防水・塗装・大規模修繕工事のM&A事例 【中部地方】

防水・塗装・大規模修繕工事事業の譲渡を助言|O社さま

譲渡企業 O社さま
業種 防水・塗装・大規模修繕工事
事業内容 防水塗装工事
売上 約1億円
地域 中部地方
設立 1970年代
経営者の年齢 89歳
譲渡理由 後継者不在
譲受企業 E社さま
業種 建築業
事業内容 足場組立工事 建築工事、塗装工事、その他
売上 15億円(グループ)
地域 中部地方
設立 2020年代
上場の有無 非上場
譲受目的 サービスラインナップの拡充

- 売主様、この度は貴社のM&A案件についてお話を伺えることを光栄に存じます。まず、御社の創業からこれまでの歩みについてお聞かせください。

ありがとうございます。当社は創業60年を超える防水塗装工事会社です。創業以来、地域に根差した事業展開を心がけてきました。当初は小規模な現場から始まり、徐々に信頼を積み重ねて、県内でも指折りの防水工事会社に成長できたと自負しております。

60年以上にわたる経営の中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

そうですね、創業から10年ほど経った頃、大規模な公共工事を初めて受注したときのことが忘れられません。当時はまだ会社の規模も小さく、従業員も少なかったのですが、全員で一丸となって取り組みました。昼夜を問わず働き、品質にもこだわり抜いた結果、高い評価をいただき、その後の成長につながったと思います。

- 素晴らしいですね。そのような実績を重ねてこられた御社が、M&Aを検討されるに至った経緯についてお聞かせください。

はい、実は以前、親族に事業を承継していたのですが、事業承継した親族が病気で亡くなってしまい、再び私が会社の運営を引き継ぐことになったんです。私も80歳超え高齢になっていました。家族と相談して、私の年齢と従業員の将来のことも考えると、M&Aが良いのではないかと考えるようになりました。

- 大変な状況の中でのご決断だったのですね。M&Aを進めるにあたって、どのような点を重視されましたか?

そうですね、まず従業員の雇用を守ることが一番大切だと考えました。長年、共に歩んできた従業員たちの生活を守ることは、経営者としての責任だと思っています。また、当社は県内でも古い業者の一つでしたので、同業者の知り合いが多いことから、弊社がM&Aを検討していることが噂にならないよう、県内の同業者は買い手候補から外して頂くようにお願いしました。

- 従業員の方々への配慮と、情報管理を重視されたわけですね。みつきコンサルティングとの出会いはどのようなものでしたか?

実は、ある営業先の社長さんから紹介していただいたんです。営業先の社長さんには継続的に相談していたのですが、その社長さんが防水塗装工事会社のM&Aについてみつきコンサルティングに相談くださったようで一度お話を聞いてみてはと、みつきコンサルティングをご紹介してくださいました。最初は不安もありましたが、担当の方の誠実な対応に不安は徐々に軽減されていきました。

- みつきコンサルティングとFA契約を結ばれた後、買い手探しはスムーズに進みましたか?

正直、最初はなかなか難しかったですね。県内の同業者を除外したこともあり、数十社アプローチしていただいたものの、なかなか買い手候補が見つかりませんでした。企業規模が小さいことや、所有不動産の時価が高いなどいくつか原因がありました。しかし、みつきコンサルティングの方が粘り強くサポートしてくださったおかげで、諦めずにM&Aの検討を続けることができました。

- そうした課題に対して、どのような対策を取られたのでしょうか?

みつきコンサルティングの方から、非事業用不動産をM&Aより先に会社分割でオフバランスする提案をいただきました。私の自宅を含む非事業用不動産を譲渡対象から切り離すことで、譲渡価額を圧縮することができ課題を一つクリアしました。また、県内の同業者はNGとしておりましたが、付随する業種へアプローチして頂くことによって弊社事業とのシナジーをイメージし易い買い手候補先に重点的にアプローチできたと思います。

- 非常に効果的な対策だったようですね。その後、今回の買い手企業となったE社との出会いがあったと伺っています。その経緯についてお聞かせください。

はい、実はみつきコンサルティングの方が別の案件でE社社長とお会いした際に、防水塗装工事会社に興味がないかご相談頂いたことがきっかけでした。E社社長は若いころ、弊社の現場で業者として仕事をして頂いたことがあるそうで、非常に強い関心を示してくださいました。これも何かの縁だと感じましたね。

- それは素晴らしいご縁ですね。トップ面談はスムーズに進みましたか?

実は、最初は私も躊躇していました。長年営んできた自分の会社を第三者の方に引き継ぐことに抵抗があったんです。最初から私がE社社長に会うと、どんどん進んでいきそうな気がして不安に感じていたことを覚えています。そこで、M&Aを一緒検討してくれていた娘にE社社長と面談してもらい、その印象や面談内容を聞いて、私なりに気持ちを整理してから私もお会いすることにしました。実際に会ってみると、E社社長の人柄の良さや若さと力強さを感じ、「この人なら任せても良いかな」と思えたんです。E社社長の会社経営に対する熱意と、当社の歴史や従業員を大切にする姿勢を示してくれたことが、大きな決め手になりました。

E社社長の印象が良かったことが、M&Aを進める大きな要因になったのですね。その後のデューデリジェンス(DD)や価格交渉はいかがでしたか?

