-本日は、みつきコンサルティングを通じてM&Aを成功させた売主様にお話を伺います。まず、薬局経営者としてのこれまでの経験についてお聞かせください。
私は約30年間、2店舗の薬局を経営してきました。この間、医療制度の変更や薬価改定など、様々な変化に対応してきました。特に、調剤報酬の改定は経営に大きな影響を与えるので、常に注意を払ってきましたね。
-長年の経営で印象に残っているエピソードはありますか?
いくつかあります。例えば、10年ほど前に駅前に2店舗目を出店した時のことです。当時は大きな決断でしたが、結果的にはこの店舗が当社の成長を牽引してくれました。また、数年前に電子お薬手帳を導入した時も印象深いですね。患者さんの利便性が向上し、薬剤師の業務効率も上がりました。
-薬局業界の現状や将来展望について、どのようにお考えですか?
薬局業界は大きな転換期にあると感じています。少子高齢化や医療費抑制策の影響で、経営環境は厳しさを増しています。また、調剤薬局を併設するドラッグストアの参入など、競争も激化しています。将来的には、かかりつけ薬局としての機能強化や、在宅医療への対応がより重要になると考えています。一方で、AI技術の活用など、新たな可能性も広がっていくでしょう。
-そのような状況下で、M&Aを検討されたきっかけについてお聞かせください。
直接のきっかけは、管理薬剤師が辞める可能性が出てきたことです。優秀な管理薬剤師の確保は薬局経営の要ですから、これは大きな問題でした。また、業界の将来を考えると、個人経営の薬局では限界があるのではないかという思いもありました。そんな時に、みつきコンサルティングの担当者と出会い、M&Aという選択肢があることを知りました。
-M&Aを決断する上で、どのような点を重視されましたか?
やはり譲渡金額は大きな要素でしたね。30年間築き上げてきた事業ですから、その価値を正当に評価してほしいという思いがありました。ただ、それ以上に重視したのは、従業員の処遇や地域医療への貢献を継続できるかどうかでした。特に、長年お付き合いのある近隣の医療機関の先生方に迷惑をかけたくないという思いが強かったです。また、患者さんへのサービスの質が落ちないかという点も気になりました。
-みつきコンサルティングを選んだ理由を教えてください。
最初は他の仲介会社とも面談しましたが、みつきコンサルティングの担当者の誠実さと専門知識の深さに惹かれました。特に、担当者が過去に手がけた類似案件の話を聞いて、この業界をよく理解していると感じました。また、初回の面談で具体的な買い手候補の話まで出してくれたことも印象的でしたね。
-M&Aのプロセスを進める中で、印象に残っているエピソードはありますか?
まず、最初の頃は正直なところ、M&Aにそれほど積極的ではありませんでした。長年経営してきた薬局を手放すことへの抵抗感があったんです。ところが、みつきコンサルティングの担当者が粘り強く連絡を取り続けてくれて、徐々に真剣に考えるようになりました。簡単な情報を伝え、希望金額を伝えたのですが、正直少し高めの金額を伝えました。そしたら、それを越える金額を出せる可能性がある企業を複数社紹介してくれ、具体的な金額の提案もありました。
-その金額を聞いて、どのようなお気持ちでしたか?
正直、半信半疑でした。当初は「そんな高額な買い手がいるはずがない」と思ましたが、担当者の熱意に押されて再度話を聞くことにしました。結果的にそれが良い決断だったと思います。この金額を聞いた時、これまでの経営努力が認められたような気がして、少し誇らしい気持ちにもなりました。自分では適正な金額はわかりませんので、参考までに聞いてみるのも良いと思います。
-買い手候補との面談はいかがでしたか?
最終的に2社と面談しましたが、両社とも和やかな雰囲気で話ができ、安心感がありました。特に、片方のC社は、知り合いの薬局が譲渡した相手であったことがわかり、より安心感が増しました。その薬局の現状を知っていましたので。またC社の経営陣の方々は、私たちの薬局の理念や地域での役割をよく理解してくれていると感じました。
-デューデリジェンス(DD)の過程で何か問題はありましたか?
実は、DDの過程で当社の一部の業務がコンプライアンス上問題があることが判明しました。具体的には、薬局で販売してはいけない製剤を扱っていたんです。これには私も認識しておらず、驚きましたし、取引中止になるのではないかと心配しました。長年の慣習で気づかなかった部分があったことを反省しましたね。
-その問題はどのように解決されたのでしょうか?
みつきコンサルティングと買い手のC社が柔軟に対応してくれました。問題のある部分だけを適切な別会社で引き受けるという解決策を提案してくれたんです。これには本当に助けられました。この経験から、経営において自身では認識していない問題も隠れており、そしてそれを解決するためには双方の柔軟な対応が重要だということを学びました。
-契約書の作成や締結の過程はいかがでしたか?
