食品製造販売のM&A事例 【北海道】

スイーツ製造会社の主要事業の譲渡を助言|M社さま

譲渡企業 M社さま
業種 食品製造販売
事業内容 ジェラート製造、販売
売上 約5億円
地域 北海道
設立 2000年代
経営者の年齢 40代
譲渡理由 事業発展の為
譲受企業 Y社さま
業種 コングロマリット
事業内容 食品加工の販売
売上 約15億円
地域 北海道
設立
上場の有無 非上場
譲受目的 商品ラインナップの拡充

-本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。まずは、M社様の事業について詳しくお聞かせください。

はい、弊社はジェラートの製造・販売を行っております。創業以来20年近く、北海道の豊かな自然と新鮮な食材を活かした商品開発に力を入れてきました。特に、北海道の酪農家さんと連携し、濃厚な生乳を使用したジェラートが人気です。

-御社の強みはどのようなところにあるとお考えでしょうか。

北海道産の高品質な原料を使用し、独自の製法で作る濃厚なジェラートが特徴です。また、季節限定のフレーバーも好評で、リピーターのお客様も多くいらっしゃいます。特に、観光名所に多くの店舗を持っていることもあり、観光客の方々にも大変人気があります。

-ジェラート業界の現状や課題についてはどのようにお考えでしょうか。

ジェラート市場は年々拡大傾向にありますが、同時に競争も激しくなっています。特に、大手アイスクリームメーカーの参入や、SNSを活用した新興ブランドの台頭が目立ちます。また、原材料費の高騰や人手不足も大きな課題です。さらに、季節や天候に左右されやすい商品特性もあり、原材料の安定した供給を受けるには様々な営業努力が必要です。

-そのような状況下で、会社を譲渡しようと思われたきっかけは何だったのでしょうか。

主に二つの理由がありました。一つは事業の成長を図りたいという思いです。弊社は商品やブランド力には自信があります。一方で、それを売る力が弱いと感じていました。そこで、より大きな企業グループの一員となることで、新たな成長の機会を得られるのではと考えました。もう一つは、買い手候補との交渉中の出来事ではあったのですが、昨今のインフレや予想だにしていないトラブルにより経営状況が厳しくなり、抜本的な事業の立て直しが必要だと感じたからです。

-具体的にはどのような問題に直面されていたのでしょうか。

ある自然災害が原因で、複数の店舗において営業が止まってしまったことがありました。これらの要因で経営が悪化し、財務内容が急速に悪化してしまったのです。純資産が数千万円あったものが、わずか1年ちょっとで3,000万円の債務超過に転落してしまいました。また、P/Lについても、いままで順調に黒字を出してきたのですが、この災害が起因となって、慢性的な赤字体質になってしまいました。

-そのような状況下で、みつきコンサルティングにご相談いただいたわけですね。最初にコンタクトを取られたのはいつ頃でしたか?

最初の面談は数年前でした。その後、みつきコンサルティングさんとアドバイザリー契約を締結し、買い手候補とのトップ面談まで進みました。正直なところ、M&Aについては全く知識がなく、不安も大きかったのですが、みつきコンサルティングの担当者の方が丁寧に説明してくださり、少しずつ理解を深めていきました。

-買い手候補との交渉はスムーズに進んだのでしょうか。

当社の経営が順調だったこともあり、こちらからもしっかり条件を提示させていただき、当初は順調に進んでいました。しかし、自然災害の影響で当社の財務状況が大幅に悪化したため、買い手側から進行期の決算が出るまで保留にしたいという申し出がありました。その後、進行期の決算が出たところで再交渉となりましたが、この時は正直、先行きが見えず不安でいっぱいでした。

-再交渉では条件面でどのような変更がありましたか?

主な変更点としては、①.株価を大幅に下方修正すること、②.譲渡後の私の役員としての任期を親会社の判断で更新制とすること、③.譲渡後の役員報酬額の見直し、④.譲渡時の役員借入金の返済について分割払いを受け入れること、などがありました。特に株価が大幅な下方修正されたことは、経営者としてのプライドが傷つき、非常に辛いことでした。しかし、会社と従業員の未来を考えると、これも受け入れざるを得ないと判断しました。

-その後、一度交渉が中断したと伺っています。どのような経緯だったのでしょうか。

はい、一度は厳しい条件でも受け入れようと思ったのですが、やはり自分の中でどうしても受け入れることができませんでした。そこで、交渉は大詰めではあったのですが、私から「やっぱり売れない」と、みつきコンサルティングの担当者へお伝えしました。背景としては、20年近く育ててきた会社を手放すことへの不安や、従業員への責任感などがないまぜになり、正直、自分でもよく分からないまま、最後の最後で躊躇してしまったんです。担当者の方に対してはとても申し訳ないことをしてしまいました。今思えば、その時点でもっと深く話し合うべきだったと反省しています。

-その後、再度、みつきコンサルティングに連絡を取られたそうですね。

はい、交渉を中断してから8カ月後に当社の資金繰りがどうにもならないところまで追い込まれてしまいました。当然、全ての責任は経営者であった私にあるので、雇用を守るためにも、恥も外聞もかなぐり捨てて、みつきコンサルティングの担当者に「助けてください」と連絡しました。

経営状況がさらに厳しくなり、独力での立て直しは不可能になっていました。この半年間強、毎日のように会社の未来について悩み抜きました。結局、私の個人的な感情よりも、会社と従業員の未来を優先すべきだという結論にやっと至ることができました。

