-本日は、みつきコンサルティングを通じてM&Aを成功させた売主様にお話を伺います。まずは、御社の事業内容と、経営者としてのご経験についてお聞かせください。
当社はLAN工事や電話等の配線工事を手がける会社で、年商約4億円、従業員数も少ない中小企業です。私は以前、証券会社に勤務していた経験があり、その後この会社の経営に携わることになりました。証券会社時代にM&Aの案件に関わった経験があったことが、今回の決断にも大きな影響を与えたと思います。
-御社の業界の現状や将来の展望についてどのようにお考えでしょうか?
通信インフラの需要は今後も増加すると予想されます。特に5Gの普及に伴い、高速大容量の通信網整備が急務となっています。一方で、人手不足や技術の高度化など、中小企業にとっては課題も多い業界です。将来的には、AIやIoTの活用が進み、工事の効率化や品質向上が図られると考えています。
-そのような状況下で、M&Aを検討されたきっかけについて詳しくお聞かせください。
会社の安定と拡大を図るためには、より大きな企業グループの傘下に入ることが有効だと考えました。また、私自身も年齢を重ね、事業承継の問題も視野に入れる必要がありました。業界の変化のスピードが速くなる中で、単独での成長には限界を感じていたのです。
-M&Aのアドバイザーとしてみつきコンサルティングを選んだ理由は何でしょうか?
実は、みつきコンサルティングからの最初のアプローチは2019年3月でした。その時は時期尚早と考えていましたが、半年ほど経って社内の状況も変化し、M&Aを真剣に検討し始めました。みつきコンサルティングの担当者の方の印象が良かったことと、中小企業のM&Aに強いという評判を聞いていたことから、相談してみることにしました。
-みつきコンサルティングとの最初の面談ではどのようなことを話し合われましたか?
2019年10月15日に初回面談を行いました。その際、みつきコンサルティングの担当者が簡易的な企業価値評価を行ってくれました。私としては、9,000万円以上で売却できれば良いと考えていました。また、同業他社への売却は避けたいという希望も伝えました。担当者の方は私の考えをよく理解してくれ、具体的なプロセスや今後の進め方について丁寧に説明してくれました。
-同業他社への売却を避けたい理由は何だったのでしょうか?
同業他社に売却すると、当社が単なる下請け会社になってしまう可能性が高いと考えたからです。そうなると、従業員の労働環境が悪化し、優秀な人材が流出してしまう恐れがありました。当社の強みは従業員の技術力にあるので、それを失うことは避けたかったのです。私は従業員を家族のように思っており、彼らの将来を守ることが経営者としての責任だと考えていました。
-買い手企業を探す過程ではどのような苦労がありましたか?
同業他社を除外したことで、候補となる買い手の数が限られてしまいました。みつきコンサルティングはM&A専門のウェブサイト「Mafolova」も活用して買い手探しを行ってくれました。しかし、2020年に入ってからは新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がM&Aに慎重になり、交渉が進まない時期がありました。この時期は正直不安でしたが、みつきコンサルティングの担当者が粘り強く候補を探し続けてくれたことに、大変感謝しています。
-最終的に買収を決めたA社との出会いはどのようなものだったのでしょうか?
みつきコンサルティングの担当者が、Mafolovaを閲覧していた際に、A社を見つけてくれました。不動産会社ではありますが、リフォーム事業も手がけており、当社の事業とシナジーが期待できると考えました。2020年6月22日に初めて面談を行い、その後10月21日にも面談を重ねました。A社の経営陣の方々の誠実な姿勢と、当社の事業に対する理解の深さに好感を持ちました。
-交渉の過程で難しかった点はありましたか?
A社は東証一部上場企業ということもあり、社内での意思決定に時間がかかりました。最初の面談から2回目の面談まで4ヶ月ほどかかり、正直なところ、私の熱意が冷めかけた時期もありました。また、他の仲介会社から紹介された買い手候補からも条件提示があり、どちらを選ぶか迷う場面もありました。この時期は毎日のように悩み、眠れない夜もありました。
-最終的にA社を選んだ決め手は何だったのでしょうか?
A社からは2020年11月6日に書面で正式な意向表明書が提出されました。条件面では他社の方が若干良かったのですが、M&Aの経験が豊富で、プロセスをしっかりと進めてくれる印象がありました。また、みつきコンサルティングからのアドバイスも参考にしました。A社の経営理念や企業文化が当社と親和性が高いと感じたことも大きな要因でした。
-デューデリジェンス(DD)の過程はスムーズに進みましたか?
当社が12月決算だったこともあり、年末年始を挟んだためやや慌ただしい面はありました。DDは2020年12月20日から2021年1月29日まで行われました。私自身がM&Aの経験があったこともあり、必要な資料の準備などは迅速に対応できたと思います。みつきコンサルティングのサポートもあり、大きな問題なくDDを完了することができました。この過程で、改めて自社の強みや課題を認識することができ、非常に有意義な経験となりました。
-M&A後の協業について、具体的にどのようなシナジーを期待されていますか?
A社のリフォーム事業と当社の通信工事事業には大きな相乗効果があると考えています。例えば、A社が手がける物件のリノベーション時に、当社が通信インフラの整備を担当することで、ワンストップサービスの提供が可能になります。また、A社の顧客基盤を活用することで、当社の営業範囲が大幅に拡大すると期待しています。さらに、A社のブランド力や信用力を活かして、より大規模なプロジェクトにも参画できるようになるでしょう。
-M&Aプロセス全体を通じて、みつきコンサルティングのサポートはいかがでしたか?
