OA機器の販売・保守のM&A事例 【福岡県】

電気機械器具卸売業を営む企業の譲渡を助言|オーエーメディア福岡さま

譲渡企業 オーエーメディア福岡さま
業種 OA機器の販売・保守
事業内容 OA機器の販売・保守
売上 3億円前後
地域 福岡県
設立 1989年
経営者の年齢 67才
譲渡理由 後継者不在と事業継続
譲受企業 インフォシステムさま
業種 OA機器の販売・保守
事業内容 OA機器の販売・保守
売上 グループで十数億円前後
地域 埼玉県
設立 2013年
上場の有無 非上場
譲受目的 本業の拡大

成約年月:2025年10月
取材先:代表取締役社長 中尾様

-まずは、オーエーメディア福岡の事業内容と、今回M&Aをご決断された背景について教えていただけますでしょうか。

中尾様:当社は、福岡エリアを中心にOA機器の販売や保守メンテナンス、ITインフラの構築支援などを展開してまいりました。長年にわたる地場での活動を通じて、数百社もの法人アカウントを保有するまでになり、お客様のオフィス環境を支えるパートナーとして、厚い信頼をいただいていると自負しております。私自身、創業以来、お客様に喜んでいただけるサービスとは何かを常に問い続け、社員とともに走り続けてきました。
しかしながら、会社の財務状況を振り返りますと、決して順風満帆とは言えない時期もありました。実質的な営業利益としてはある程度計上できており、日々の業務は回っていたのですが、過去の負債が重くのしかかり、債務超過という状態に陥っていました。金融機関からの借入も一定額あり、私の個人保証もついている状態です。
「このまま自力で借入を返済し、会社を立て直すにはどれだけの時間がかかるだろうか」「もし私に万が一のことがあったら、社員や家族、そしてお客様はどうなってしまうのか」。そんな不安が頭をよぎることが増えていきました。また、社内には吉田常務という頼れる存在もおりましたが、彼にこの重荷を背負わせて事業承継をすることは、果たして彼の人生にとって正しいことなのか、とも悩んでいました。
そのような中で、会社の更なる成長と、社員の雇用の安定、そして私自身の個人保証の解除という課題を一挙に解決する手段として、M&Aという選択肢を真剣に検討し始めたのがきっかけです。

-当初はM&Aに対してどのようなイメージをお持ちでしたか?また、みつきコンサルティングにご依頼いただいた経緯をお聞かせください。

中尾様:正直に申し上げますと、最初は「会社を売る」ということに対して、どこか後ろめたいような、寂しいような複雑な感情がありました。自分が手塩にかけて育ててきた会社ですから、愛着もありますし、社員の顔も浮かびます。しかし、先ほど申し上げたような財務的な課題を抱えたままでは、社員にこれ以上の待遇改善をしてあげることも難しいですし、何より会社の未来が描けないという危機感の方が勝りました。
みつきコンサルティングさんにお願いすることにしたのは、担当者の方の誠実な対応が決め手でした。実は、今回のM&Aにあたっては、会社の状況が状況だけに、多くは望まずに、とにかく会社を存続させたうえで、自身のセカンドライフに過度な負担がなければそれでいいという思いを強く持っていました。
最初に担当者の方とお会いした際、M&Aにおけるリスクや成約した場合の厳しい見通しも含めて包み隠さず説明してくださいました。普通なら「売れますよ、大丈夫ですよ」と良いことばかり言うものですが、非常に現実的かつ正直にお話しいただいたことで、逆に信頼できると感じました。「この人たちなら、私の人生を預けても大丈夫かもしれない」と。そうして、2025年の4月中旬ごろにFA契約を結ばせていただきました。

-具体的なお相手探しはどのように進んだのでしょうか。

中尾様:私が驚いたのは、そのスピード感です。契約から間もなくして、担当者の方から「3社ほど関心を持っている企業がある」と報告を受けました。1社は今回のお相手であるインフォシステム様、あとの2社は上場企業であるA社様とB社様でした。
正直、債務超過の状態である当社に、上場企業を含めた3社も手を挙げてくださるとは夢にも思っていませんでした。担当者の方が作成してくださったノンネームシートや企業概要書(IM)が、当社の強みである「数百社の法人顧客基盤」や「安定的な収益状況」を的確に伝えてくれたおかげだと思います。
特に印象的だったのは、インフォシステムの横山社長の動きの速さでした。6月初旬に打診をして、翌日にはIMを確認し、その2日後には「トップ面談をしたい」と回答をくださったと聞きました。関東から離れた九州・福岡での事業拡大を狙っていたことや、同業種でありシナジーが見込めることなどが理由だったそうですが、このスピード感には「本気度」を感じざるを得ませんでした。

-トップ面談は6月中旬に行われたと伺っています。横山社長の第一印象はいかがでしたか?

