航測はJR西日本が筆頭株主(28.01%)となっています。主要4社の売上高に占める測量事業の構成比はパスコ43%・エアロトヨタ24%・国際航業30%・アジア航測32%であり、各社とも測量事業を核としながらデータ分析・プラットフォーム事業へと多角化しています。独立系の大手がほぼ存在しない中、中堅・中小の航空測量会社が単独で設備投資を賄い競争を続けることの難しさは一層増しています。
航空測量会社の売却相場と株式評価
自社の価値は一体いくらになるのか。長年経営してきたオーナーにとって最も気になる点です。企業評価の基本的な考え方について解説します。
年買法とEV/EBITDA倍率による目安
一般的な株価算定では、時価純資産に営業利益の数年分を加算する年買法や、EBITDA(税引前・利払前・減価償却前利益)の3〜8倍を目安とするマルチプル法が用いられます。純資産や利益水準がベースとなりますが、最終的な価格は買い手とのシナジー効果を考慮した交渉によって決定されます。
評価を左右する有資格者と技術力
評価額を大きく左右するのは、測量士や技術士といった有資格者の数や年齢構成です。最新のドローン計測技術やオルソ画像作成ノウハウといった無形資産が、将来の収益基盤として高く評価されます。官公庁向けの安定した受注実績も重要な指標となります。技術力が高い企業ほど、相場を上回るプレミアム価格で取引される傾向があります。
航空測量のM&Aで譲渡価格を押し上げる要因
当社では、航空測量会社の譲渡価格を最も押し上げるのは「官公庁向け長年の入札実績(受注口座)」と「測量士・技術士などの有資格者の数と年齢構成」と考えます。公共測量は実績が最優先で評価されるため、複数省庁・地方公共団体との取引実績を持つ会社は希少性が高く、単純な財務数値以上の評価がつくケースがあります。また、航空機・LiDAR機器の整備状況と点群データ・GISデータの蓄積量も重要な評価項目であり、売却前の棚卸しと整理が有利な条件での成約につながります。
航空測量会社の譲渡事例
実際にどのような企業が関心を持っているのでしょうか。同業同士だけでなく、異業種からのアプローチも増えています。下表で、直近の動向を見ていきます。
| 事例 | 概要 | 譲受の目的と戦略 |
|---|---|---|
| アジア航測によるエアフォートサービスの買収(2025年) | 2025年10月、大手のアジア航測が新潟県のエアフォートサービスを子会社化しました。同社はドローンを使った写真撮影やレーザスキャナー計測を得意としています。 | アジア航測はこの譲受により、ドローン計測のノウハウを取り込み、国土保全や社会インフラ施設の点検技術をさらに向上させる方針です。 |
| セコムと伊藤忠商事によるパスコのTOB(2024年) | セコムと伊藤忠商事の子会社が、最大手のパスコに対して公開買付け(TOB)を実施しました。取得価額は約70億円に上ります。 | 安定した経営基盤のもとで親会社と連携し、測量技術を核とした空間情報技術を民間領域を含む多分野へ展開する戦略です。異業種大手との資本提携により成長を加速させる好例です。 |
| ミライト・ワンによる国際航業の買収(2023年) | 通信工事大手のミライト・ワンが航空測量大手の国際航業を約480億円で譲り受けました。国際航業は空間情報技術や防災コンサルティングに強みを持っています。 | 通信設備工事の枠を超え、自治体向けの強靭なまちづくりDXにおける企画提案力を高めることが目的です。技術者の獲得と事業領域の拡大を狙った代表的な事例と言えます。 |
航空測量のM&Aで引き合いが強い買い手候補
当社では、航空測量会社の譲受企業候補として「空間情報技術でDX・インフラ管理領域へ参入したい通信・ITインフラ系企業」「防災・安全分野への事業拡張を狙うセキュリティ・建設コンサル系企業」「地図データ・モビリティ向け空間情報の内製化を目指すモビリティ・商社系企業」の3類型が見られます。官公庁との入札実績と有資格者人材を同時に獲得できる中堅測量会社には複数候補が競合するケースもあるため、早期のご相談が有利な条件での成約につながります。
会社売却後の社長や社員の処遇
事業承継後の社内の変化について実情をお伝えします。「自分がいなくなって社員は大丈夫だろうか」と、オーナーが最も不安に感じる部分です。
社長は引継ぎ後の退任が一般的
会社を譲渡した後の社長は、一定期間会社に残って業務の引継ぎを行った後に退任するケースが一般的です。官公庁との関係性や特殊なノウハウをスムーズに移行するため、数ヶ月から数年間は顧問として経営をサポートします。十分な譲渡益を得て、次の人生のステップへ進む経営者が多く見られます。
社員の雇用維持と待遇変化
譲渡後も従業員の雇用は基本的に継続されます。測量技術者や有資格者は非常に貴重な人材であり、買い手側も離職を防ぎたいと考えているためです。大手の傘下に入ることで、福利厚生が充実し、最新のシステムに触れる機会が増えるなど、労働環境の改善につながることも少なくありません。
専門の相談相手とM&A仲介会社
初めての譲渡検討は分からないことばかりです。どこに相談すればよいのか、支援現場での一般的な対応をお伝えします。
航空測量に強い専門家の活用
会社を譲渡する際は、対象業界の売却実績が豊富な専門業者に依頼することが重要です。無形資産の価値や特有のリスクを適正に評価するには、業界の専門知識が欠かせません。みつきコンサルティングや日本M&Aセンターといった仲介会社が活用されています。専門家の知見を借りることで、シナジー効果の高い相手を見つけやすくなります。
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着手金・中間金
0円
月額報酬
0円
成功報酬
成約時のみ
※レーマン方式
航空測量の会社売却に関するFAQ
支援現場で譲渡オーナーからよくいただくご質問とその回答をまとめました。
可能です。むしろ官公庁との安定した取引口座や長年の入札実績は、新規参入を目指す企業にとって非常に魅力的な資産となります。実績がそのまま高く評価されるケースが多いです。
既存の航空写真測量の手法や顧客基盤があれば十分に評価されます。機材の更新に悩む企業が大手と組むことで、資金力を活かして最新機器を現場に導入しやすくなるという利点もあります。
現場ではまずここを確認します。情報漏洩は離職のリスクにつながるため、初期段階では役員や従業員に一切知らせず、ごく限られたメンバーのみで極秘裏に交渉を進めます。
航空測量に精通したM&A仲介会社|みつきコンサルティング
航空業界は公共需要が安定する一方、事業承継やDX対応の課題があり、異業種からの参入も含め再編が加速しています。長年会社を支えてきた高度な技術と従業員をどう守るか、社長が一人で不安を抱えるのは当然のことです。
税理士法人グループの専門機関である当社は、中小企業支援の実績経験が豊富です。特有の知見を活かし、最適な相手探しから企業評価まで一貫してサポートいたします。航空測量会社の譲渡をご検討なら、みつきコンサルティングへご相談ください。
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著者

- 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
-
みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修者 神門 剛 代表取締役 / 公認会計士・税理士
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