- 本日は、みつきコンサルティングを通じてM&Aを成功させた売主様にお話を伺います。まず、御社の事業内容と、経営者としてのこれまでの経験についてお聞かせください。
当社は求人フリーペーパーの運営会社として、30年以上にわたり事業を展開してきました。私は創業者として、この業界の変遷を肌で感じてきました。当初は紙媒体全盛期で、求人情報を求める人々で発行日の当日になくなってしまうほどでした。しかし、インターネットの普及とともに、業界は大きく変わっていきました。
- 業界の変化に対して、どのように対応されてきたのでしょうか?
常に変化を先取りする努力をしてきました。例えば、早い段階でウェブサイトを立ち上げ、紙とデジタルのハイブリッド戦略を展開しました。また、昔ながらの求職者が多い職種に対し特に力を入れ、地域に密着した情報提供や、きめ細かな求職者サポートなど、大手にはできないサービスを心がけてきました。しかし、スマートフォンの普及やindeedをはじめとした大手求人サイトの台頭により、譲渡前の数年間は厳しい状況が続いていました。
- そのような状況下で、M&Aを検討されたきっかけについて教えていただけますか?
正直なところ、最初からM&Aを考えていたわけではありません。
厳しい状況を打破するために、新規事業の立ち上げや社内組織体制の改善に取り組んでいこうとした矢先にみつきコンサルティングの西尾さんからお話をいただきました。最初は自社には全く関係のない話だと思い断りましたが、社内体制の改善が思うような成果が出ず、だんだん将来に不安を感じていきました。そんな中、再度、西尾さんからお話があったのです。
- 最初にM&Aの話が出たときの心境はいかがでしたか?
率直に言って、全く乗り気ではありませんでした。30年以上かけて築き上げてきた会社を手放すという考えは、経営者として受け入れがたいものでした。また、従業員や取引先への影響も心配でした。さらに、西尾さんから提示された条件も厳しいものだったので、一旦は断りました。
- その後、M&Aを本格的に検討し始めたきっかけは何だったのでしょうか?
時間が経つにつれ、事業改革の結果が思わしくないことが明確になってきました。このままでは事業継続すら危うくなるかもしれないという危機感が高まりました。そんな中、西尾さんから、「事業改革が失敗してからでは交渉力も弱くなり、そもそも買い手に検討してもらえない可能性がある」と指摘されたことが、大きな転機となりました。
- その指摘を聞いて、どのようなお考えに至りましたか?
正直、最初は腹が立ちましたが、その言葉で現実を直視する必要性に気付かされました。長年経営者として、常に前を向いて走り続けてきましたが、時には立ち止まって冷静に現状を分析することも大切なんだと思い直せました。また、従業員の将来を考えると、このまま衰退していくよりも、新たな可能性を模索する方が責任ある選択だと思うようになりました。
- みつきコンサルティングの対応はいかがでしたか?
最初は厳しい印象を受けましたが、振り返ってみると、的確なアドバイスをしてくれていたと感じています。特に、事業の現状と将来のリスクを冷静に指摘し、タイミングの重要性を気付かせてくれたことは非常にありがたかったです。やはり、自分の会社はどうしてもひいき目で見てしまうので、中々、現状を正確に把握するのは難しいものです。
また、厳しいことを言いつつも、私の経営者としてのプライドや感情面にも配慮しつつ、現実的な選択肢を提示してくれた点もありがたかったです。
- 買い手企業とのマッチングはスムーズに進みましたか?
西尾さんが当初から推薦してくれていた企業以外にも複数の候補先に打診していただいたのですが、なかなか前に進みませんでした。私たちの業界はニッチであり、また地域性も強いため、適切な買い手を見つけるのは難しかったのだと思います。最終的には、西尾さんが当初から推薦してくれていた企業と話が進むことになりました
- その買い手企業の印象はいかがでしたか?
非常に好印象でした。というのも私ども事業と同様のことを全国規模で行っており、事業に対する理解が深く、私どもの強みもすぐに分かってくれました。
単に資産や売上を見るのではなく、我々が長年かけて築いてきた地域とのつながりや、社員の実力を評価してくれました。また、私どもの大きな課題であったデジタルマーケティングのノウハウを先方は持っており、我々の地域密着型のサービスと組み合わせることで、自社の発展が叶うのではないかと思わせてくれたことも、大きな決め手となりました。
- 交渉過程で印象に残っていることはありますか?
先方の経営陣との面談が特に印象に残っています。わざわざ先方の社長が京都まで来ていただき、単に事業を買収するだけでなく、我々の経営理念や価値観を尊重し、それを活かす形で事業を発展させたいと語ってくれました。特に、私の息子を将来の幹部候補として期待してくれているという言葉をいただいたことは、大きな安心感につながりました。また、今後の事業改善戦略について具体的な話し合いができたことで、不安が解消されていきました。
- M&Aを進める中で、困難を感じた点はありましたか?
やはり、経営者として長年築き上げてきた会社を手放すという決断は、精神的にとても大きな負担でした。特に、従業員たちへの説明をどうするか、取引先との関係をどう維持するかなど、多くの課題に直面しました。また、共同経営者である専務との調整にも時間がかかりました。専務は細かい点にこだわる傾向があり、その説得にも苦労しました。
- みつきコンサルティングはそういった困難にどのように対応してくれましたか?
