-本日は、みつきコンサルティングを通じてM&Aを成功させたG社の売主様にお話を伺います。まずは、経営者としてのこれまでの経験についてお聞かせください。
私は医療機器メーカーで20年以上勤務し、その後、調剤薬局事業に携わることになりました。医療機器業界では、技術革新や規制の変化に常に対応する必要があり、その経験が薬局経営にも活かされたと感じています。特に、顧客志向のサービス提供や品質管理の重要性を学びました。
-調剤薬局業界に参入された経緯を教えていただけますか?
日本の高齢化社会における医療ニーズの高まりと、調剤薬局の専門性向上の必要性を感じ、新たな挑戦として取り組みました。しかし、コロナウイルスの影響や初めての薬局運営ということもあり、経営が思うようにいきませんでした。
-業界の動向や将来展望についてどのようにお考えですか?
調剤薬局業界は今後も成長が見込まれますが、同時に大きな変革期にあると考えています。オンライン診療の普及や電子処方箋の導入など、デジタル化が進む中で、従来の対面サービスとの融合が求められています。また、地域包括ケアシステムの中で薬局の役割が拡大し、より高度な専門性と多職種連携が必要になると予想しています。
-そのような状況下で、M&Aを検討されたきっかけを詳しくお聞かせください。
経営難に直面し、「選択と集中」の観点から事業の見直しを行いました。私たちの強みを活かせる分野に注力するべきだと考え、短期間ではありましたが手放すことを決断しました。また、業界再編の流れの中で、スケールメリットを活かせる大手チェーンに譲渡することで、薬局の継続的な発展につながると判断しました。
-M&A仲介会社としてみつきコンサルティングを選ばれた理由は何でしょうか?
実は最初は大手のM&A仲介会社にも相談していました。しかし、みつきコンサルティングからダイレクトメールと電話をいただいたタイミングが良く、特に印象的だったのは、成功報酬のみで、かつ金額の交渉が可能だという点でした。他社は報酬をまったく下げる気がなかったので、みつきコンサルティングに相談することにしました。また、担当者の方の熱意と専門知識に信頼感を覚えました。
-初回の面談ではどのような印象を受けられましたか?
みつきコンサルティングの担当者は非常に丁寧で、M&Aのプロセスや市場の状況などを分かりやすく説明してくれました。特に、直近の案件で3〜5社程度の意向表明書が出たという話を聞いて、売り手市場であることが理解できました。また、必要書類や今後の流れについても明確に説明してくれたので、安心して進められると感じました。担当者の方が私たちの状況を深く理解しようとする姿勢に好感を持ちました。
-M&Aのプロセスについて、具体的にどのような流れで進んだのでしょうか?
まず、みつきコンサルティングが企業概要書を作成し、82社もの買い手候補に打診してくれました。その結果、18社から金額提示をいただき、その中から最適な買い手を選ぶことができました。プロセスの中で特に印象に残っているのは、買い手候補との面談です。最初に有力候補と考えていた買い手企業が、直前になってお断りの連絡をしてきたときは正直焦りました。しかし、みつきコンサルティングがすぐに他の買い手候補に打診してくれたおかげで、最終的には良い条件で成立させることができました。
-買い手候補との交渉で苦労された点はありましたか?
株式譲渡契約書(SPA)の調整では、買い手と売り手の意見の相違があり、深夜まで交渉が続いたことがありました。特に、債務超過の解消方法について、当初はDES(債務の株式化)を検討していましたが、債権譲渡に変更になるなど、スキームの調整に苦労しました。このような専門的な交渉では、みつきコンサルティングの知見が非常に役立ちました。
-買い手企業との協業について、どのようなシナジーを期待されていましたか?
買い手企業であるP社は、調剤薬局チェーンとして豊富な経験と知見を持っています。私たちの薬局が持つ地域密着型のサービスと、P社の効率的な経営ノウハウを組み合わせることで、より質の高い医療サービスを提供できると考えました。具体的には、在宅医療への取り組み強化や、デジタル化による業務効率の向上、さらには薬剤師の専門性向上のための研修制度の充実などを期待しています。また、P社のスケールメリットを活かした仕入れコストの削減も、経営改善につながると考えています。
-M&Aのプロセスを通じて、特に印象に残っているエピソードはありますか?
買い手企業の会長との初めての面談が印象に残っています。会長は非常に温厚な方で、私たちの薬局の理念や地域での役割をよく理解してくださいました。特に、「薬局は単なるビジネスではなく、地域医療を支える重要な存在だ」という会長の言葉に、私たちの想いが引き継がれると確信しました。また、交渉の過程で一時的に行き詰まったときも、会長自ら柔軟な対応を示してくださり、信頼関係を築くことができました。
-みつきコンサルティングの対応で特に印象に残っている点はありますか?
