成約年月:2025年12月
取材先:代表取締役 W様
-本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。無事にM&Aが成約し、新たなスタートを切られたということで、これまでの歩みを振り返らせていただきたいと思います。まずはY社の歴史と、長年地域で支持されてきた強みについてお聞かせください。
W様:はい、よろしくお願いいたします。Y社は私の祖父が創業し、私で3代目となります。長きにわたりこの地域でタイヤ小売を中心に事業を展開してまいりました。タイヤ交換からカスタムパーツの販売まで、地域密着型で小回りの利くサービスを提供し続けてきたことが私たちの最大の強みです。地域の皆様の安全なカーライフをお支えしてきたという強い自負があります。
-長きにわたり地域に貢献されてきた確かな実績があるのですね。一方で、近年はタイヤ小売業界や地域の事業環境にも様々な変化があったのではないでしょうか。
W様:おっしゃる通りです。近年は人口減少が進み、地方でも自動車の絶対数が減少傾向にあります。それに伴いタイヤの販売数も伸び悩む市場環境になってきました。さら大手同士のM&Aなど業界内での再編も進んでおり、厳しい市場環境になってきたのが実情です。このような状況の中で私たちのような地方の独立系小売店がこれまでと同じやり方で生き残っていくには限界が来るのではないかという危機感を抱いていました。単独での生き残りを模索するより、大手企業様と協業し変化に対応する選択肢を増やす時期に来ていると感じていました。
-そうした厳しい事業環境の中で、事業承継やM&Aを具体的に意識し始めたきっかけは何だったのでしょうか。
W様:私もまだ50代ですので、一般的にはまだ事業承継を急ぐ年齢ではありませんでした。子どもたちもおりますが、まだ学生で自分たちの興味ある分野に進んでもらいたいとの思いもあり、親族内での事業承継は難しいかも知れないと思っておりました。また、社内にも優秀な人材はおりますが、現場仕事のプロフェッショナルであり、経営を任せられる者はおりませんでした。長年お付き合い頂いているお客様や従業員を守るためには第三者への承継も視野に入れる必要があると考えるようになりました。
-みつきコンサルティングとの初めての接点はどのようなものだったのでしょうか。
W様:最初は、みつきコンサルティングの担当者からいただいた一本のお電話がきっかけでした。2023年の秋頃でしたが、その時は私自身まだ50代前半ということもあり、「M&Aは選択肢の一つだが、まだ時期尚早だ」とお答えし、面談には至りませんでした。その後も、みつきコンサルティングの担当者の方から定期的にご連絡をいただき、情報交換を続けていました。その後、2024年の夏に私が出張で、みつきコンサルティングの事務所の近くに行く機会があり、そのタイミングでご来社いただけないかとお誘いを受けたのでご面談することになりました。こちらのペースに合わせてコンタクトを取り続けてくれた熱心な姿勢に好感を持ちました。
-初回の面談後、実際に企業価値算定を行われました。その結果に対する当時の率直なお気持ちや、譲渡対価へのこだわりについてお聞かせください。
W様:当初はやはり自分自身が若く、急いで譲渡しなければならない切迫した理由もなかったため、条件や対価に対するこだわりは非常に強かったと思います。長年の利益の蓄積や、地域トップクラスの販売実績(主要取引メーカー)など、しっかりと評価してほしいという強い思いがあり自分が考える希望価額を率直にお伝えしました。一方で担当者からは、事業環境などを踏まえた冷静で現実的な評価額の提示を受け、自分の希望額とのギャップあることを認識し、悩んだことは間違いありません。
-その後、最終的にみつきコンサルティングと正式にアドバイザリー契約を結ばれるまでの経緯を教えてください。
W様:実は並行して、日頃からお世話になっている地元の金融機関にもM&Aの相談をしていました。地元金融機関から譲渡価額の目安金額の提示があり、「その最低条件を超えるなら進めてみたい」とみつきコンサルティングの担当者にもお話しました。条件については、お相手によって変わるため、まずは動いてみて「お相手からのご提示次第で最終的な判断をしてみては」と担当者からご提案頂き、確かにそうだなと妙に納得感が得れたのでお願いすることに決めました。
-買手探し(ソーシング)が始まりましたが、地方の小売業という点で難しさもあったと伺っています。当時の状況はいかがでしたか。
W様:ご興味を持って頂けそうな候補先を、複数社ご提案頂いていたので、すぐに買手候補企業と会えてしまうかもとドキドキしていましたが、業種・業態や規模などは良いが、エリアがM&Aスコープ外など担当者からは多数の企業へのアプローチを実施頂きましたが、なかなか良い反応が得られない時期が続きました。私自身は急いでいなかったので焦りはありませんでしたが、地方の市場規模は小さいため、業種によってはM&Aのお相手探しも大変なんだなと感じました。それでも粘り強くお相手候補へのアプローチを続け、今回のお相手に出会えたことは、担当者の方に大変感謝しております。
-そうした中、1社目の買手候補であるN社とのトップ面談が行われました。B社への印象と、面談後の結果に対する受け止めをお聞かせください。
W様:N社は同業のタイヤ関連企業で、主要エリアが隣接し立地的にお互いが補完関係を築けると感じていました。規模が大きく安定性があるという点で非常に良い印象を持ちましたし、弊社の主要取扱メーカーとのお取引もあり、M&A実行後のハレーションも生じにくいだろうと感じていました。ご面談頂いた先方のご担当者様からも当社の拠点を有効活用できそうだというお言葉をいただき、良い方向に進むかもと思っておりましたが、最終的にお互いの条件が折り合わず見送りとなりました。