中尾様:はい、横山社長がわざわざ福岡の当社までお越しくださいました。初めてお会いした瞬間から、何か「波長が合う」ものを感じましたね。実は、私も横山社長もある経営者団体に所属しておりまして、共通の価値観や言語を持っていたことが大きかったと思います。
面談には当社の吉田常務も同席したのですが、事業の深い話から経営に対する想いまで、初対面とは思えないほど話が弾み、非常に良い雰囲気で行われました。横山社長は、当社の財務状況が厳しいことや、従業員の年齢や給与水準が比較的高いことなどもご存知の上で、「福岡に拠点が欲しかった」「上場したうえで、日本一のOA機器会社を目指したい」と熱く語ってくださいました。
面談の後、横山社長と担当者の方々を交えて食事をご一緒させていただいたのですが、その席でも話は尽きず、まるで何年も前からの友人のように意気投合し、未来を語り合いました。本当に楽しい時間でした。

-まさに運命的な出会いだったのですね。その後、意向表明書の提出など、交渉はどのように進んでいったのでしょうか。

中尾様:トップ面談から約1ヶ月後7月中旬、横山社長が再び福岡に来られ、直接、意向表明書を手渡してくださいました。この時も、「郵送でも構わないのに」と思いましたが、横山社長の「直接想いを伝えたい」という誠実さと行動力に心を打たれました。
実はこの時、他の上場企業2社からも意向表明が出ており、条件面では横山社長からの提示と差はありませんでした。みつきコンサルティングの担当者の方からは「上場企業のグループになれば個人保証は確実に解除され、従業員の雇用もより安定しますので、安全を考えるのであれば、上場企業も選択肢に入れていいと思う」とのアドバイスをいただきました。しかし、私の心は既に決まっていました。横山社長の人柄、事業に対する情熱、そして何より同じ経営者団体での繋がり。条件や数字だけではない、横山社長の人間力、「一緒にやっていきたい」という言葉を信じたいと思ったのです。担当者の方のアドバイスも理解できましたが、「この人になら任せられる」という直感を信じ、インフォシステム様と進めることを決断しました。

-条件や安定よりも「人」を選ばれたわけですね。その後、デューデリジェンス(DD)や最終契約(SPA)の調整はスムーズに進みましたか?

中尾様:はい、基本合意締結後の8月からは独占交渉に入り、詳細なDDが行われました。横山社長から、可能な限り前倒しで進めたいというご意向があり、10月のクロージングを目指して急ピッチで進められました。
その際、みつきコンサルティングの担当者の方から工程表をいただき、この作業に何日かかるからいつ始めなければいけない、というフォローをしっかりいただけたので、忙しかったですが不安はありませんでした。
DD
の過程では、やはり当社の財務内容などが議論になりましたが、大きな問題になるようなことはありませんでした。その後、9月初旬にオンサイトDD(現地調査)も行われ、現場の空気感も確認していただきました。
SPA
(株式譲渡契約書)の調整段階でも、私のセカンドライフに過度な負担が残らないようにしていただき、譲渡後の従業員や私の処遇についてなど、細かい詰めを行いました。横山社長は常に前向きに対応してくださりました。普通なら敬遠したくなるような債務超過の会社を、リスクを取って引き受けてくださるわけですから、こちらの要望ばかりを押し通すわけにはいきません。それでも、可能な限り私の希望を汲み取ろうとしてくださる姿勢に、改めて感謝の念を抱きました。

-そして迎えた10月クロージング。どのようなお気持ちでしたか?