非常に満足しています。特に印象的だったのは、買い手候補が見つからない時期があっても諦めずに探し続けてくれたことです。また、交渉が停滞しそうな時には適切なアドバイスをくれ、プロセスを前に進める原動力になってくれました。法務面でのサポートも心強かったです。担当者の方は単なるアドバイザーではなく、私の良き相談相手として、時には厳しい意見も言ってくれました。この信頼関係があったからこそ、最後まで前向きに取り組むことができたと思います。
-M&A後の生活や心境の変化についてお聞かせください。
M&A後も引き続き経営に携わっていますが、大きな企業グループの一員となったことで、経営の視野が広がったように感じます。A社のリソースを活用できることで、新たな事業展開の可能性も見えてきました。個人的には、以前よりも精神的な余裕ができ、長期的な視点で事業を考えられるようになりました。また、従業員たちの表情が明るくなったことも嬉しい変化です。彼らの将来に対する不安が解消され、より意欲的に仕事に取り組んでくれています。
-今後の事業展開や個人的な目標についてお聞かせください。
A社グループの一員として、当社の強みである通信インフラ整備の技術を活かし、スマートビルディングやIoT関連の事業にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。個人的には、若手社員の育成に力を入れ、次世代のリーダーを育てることを目標としています。また、M&Aを経験した経営者として、同じような立場にある中小企業の経営者の方々にアドバイスできる機会があれば、積極的に関わっていきたいと思っています。
-M&Aを通じて得られた学びや気づきはありますか?
M&Aのプロセスを通じて、改めて自社の価値を客観的に見つめ直すことができました。また、従業員や取引先との関係の重要性を再認識しました。M&Aは単なる企業の売買ではなく、人と人とのつながりや信頼関係が基盤にあることを実感しました。さらに、プロフェッショナルのアドバイスを受けることの重要性も学びました。みつきコンサルティングのような専門家のサポートがあったからこそ、最適な判断ができたと思います。
-M&Aプロセスの中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?
最も印象に残っているのは、A社との初回面談です。当初は不動産会社ということで、どのようなシナジーが生まれるのか疑問でした。しかし、面談を通じて彼らの事業、特にリフォーム事業との連携の可能性を聞き、大きな可能性を感じました。また、彼らが当社の技術力や従業員の価値を高く評価してくれたことも、非常に嬉しかったです。
-M&Aを検討する際に、最も重要だと感じたポイントは何でしょうか?
私が最も重要だと感じたのは、「相性」です。単に条件面だけでなく、企業文化や経営理念の親和性が非常に重要だと実感しました。A社を選んだ大きな理由の一つも、この「相性」の良さでした。また、従業員の将来を第一に考えることも重要です。彼らの雇用や処遇が守られることが、円滑なM&Aの大前提だと思います。
-最後に、これからM&Aを検討する経営者の方々へアドバイスをお願いします。
M&Aは会社の将来を左右する重要な決断です。私の経験から言えることは、信頼できるアドバイザーを選ぶことが非常に重要だということです。みつきコンサルティングのような経験豊富な専門家のサポートがあれば、複雑なプロセスも乗り越えられます。また、自社の強みと弱みを冷静に分析し、シナジーを生み出せる相手を探すことが成功の鍵だと思います。そして、従業員のことを第一に考えることも忘れないでください。彼らあっての会社ですから。最後に、M&Aは終わりではなく新たな始まりだということを心に留めておいてください。譲渡後の統合プロセスや新しい環境での経営にも十分な注意を払う必要があります。
-本日は貴重なお話をありがとうございました。御社のさらなる発展を心よりお祈りしております。
こちらこそ、このような機会をいただき、ありがとうございました。M&Aを通じて得た経験を、今後の経営に活かしていきたいと思います。また、この経験を同じような立場にある経営者の方々にも共有し、日本の中小企業の発展に少しでも貢献できればと考えています。
-最後に、M&Aを経験された経営者として、中小企業の皆様にメッセージをお願いします。
中小企業の経営者の皆様、M&Aは決して大企業だけのものではありません。むしろ、中小企業こそM&Aを積極的に検討すべきだと私は考えています。事業承継の問題や、単独での成長の限界に直面している方も多いのではないでしょうか。M&Aは、そういった課題を解決する有効な手段の一つです。
しかし、M&Aを成功させるためには、十分な準備と適切なサポートが不可欠です。私の場合、みつきコンサルティングという信頼できるアドバイザーに恵まれ、複雑なプロセスを乗り越えることができました。皆様も、M&Aを検討する際は、信頼できる専門家のサポートを受けることをお勧めします。
また、M&Aは単なる企業の売買ではありません。従業員の未来や、これまで築き上げてきた企業文化をどう継承していくかも重要な要素です。相手企業との相性や、シナジー効果についても十分に検討してください。
最後に、M&Aは恐れるものではありません。むしろ、新たな可能性を開く扉だと考えてください。私たちの経験が、皆様の参考になれば幸いです。日本の中小企業がM&Aを通じてさらに発展し、日本経済の活性化につながることを心から願っています。