-B社とのお話が頓挫した後、A社とのトップ面談が実現しました。A社への第一印象はいかがでしたか。
W様:A社は当社と同じエリアにあるエネルギー商社で、SS事業を中心に多角的に事業展開されている企業です。近年はあまり交流がありませんでしたが、同じエリアにある自動車関連企業とのことで、以前は担当者レベルで交流がありました。トップ面談では、担当役員の方から改めてA社の事業戦略や社風などをお聞きし、社員を大切にされている良い社風だな感じました。また、私たちが長年培ってきたタイヤ小売のノウハウや従業員の技術を高く評価してくださり、「一緒にやれば必ず良い結果が生まれる」とおっしゃっていただいたことが心に強く響きました。
-A社との間で、どのような事業シナジーが期待できると感じられましたか。
W様:非常にわかりやすく、お互いを補完し合える関係だと感じました。A社は、自社の主要顧客に対するサービスラインの強化を図っており、弊社がグループインすることで取扱い商品やタイヤ交換要員が拡充でき、非常に強いシナジーが見込めます。また、弊社側もA社の顧客基盤からの送客で、販売とサービスに注力でき、安定的な仕事量の確保が見込めるのではと感じておりました。
-A社から提示された意向表明書の条件について、率直にどう思われましたか。
W様:提示された条件は、株価の評価においてのれん代を見ていただいたことや、M&A後の私や現役員の雇用条件もご考慮いただいたことなど、小売業のM&Aとしては高く評価をしていただいたと感じていました。しかし、希望条件までは届いていないことや、私がまだやれる年齢でもあることなどM&Aに動く前に感じていたことがよぎりましたので、みつきコンサルティングには正直悩んでいると相談させて頂きました。
-そのご相談に対して、みつきコンサルティングはどのように対応してくれましたか。
W様:担当者は私の相談に対しても嫌な顔をせず、M&Aを実行した場合とやらなかった場合の手取り額や清算した場合の予想手残り財産などのシュミレーション資料を作成してくれました。その数字を見ながら、今回の提示条件が客観的に見ていかに良いものかを論理的かつ丁寧に説明してくれました。顧問税理士にも相談しところ悪い条件ではないとの助言も頂き、この条件で前に進む決意をしました。この悩んでいる間も担当者は、こまめにコミュニケーションを取り続け、私に寄り添い続けてくれました。
-基本合意締結後、デューデリジェンス(DD)が始まりました。準備などは大変ではなかったでしょうか。
W様:DDは財務、税務、労務と多岐にわたりましたが、日頃から管理部門の担当者がきっちりと整理してくれていたため、資料の収集などは非常にスムーズに進みました。当社は業歴が長いため過去の経緯で不明な点がいくつかありましたが、決定的なリスクとなるような問題は見つからず予定通りに進行しました。みつきコンサルティングの担当者も私たちへの負担が最小限になるように段取りを組んでくださり、随時的確なフォローをしていただいたので、大きなストレスを感じることなくDDのプロセスを終えることができました。
-最終的な条件交渉では、DDの結果を踏まえて価格の修正があったそうですね。その際の葛藤はいかがでしたか。
W様:はい、DDの結果としては買主様よりご提示頂いていた価格より少し減額される結果が出てきました。みつきコンサルティングの担当者からもDDを実施すると、何かしら減額要素が見つかると事前にお聞きしておりましたが、いざ、減額となるとやはり寂しい気持ちにはなりました。減額要素としてご指摘頂いた点は、理解できるものの立場に違いにより見解が異なる点もいくつかありましたので、できる限り減額幅を抑えたいとの思いから、買主様へ条件交渉をお願いしたい旨をみつきコンサルタントの担当者へ相談しました。
-その際、みつきコンサルティングの担当者はどのようにサポートしてくれましたか。
W様:担当者は決して頭ごなしに否定することなく、まずは、私の一つひとつの要望が最終的な価格にどう影響するかシミュレーションを作成して具体的に示してくれました。非常にロジカルな説明でしたので、理解はできましたが、私の想いの部分を重視した交渉内容だったため、それを汲み取り、しっかりと買主様と交渉して頂いたと感じております。結果、最終的には納得のいく着地点を見出してくれ、私の想いに寄り添ってくれたことに深く感謝しています。
-無事にSPA調印・クロージングを迎えられました。現在のお気持ちと、同じように悩む経営者へのメッセージをお願いします。
W様:A社の本社で行われた調印式やクロージングは、とても和やかな雰囲気の中でスムーズに進みました。その後の打ち合わせでもA社の対応が非常に丁寧で、本当に良い企業に会社を引き継ぐことができたと実感しています。中小企業にとって後継者問題や市場環境の変化は深刻な課題です。まだ早いと思っていても、市場環境や自社の状況を鑑み、課題解決の為のあらゆる選択肢を早いうちから検討しておくことが重要だと思います。特にM&Aは最終手段と考える経営者の方も多いかと思いますが、自社だけでは完結できない選択肢となるため、検討は早い方が良いなと思いました。実際、買手候補企業がどんな会社かによってM&Aという選択肢が自社にとって良い選択となるか否かは全然違うと思います。私も信頼できるアドバイザーに出会い、素晴らしいご縁をつないで頂いたので最終的な決断ができたと思っております。



