譲渡企業である株式会社J(以下J社)は、新薬に係るデータ入力や評価レポート作成・翻訳業務等を行う会社です。譲受企業であるR株式会社(以下R社)は、臨床開発におけるCRO業務を主業とする会社で今回、株式譲渡100%にてM&Aが実行されました。このM&Aにおける背景やプロセスについて、売主様にインタビューしました。
J社の事業内容について教えてください。
J社は、新薬を処方した患者から副作用報告があった際に、製薬メーカーからデータ入力や評価レポートの作成依頼を受ける事業を展開しています。特に、副作用に係るデータの入力やレポートのスクリーニング、英語・日本語の翻訳業務を中心に行ってきました。私自身は、国内製薬メーカーで勤務しておりましたが今後、製薬業界における安全性分野にビジネスチャンスがあるのではないかと思い、勤めていた製薬メーカーを退職後J社を設立しました。
M&Aの理由は何でしたか?
親族内の後継者がいなかったため、社内で事業承継者を検討しておりましたが、経営をお任せできる人材がおらず長年、後継者問題を抱えていたことが一番大きな理由となります。また、まだまだ精度は低いですが、AI翻訳や海外拠点活用による安価なアウトソーシングサービスが出てきたことなど事業環境の変化も無視できない状況でした。このような事業環境で今後、生き抜くためには資本力・営業力を強化をする必要性を強く感じたこともあり、M&Aが事業紹介の選択肢として最良の選択肢ではないか思うようになりました。
M&Aのプロセスはどのように進められましたか?
最初は複数のM&A仲介会社と接触していましたが、みつきコンサルティングの提案が他の会社よりも具体的で印象が良かったことを覚えています。特に譲渡スキームの説明・企業価値算定の計算根拠・譲渡対価の手取り額計算まで資料に落とし込みご提案頂いたことは非常にありがたかったです。みつきコンサルティングさんをアドバイザーとし決定した後、お相手候補先の探索、トップ面談の実施、デューデリジェンスの実施、最終条件交渉、クロージングと言う流れで進んで行きました。
R社とのトップ面談はどのように感じましたか?
R社は臨床開発におけるCRO業務をメイン事業としており、弊社の領域であるPV業務については強化領域であるとやR社の営業体制をお聞きし、お互いにシナジー効果が期待できると強く感じました。また、R社からトップ面談にご参加された方が同郷の方であったり、共通の知り合いなどがいたりと共通する話題も多かったこともあり、仕事以外のお話もすることでお互いの雰囲気が分かり充実したトップ面談になったと思います。
M&Aの際に最も重要視した点は何でしたか?
私どもが重視した点は2点あります。まず1点は従業員の雇用を守ることを重視しておりました。私どものビジネスは人材が最も重要な財産となります。従業員が頑張ってくれているからこそ今の会社があると考えております。M&A後も弊社の従業員が安定的に雇用され、安心して働いてもらえる環境を整えてくれるお相手先を探しておりました。R社も弊社と主要業務は異なりますが、人材が重要となるビジネスを運営されていることもあり、その点の理解度が高く従業員に対する考え方が似ていたことで安心しました。
もう1点は、営業力のあるお相手先であることを重視しておりました。弊社は営業部隊がなく、納品クオリティ―を高めることで評価を頂き、口コミでお取引先様を拡大してきた経緯があります。創業当初は競合も少なかったこともあり、順調に事業も拡大して参りましたが、昨今の事業環境の変化で営業力の強化は課題として認識しておりました。R社の営業体制のお話をお聞きし、弊社の弱みを補完頂けると期待に胸が膨らんだことを覚えております。また、弊社とR社の取引先が被っていなかったこともお互いにシナジーが見込めると感じておりました。
M&Aが成功した要因について教えてください。
弊社とR社は、製薬メーカーを顧客とする同じ業界に属しますが、サービスの領域が違うことでお互いの強みを活かしあえる関係性構築ができる会社であったことが一番の要因だと考えております。また、両社の顧客が違ったことでグループ全体の顧客層が拡大することなど目に見えるシナジーがお互いにイメージできたことが成功の要因ではないかと感じております。
M&Aの進め方について、どのような反省点がありますか?
思っているよりも自社の状況を把握できていなかったことは反省点かなと思います。もちろん試算表等で常に自社の状況を確認しておりましたが、お相手先からのご質問を頂いた時に、改めて確認することが大変多くありました。M&Aを進めなければ、他社へお伝えすることのない項目が多いのは確かですが、自社の強み・弱み、現在の業績を向上させる為に必要なリソースなど現状把握の粒度を高めることで、お相手先へ自社のアピールや課題の共有をもっとできたのではと思います。
M&A後の今後の展望については?
R社との統合により、R社の顧客に対するPV業務の提案や新規顧客開拓によるさらなる拡大が期待できると感じております。また、弊社クライントに対してもR社のサービスラインの営業でグループ全体の売上向上に繋がればと考えております。
他の企業がM&Aを検討する際に、どのようなアドバイスをしますか?
M&Aは業績の良い時に進めることをお勧めします。オーナーとしては、業績の良い時は自社の課題を後回しにしがちです。業績が落ちるとそろそろ検討しなければという気持ちにもなりやすいことは確かです。しかし、お相手の目線に立つと業績の良い会社と落ちている会社どちらの方が魅力的に感じられるかは一目瞭然です。業績が良い時だからこそM&Aを進めることで、お相手候補先の数も増えると思いますし、条件交渉もしやすくなると思います。事業承継の選択肢としてM&Aをご検討されるのであれば、お相手先に自社を魅力的に感じてもらえるタイミングで進めることをお勧めします。
みつきコンサルティングとの協力についてどう感じましたか?
担当者はお相手探しや条件交渉等、M&Aのすべてプロセスにおいて丁寧且つ真摯に対応して頂いたと思います。重要な論点が出てきた場合には、何度もご来社頂き私の理解が深まるまで何時間もかけご対応頂いたことは感謝の想いでいっぱいです。私はみつきコンサルティングさんにアドバイザーを決定するまで何社かのM&A仲介会社にお会いしましたが、初回面談の印象とアドバイザー決定までのプロセスで紳士的且つ丁寧な対応頂けそうだと感じることのできた、みつきコンサルティングさんにお願いして良かったと思います。