-最終的な交渉再開から成立までの流れを教えていただけますか。

みつきコンサルティングの迅速な対応のおかげで、すぐに買い手候補との再交渉が始まりました。条件面では、①.株価1円、②.役員報酬額の再調整、③.役員借入金の全額放棄、などが加わり、最終的な交渉再開から1カ月後に無事クロージングとなりました。この過程では、みつきコンサルティングの担当者が、スピーディー、かつ、粘り強く交渉してくださり、本当に感謝しています。

-譲渡先のY社様を選んだ理由は何でしょうか。

Y社様は食品加工・販売の分野で実績があり、新規事業への足掛かりとして我々の事業に興味を持っていただきました。また、北海道に拠点があることも大きな要因でした。Y社様の社長とお会いした際、私たちの事業に対する理解と情熱を感じ、この方なら安心して会社を託せるのではないかと感じからです。

M&Aを通じて、どのような未来を描いていらっしゃいますか。

Y社様のグループに入ることで、資金繰りが安定し、さらなる事業拡大の可能性が開けたと感じています。北海道の食材を活かしたジェラート事業を、より多くの方に楽しんでいただけるよう、新たな挑戦を続けていきたいと考えています。具体的には、Y社様の販路を活用した全国展開や、FC展開などを計画しています。

-Y社様とのシナジー効果についてはどのようなことを期待されていますか?

Y社様は様々な販売チャネルや加工技術を持っておられるため、私たちの製品と組み合わせることで、新たな販路開発が可能になると考えています。例えば、Y社様の持つ冷凍技術を活用して、家庭用の高品質ジェラートを開発し、通信販売するなどのアイデアがあります。また、Y社様の持つ販路を活用することで、北海道外での販売拡大を計画しています。さらに、Y社様のグループ会社が運営する商業施設内に、私たちのジェラートショップを出店する計画も進んでいます。

-みつきコンサルティングの対応はいかがでしたか。

非常に丁寧で迅速な対応に感謝しています。特に、私の事情で交渉が中断した後も、変わらずサポートしていただいたことが印象に残っています。通常ですと、失礼なことをしてしまったわけですから、そこで見放されてもおかしくはないはずです。そのような中でも担当者の方々は諦めずに最後までサポートいただきました。彼らの専門知識と経験が、複雑な交渉を乗り越える上で大きな力となりまし、私たち経営者の心情にも寄り添っていただき、精神的にも支えていただきました。

M&A後の生活や心境の変化についてお聞かせください。

正直なところ、最初は不安もありました。20年近く経営者として全ての決定を下してきた立場から、突然グループ会社の一員になるというのは大きな変化でしたから。しかし、Y社様の温かいサポートもあり、徐々に新しい環境に馴染んでいました。今では、資金繰りの重圧から解放され、よりアグレッシブに仕事に集中できるようになったと感じています。休暇も以前より取れるようになり、妻と旅行に行く時間も増えました。会社の未来を案じる毎日から解放され、心にゆとりが生まれたことを実感しています。

-Y社様との協業によって、御社において具体的にどのような変化がありましたか?

まず、資金面での安定が図れたことが大きいですね。これにより、新商品開発や設備投資にも積極的に取り組めるようになりました。また、Y社様のグループ会社が運営する商業施設に新規出店するなど、販路の拡大も進んでいます。さらに、Y社様の持つ食品加工技術を活用して、賞味期限の延長や、新しい食感のジェラートの開発にも着手しています。人材面でも、Y社様からマーケティングや財務の専門家が派遣され、経営のプロフェッショナル化が進んでいます。

-最後に、同じように事業承継やM&Aを考えている経営者の方々へメッセージをお願いします。

経営環境の変化や予期せぬ災害など、様々な要因で事業の継続が難しくなることはあります。そんな時こそ、専門家のアドバイスを受けることが重要だと感じました。M&Aは単なる事業売却ではなく、新たな成長の機会にもなり得ます。早めの相談と決断が、事業と従業員の未来を守ることにつながると思います。

また、M&Aを検討する際は、自社の強みや弱みを客観的に分析することが大切です。私たちの場合、北海道の食材を活かした商品開発力が評価され、Y社様との協業につながりました。自社の価値を正しく認識し、それを活かせる相手を見つけることが成功の鍵だと思います。

さらに、M&Aのプロセスは想像以上に時間と労力がかかります。私たちの場合、最初の相談から成立まで1年半以上かかりました。その間、何度も挫折しそうになりましたが、みつきコンサルティングの支援があったからこそ、最後まで諦めずに進めることができました。専門家のサポートを受けることの重要性を、身をもって経験しました。

最後に、M&A後の生活についても考えておくことをお勧めします。私の場合、経営者から従業員になることへの不安がありましたが、実際には新しい挑戦の機会を得られ、より充実した日々を送れています。変化を恐れず、新しい可能性に目を向けることが大切だと感じています。

-本日は貴重なお話をありがとうございました。M社様の今後ますますのご発展を心よりお祈りしております。

こちらこそ、ありがとうございました。この経験を活かし、新たな挑戦を続けていきたいと思います。Y社様との協業を通じて、北海道の魅力をさらに多くの方々に届けられるよう、努力を重ねていく所存です。

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷ 西尾 崇 事業法人第三部長


宅食事業を共同経営者として立ち上げ、CFOとして従事。みつきコンサルティングでは、会計・法務・労務の知見を活かし、業界を問わず、事業承継型・救済型・カーブアウト・MBO等、様々なニーズに即した多数の支援実績を誇る。

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