DDについては、私も高齢であったことから娘が中心となって提出書類や質問の回答などの準備を進めてくれました。価格交渉では細かい条件など少し難航しましたが、みつきコンサルティングの方が粘り強く交渉してくださり、合意に至ることができました。正直、当初想定していた条件までは届きませんでしたが、従業員の雇用が守られ、会社が存続できることを考えると、納得のいく結果だったと思います。

- 長年経営されてきた会社を手放すのは、さぞ複雑な心境だったのではないでしょうか?

ええ、もちろん寂しい気持ちはありました。60年間、この会社と共に歩んできたわけですから。でも、従業員たちが笑顔で仕事を続けられること、そして会社がさらに発展していく可能性を感じられたことで、前を向くことができました。E社社長の熱意と、みつきコンサルティングの丁寧なサポートのおかげだと思っています。

- 防水塗装工事業界の現状や将来展望について、どのようにお考えでしょうか?

防水塗装工事業界は、建設業界全体の動向に大きく影響されます。近年は、老朽化したインフラの補修需要が増加しており、その点では追い風になっています。一方で、人手不足や技術継承の問題は深刻です。若い世代の人材確保と育成が業界全体の課題だと感じています。また、環境に配慮した新素材や工法の開発も進んでおり、技術革新への対応も重要になってくるでしょう。こういった時代の流れに沿った経営を遂行する上でも、M&Aを通じて、若い経営者に自分の会社を引き継いで頂けたことは良かったと思っています。

M&Aを進める中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

はい、実は所有不動産の扱いについて、E社との条件交渉が難航しました。E社としては、非事業用不動産も含めた全ての所有不動産をM&Aの対象としたいとのご要望を頂いておりました。しかし、非事業用不動産は、私の自宅も含まれておりましたので、私としてはM&Aの対象としたくありませんでした。この点の話合いが難航したことで、一時はM&Aが白紙になるのではないかと心配になりました。時間はかかりかかりましたが最終的にはE社にもご理解頂き合意に至りましたが、お互いの考えがある中で条件交渉を進めていく難しさを感じました。

- 従業員の方々への説明はどのように行われましたか?

従業員への説明は、私にとって最も緊張する瞬間でした。長年一緒に働いてきた仲間たちに、会社の売却を伝えるのは本当に心苦しかったです。しかし、クロージング当日の従業員説明会では、予想以上に前向きな反応がありました。特に印象的だったのは、長年働いてくれている番頭が、従業員たちの前でE社とのM&Aに期待を示してくれたことです。彼の言葉で、他の従業員たちも安心し、新しい船出に希望を持ってくれたように感じました。この瞬間、M&Aを決断して本当に良かったと心から思いましたね。

E社とのM&A後、どのような協業や相乗効果を期待されていますか?

E社は、足場工事を主軸として建設関連の事業を多角的に展開されています。多くの顧客基盤をお持ちでいらっしゃることから営業面での相乗効果が期待できると思います。当社の技術力とE社のネットワークを組み合わせることで、新たな受注機会が増えるのではないかと期待しております。さらに、人材育成の面でも若手社員の交流や研修プログラムの共有など、会社の若返りにも期待しています。

M&A後の会社の様子はいかがでしょうか?

私自身は経営から退いていますが、従業員たちの様子を見ると、皆さん生き生きと働いているようで安心しています。E社社長の若い感性と行動力で、新しい取り組みも始まっているようです。例えば、デジタル技術を活用した事務業務の効率化や、SNSを使った人材採用など、時代の変化に対応した施策が進められていると聞いています。

- 最後に、M&Aを検討している他の経営者の方々へアドバイスがあればお聞かせください。

そうですね、M&Aは、動きながら検討してみることが大切ではないかと思います。M&Aを検討する前は、合理的に考えるとM&Aしかないと分かっていたものの、私もいざ進んでいくと不安や迷いが出てきました。一方で、買い手候補と面談したりする中で、自社に興味を持って頂く喜びやM&A後の期待なども出てきたことも確かです。これは、動いてみて初めて自分がどのような気持ちになるかが分かったのだと思います。私もM&A検討の初期段階では第三者への事業承継に抵抗があったことは間違いありません。E社社長と言葉を交わす中で、徐々に気持ちが固まったと思います。また、M&Aアドバイザーの方になんでも相談することも大切だと感じます。M&Aを検討し始めてクロージングまで約2年の期間がかかり、何度も検討を辞めようかと思うタイミングがありました。その都度、アドバイザーの方に励まされ、M&A検討の目的を再認識させてもらったことで最後までM&Aに取り組めたと思います。

-貴重なお話をありがとうございました。御社のさらなる発展を心よりお祈りしております。

 

 

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷潟野和徳 名古屋法人部長/M&A担当ディレクター


海外人材支援専門会社にて、海外人材採用・人材紹介事業のチームを率い新規顧客開拓・人材開発に従事。当社参画後は、強みを生かし人材会社・日本語学校等の案件を中心に工事業・広告・IT業など多種に渡る案件支援を行う。

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