スピード感のある対応が印象的でした。土日や昼夜を問わず対応してくれたことで、当初の希望通り期日内にクロージングすることができました。また、私たちの会社の事情をよく理解し、どうすれば社内の決裁が通るかを常に意識してくれていたことも大きかったですね。必要に応じてみつきコンサルティングが間に立って調整してくれたおかげで、スムーズに進めることができました。特に、DESの実行や最終的な契約書の調整など、専門的な部分でのサポートは非常に心強かったです。
-M&A後の心境や新たな生活について、お聞かせください。
正直なところ、長年携わってきた事業を手放すことには複雑な思いがありました。しかし、従業員の雇用が守られ、さらに良い環境で働けることになったのを見て、正しい決断だったと感じています。私自身は、この経験を活かして新たな分野にチャレンジしたいと考えています。具体的には、医療とITの融合に関心があり、遠隔医療やヘルスケアテックの分野で新しいビジネスの可能性を探っています。M&Aを通じて得た資金を、次の挑戦に向けての種銭にできることにも感謝しています。
-最後に、これからM&Aを検討される方へアドバイスをお願いします。
M&Aは複雑なプロセスですが、信頼できる仲介会社を選ぶことが重要だと感じました。みつきコンサルティングのように、顧客のニーズを的確に読み取り、オーダーメイドで対応してくれる会社を選ぶことをおすすめします。また、自社の状況や希望をできるだけ明確に伝え、仲介会社と密にコミュニケーションを取ることで、より良い結果につながると思います。そして、M&Aは単なる事業売却ではなく、新たな成長の機会を生み出す可能性があることを忘れないでください。従業員や顧客のことを考え、長期的な視点で判断することが大切だと思います。
-本日は貴重なお話をありがとうございました。みつきコンサルティングを通じたM&Aの成功事例として、多くの方の参考になると思います。最後に、今後の調剤薬局業界についてのお考えをお聞かせください。
調剤薬局業界は今後、さらなる変革が求められると考えています。高齢化社会の進展に伴い、在宅医療の需要が増加する一方で、オンライン診療の普及により従来の薬局の役割も変化していくでしょう。また、AI技術の発展により、調剤業務の自動化や薬歴管理の効率化が進むと予想されます。このような変化の中で、薬剤師には医療の専門家としてより高度な知識とコミュニケーション能力が求められるでしょう。同時に、地域に根ざしたかかりつけ薬局としての機能も重要性を増すと考えています。M&Aを通じて規模を拡大し、これらの変化に対応できる体制を整えることは、業界全体にとって重要な戦略になると思います。私自身も、業界の外から新たな視点で貢献できることがあればと考えています。
-売主様、本日は長時間にわたり貴重なお話をありがとうございました。最後に、M&Aを通じて得られた個人的な学びや成長についてお聞かせください。
このM&Aプロセスを通じて、経営者として多くの学びがありました。まず、事業の価値を客観的に評価することの重要性を再認識しました。自社の強みや弱みを冷静に分析し、市場での位置づけを正確に把握することが、適切な意思決定につながることを学びました。
また、交渉力の重要性も痛感しました。買い手企業との交渉では、単に高い価格を求めるだけでなく、従業員の処遇や事業の継続性など、多角的な視点から最適な条件を引き出すことが求められました。この経験は、今後の事業展開においても大いに役立つと確信しています。
さらに、専門家のサポートを適切に活用することの重要性も学びました。M&Aのような複雑な取引では、法務、財務、税務など多岐にわたる専門知識が必要です。みつきコンサルティングをはじめとする専門家のアドバイスを受けることで、リスクを最小限に抑えつつ、最大限の成果を得ることができました。
個人的な成長という面では、この経験を通じて、変化を恐れずに挑戦することの大切さを再確認しました。長年携わってきた事業を手放すという決断は決して容易ではありませんでしたが、新たな可能性に向けて一歩を踏み出すことができました。この経験は、今後の人生においても大きな自信となっています。
最後に、人とのつながりの重要性を改めて感じました。M&Aプロセスでは、多くの方々との出会いがありました。買い手企業の方々、仲介会社の担当者、法律や財務の専門家など、様々な立場の人々と深い議論を重ねる中で、新たな視点や考え方に触れることができました。これらの出会いは、私の視野を大きく広げてくれました。
このM&A経験は、単なる事業売却にとどまらず、私自身の人生における大きな転換点となりました。この経験を糧に、今後も新たな挑戦を続けていきたいと思います。