中尾様:無事にクロージングを迎え、社員への説明会も行いました。調印を終えた瞬間は、喜びというよりも、「肩の荷が下りた」という安堵感が一番大きかったです。長年背負ってきた借入金の重圧、経営者としてのプレッシャー、そういったものから解放された瞬間でした。
社員への説明会では、会社が変わることへの不安もあったかと思いますが、横山社長が直接、これからのビジョンや社員への想いを語ってくださったことで、皆の表情が少しずつ明るくなっていくのが分かりました。給与や雇用条件についても、現状維持以上の条件をお約束していただき、社員を守ることができたと実感しました。
クロージングの際、担当者の方から「本当におめでとうございます」と声をかけていただいた時は、思わず目頭が熱くなりました。最初の相談から約8ヵ月、短い期間でしたが、本当に濃密な時間でした。

-M&Aを終えて、現在の心境や今後の展望についてお聞かせください。

中尾様:現在は、インフォシステムグループの一員として、PMI(経営統合)のプロセスを進めている最中です。横山社長とは定期的に連絡を取り合い、福岡での事業拡大に向けて具体的な戦略を練っています。今まで資金繰りや管理業務に取られていた時間を、純粋な仕事に使えるようになり、楽しくて仕方ありません。
また、吉田常務についても、横山社長と週1で社内MTGを行い、従業員を牽引してくれています。彼自身も新たな気持ちで業務に取り組んでいるようです私自身も、横山社長という素晴らしい経営者の元で、もう一度勉強させていただくつもりで、初心に帰って頑張っています。
会社としても、インフォシステム様の持つ技術力やノウハウが加わることで、これまで以上にお客様に高付加価値なサービスを提供できるようになると確信しています。まさに「11」が3にも4にもなるようなシナジーを感じており、これからの成長が楽しみでなりません。

(左から弊社コンサルタント木村、オーエーメディア福岡中尾社長、インフォシステム横山社長、オーエーメディア福岡吉田常務)

-最後に、M&Aを検討されている他の経営者の方々へメッセージをお願いします。

中尾様:経営者にとって、自社の譲渡を決断することは、身を切られるような辛い決断かもしれません。特に、私のように財務状況が厳しかったり、事業の成長で悩んでいたりする経営者の方は、一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、勇気を出して一歩踏み出し、信頼できる専門家に相談することで、全く新しい未来が開ける可能性があります。
今回のM&Aを通じて学んだのは、「会社は誰のものか」ということです。創業者の所有物ではなく、社員やお客様、社会のための公器であるということを改めて実感しました。会社を存続させ、社員を守り、発展させるためには、M&Aは非常に有効な手段の一つだと思います。
また、パートナー選びの重要性も痛感しました。条件面ももちろん大切ですが、最終的には「人」と「人」です。企業文化や価値観が合う相手と巡り合えるかどうかが、M&Aの成否を分けると感じました。その点、私は横山社長という最高のお相手と出会うことができ、本当に幸運でした。そして、その出会いを演出してくださったみつきコンサルティングの皆様には、感謝してもしきれません。
もし、今悩んでいる経営者の方がいらっしゃれば、まずは相談してみることをお勧めします。自分だけでは見えなかった選択肢が、きっと見つかるはずです。

-本日は貴重なお話をありがとうございました。今後の更なるご発展を祈念しております。

中尾様:こちらこそ、ありがとうございました。これからも福岡の地で、インフォシステムグループの一員として、お客様のために尽力してまいります。

-担当者より
この度は、株式会社オーエーメディア福岡様と株式会社インフォシステム様の素晴らしいご縁結びのお手伝いができ、大変うれしく思っています。
当初は債務超過という厳しい状況からのスタートでしたが、中尾様の「会社を存続させたい」「社員を守りたい」という強い想いが、横山社長という素晴らしいパートナーを引き寄せたと感じております。
特に、上場企業からのオファーもある中で、条件面での安全性よりも、経営者としての「相性」や「情熱」を信じてインフォシステム様を選ばれた中尾様のご決断には、M&Aの本質を見た気がします。私たちとしても、安全策を提示しつつも、最終的にはお客様の想いを尊重し、その実現に向けて全力を尽くすことの大切さを改めて学ばせていただきました。
お二人の共通の経営者団体を通じた絆や、トップ面談での意気投合ぶりを拝見し、数字だけではないM&Aの成功の鍵は、やはり「人」にあるのだと確信しました。
今後、両社が一体となって福岡、そして全国へと事業を拡大され、更なるご発展を遂げられることを心よりお祈り申し上げます。本日はありがとうございました。

 

           

この案件・類似案件の担当者

▷木村 優汰 事業法人第三部 M&A担当マネージャー


通信・ライフスタイル関連企業にて、主任として顧客の潜在ニーズを引き出す提案業務に従事。当社参画後は、持ち前の対話力を活かし、譲渡オーナーの想いを汲み取ったM&A支援を行う。マッチングから成約まで伴走し、企業の新たな成長機会の創出に貢献している。

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