この部分は主にみつきコンサルティングが中心となって進めてくれました。私の主張も聞きながら、みつきコンサルティングが公平な内容で調整してくれました。専門的な書き方も多くありましたが、分かりやすく整理して、納得がいくまで説明してくれました。おかげで、スムーズに契約を締結できました。ここでも、専門家のサポートの重要性を実感しました。相手は何度もM&Aを経験していますが、私は初めてです。この点で、専門家のサポートは必須ですね。
-従業員の引き継ぎについてはどうでしたか?
基本的には買い手主導で進めてもらいました。ただ、一つだけ問題がありました。最初に派遣された引き継ぎ用の薬剤師の態度が良くなかったんです。これには私も管理薬剤師も不満を感じました。長年一緒に働いてきた従業員のことを考えると、心配になりましたね。
-その問題はどのように解決されましたか?
すぐにみつきコンサルティング経由で伝えたところ、買い手側が迅速に対応してくれました。問題のあった薬剤師を別の方に変更してもらい、その後は円滑に進みました。この経験から、M&Aでは人的な要素も非常に重要だと実感しました。
-クロージングの日はどのような雰囲気でしたか?
和やかな雰囲気でした。買い手側が花束を用意してくれたり、記念写真を撮ったりと、細やかな配慮をしてくれました。長年経営してきた薬局を手放す寂しさはありましたが、新たな船出を祝福してもらえて嬉しかったです。従業員たちの笑顔を見て、この決断が正しかったと確信しました。
-M&Aを終えて、今どのようなお気持ちですか?
安堵感と満足感でいっぱいです。当初の予想をはるかに上回る譲渡金額で合意できたこと、そして何より従業員の雇用が守られ、地域医療への貢献が継続されることに安心しています。また、大手チェーンの一員となることで、より充実した患者サービスが提供できるようになったことも嬉しいですね。
-譲渡後の生活はいかがですか?
譲渡後は、経営の重圧から解放され、心身ともにリフレッシュできました。現在は、趣味の園芸を楽しんだりしています。
-M&A後の協業について、具体的にどのようなシナジーが生まれていますか?
C社の経営資源を活用することで、様々な面でシナジーが生まれています。例えば、大手チェーンならではの仕入れ力を活かして、より幅広い医薬品を取り扱えるようになりました。また、最新の薬歴管理システムが導入され、業務効率が大幅に向上しました。さらに、C社の研修プログラムにより、薬剤師のスキルアップも図れています。在宅医療の分野でも、C社のノウハウを活かして、サービスの拡充が進んでいます。
-みつきコンサルティングの対応について、評価をお聞かせください。
本当に素晴らしかったと思います。特に印象的だったのは、重要な局面で代表の方が同席してくれたことです。これによって、早い段階から信頼関係を築くことができましたDDで発覚したコンプライアンス問題への対応も迅速で、諦めずに危機を乗り越えるサポートをしてくれました。
-M&Aを通じて、ご自身の価値観や人生観に変化はありましたか?
はい、大きな変化がありました。これまでは薬局経営者として、常に責任と緊張感を持って日々を過ごしてきました。しかし、M&Aを通じて、人生には様々な選択肢があることを学びました。また、長年築いてきた事業に対する客観的な評価を受けたことで、自信と誇りを持つことができました。さらに、従業員や地域の方々への感謝の気持ちがより一層強くなりました。
-今後の人生設計について、どのようにお考えですか?
これからは、これまで培ってきた経験を社会に還元していきたいと考えています。具体的には、若手薬剤師の育成や、地域の健康増進活動に携わっていく予定です。また、長年の夢だった執筆活動にも挑戦したいと思っています。薬局経営の経験を活かして、健康や医療に関する本を書けたらいいですね。
-最後に、これからM&Aを検討している経営者の方々へアドバイスをお願いします。
まず、M&Aは決して恥ずかしいことではないということを理解してほしいですね。私も最初は抵抗がありましたが、今では良い選択だったと確信しています。そして、信頼できるアドバイザーを見つけることが重要です。みつきコンサルティングのような専門家のサポートがあれば、複雑なプロセスも乗り越えられます。最後に、自社の価値を正当に評価してもらうことも大切です。私の場合は、予想以上の評価を得ることができ、それが従業員や地域への還元にもつながりました。M&Aは、単なる事業売却ではなく、新たな可能性を開く機会だと捉えてほしいと思います。
-本日は貴重なお話をありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。この経験を多くの方々と共有できて嬉しく思います。M&Aを通じて、私自身も大きく成長できたと感じています。これからも、薬局業界の発展に少しでも貢献できればと思っています。