非常に丁寧に対応してくれました。特に印象的だったのは、交渉が大詰めを迎えている状況の際に、毎週のように京都まで足を運んでくれたことです。ほとんど用事がなくても、私たちの不安を和らげるためだけに来てくれたんです。また、従業員への説明方法や、取引先への対応についても具体的なアドバイスをくれました。専務との調整においても、専務の性格を理解した上で、丁寧に説明を重ねてくれました。その姿勢には本当に感謝しています。
また、私はお酒が飲むのが好きなのですが、西尾さんは殆ど下戸なのにもかかわらず、新幹線のギリギリの時間まで付き合ってくれました。お酒の場でいろんな話をしたことで、私の不安がなくなっていったのを覚えています。
- 最終的な譲渡条件について、満足のいく結果となりましたか?
正直なところ、当初の想定よりも厳しい条件となりました。しかし、会社の現状を考えると、これが最善の選択だったと今では納得しています。特に、従業員の雇用が確保されたことは大きな安心材料でした。また、先方が我々の事業がやっていることを高く評価してくれ、今後の発展に向けて具体的なプランを示してくれたことも、大きな満足点です。
- M&Aの過程を通じて、みつきコンサルティングのどのような点が印象に残っていますか?
まず、的確な状況分析と戦略提案が印象的でした。我々の業界特性を理解した上で、現実的な選択肢を提示してくれました。また、買い手企業との調整や、我々の心情への配慮など、きめ細かなサポートを提供してくれました。特に、クロージングに向けた最後の数週間は、本当に献身的にサポートしてくれたと感じています。彼らの専門知識と経験が、M&Aの過程全体を通じて大きな支えとなりました。
これは私見になるのですが、彼らの最大の強みは、豊富な経験と幅広いネットワークじゃないかなと感じました。我々のような地方の中小企業でも、大手企業と遜色ないレベルのM&Aサポートを受けられたことは非常にありがたかったです。また、単なるビジネス上の取引ではなく、我々の人生の一大事として真摯に向き合ってくれたことに、心から感謝しています。M&Aという大きな決断を迷っている経営者の方々にも、ぜひ、みつきコンサルティングのような専門家に相談することをお勧めします。彼らの専門知識と丁寧なサポートは、心強い味方となるはずです。
- みつきコンサルティングの対応で、特に評価できる点はどこでしょうか?
一番評価しているのは、常に我々に寄り添って考えてくれたことです。単に案件を成立させるだけでなく、我々の将来や従業員の幸せまで考えてくれたと思っています。また、専門的な知識を分かりやすく説明してくれたことも、大変助かりました。特に、財務や法務の複雑な論点を、我々素人にも理解できるように噛み砕いて説明してくれたことは、とてもありがたかったです。さらに、感情的になりがちな場面でも、冷静進めてくれたくれたことで、より良い判断ができたと感じています。
- 逆に、改善してほしいと感じた点はありましたか?
特に大きな不満はありませんが、強いて言えば、初期段階でのコミュニケーションがもう少し頻繁だったら良かったかもしれません。M&Aのプロセスに不慣れな我々にとっては、初期の段階で多くの不安や疑問がありました。もう少し頻繁に状況報告や説明があれば、より安心して進められたかもしれません。ただ、これは私たち側の準備不足もあったので、一概にみつきコンサルティングの問題とは言えないかもしれません。
- M&Aを検討している他の経営者へのアドバイスがあればお聞かせください。
早めの決断が重要だと思います。もし、厳しい業界におられるのであれば、事業価値があるうちに検討を始めることで、より良い条件で譲渡できる可能性が高まります。また、なかなか難しいことだともいますが、客観的に自社の状況を分析してみてください。もし難しければ、信頼できるアドバイザーを見つけたうえで意見を聞いてみてください。西尾さんのような経験豊富な専門家のサポートは、M&Aの過程全体を通じて非常に心強かったです。
- M&A後の状況はいかがですか?従業員の方々の反応はどうでしたか?
予想以上に順調です。買い手企業が持つノウハウやリソースを活用することで、新たな活力が生まれています。例えば、彼らのデジタルマーケティング技術を導入したことで、従来の紙媒体とウェブサービスの相乗効果が生まれ、求人情報へのアクセス数が大幅に増加しました。従業員たちも、最初は不安があったようですが、雇用が確保され、さらに成長の機会が増えたことで、今では前向きに仕事に取り組んでいます。特に若手社員たちは、頑張ればもっと大きな場で活躍できるため、意欲的に新しい技術やビジネスモデルを学んでいます。
- 譲渡後、ご自身の役割や生活にどのような変化がありましたか?
経営の第一線からは退きましたが、顧問として数年間会社に関わりました。これまでの経験を活かしつつ、新しい経営陣をサポートする役割でした。特に、地域とのつながりや、長年の取引先との関係維持において、私の知見を役立たせることができたのではないでしょうか。個人的には、長年の重圧から解放され、人生の新しいステージに入った感覚です。趣味の時間も増え、家族との時間も大切にできるようになりました。最近では、長年休んでいたゴルフを再開したり、孫の成長をゆっくり見守ったりと、充実した日々を送っています。