タイ商務省のDBDデータウェアハウスで、企業の登記情報や決算書を無料で閲覧する方法をご紹介します。新しくなったシステムは英語対応で、事前登録不要。取引先の情報確認に役立つ便利なツールです。
目次
タイ商務省DBDのデータウェアハウスとは
タイ商務省DBD(Department of Business Development)のデータウェアハウスは、タイ国内の企業情報を簡単に閲覧できるオンラインシステムです。このシステムを利用することで、取引を予定している会社の概要や財務状況を効率的に確認することができます。
旧システムと新システムの違い
DBDのデータウェアハウスは、数年前に大幅にアップデートされました。以前のシステムと比較すると、次のような改善点があります:
- 事前登録不要:以前はID、パスワードの登録が必要でしたが、新システムでは登録なしで利用可能です。
- 英語対応:旧システムはタイ語のみでしたが、新システムは英語インターフェースも利用できるようになりました。
- 使いやすさの向上:ユーザーインターフェースが改善され、より直感的な操作が可能になりました。
これらの変更により、タイ語に不慣れな外国人ビジネスパーソンにとっても、より使いやすいシステムとなっています。
利用可能な情報の種類
DBDデータウェアハウスでは、以下のような情報を閲覧することができます:
- 登記情報:会社名、設立日、資本金額など
- 役員情報:取締役の氏名
- 財務諸表:貸借対照表、損益計算書
- 株主情報:株主構成の概要
これらの情報は、取引先の信頼性や財務健全性を判断する上で非常に有用です。ただし、提供されている情報は商務省や歳入局に提出されたものであるため、実際の経営状況とは異なる可能性があることに注意が必要です。
DBDデータウェアハウスの使い方
DBDデータウェアハウスは、誰でも簡単に利用することができます。以下では、具体的な利用方法をステップバイステップで説明します。
アクセス方法と言語設定
- ブラウザで「http://datawarehouse.dbd.go.th/index」にアクセスします。
- 初期設定ではタイ語表示になっていますが、右上の「EN」をクリックすることで英語表示に切り替えることができます。
企業情報の検索手順
基本的な検索方法
- ホーム画面の検索ウィンドウに、調べたい会社の名前やTax IDを入力します。
- 虫眼鏡のアイコンをクリックして検索を実行します。
- 検索結果一覧が表示されますので、目的の会社名をクリックします。
詳細情報の閲覧方法
- 会社情報のページが表示されたら、左側のメニューから閲覧したい情報を選択します。
- 「Juristic Person Profile」では基本的な会社情報が確認できます。
- 「Financial Statement」をクリックすると、財務諸表を閲覧できます。
- 「Investment by Nationality」では、株主の国籍別構成を確認することができます。
これらの手順に従うことで、必要な企業情報を効率的に入手することができます。
DBDで確認できる企業情報の内容
DBDデータウェアハウスでは、企業に関する様々な情報を閲覧することができます。ここでは、主要な情報カテゴリーとその内容について詳しく説明します。
Juristic Person Profileの見方
Juristic Person Profileには、会社の基本的な情報が記載されています。主な項目は以下の通りです:
- 会社名
- 会社登録番号
- 設立日
- 登記資本金額
- 事業内容
- 役員情報
これらの情報は、取引先の基本的な信頼性や規模を判断する上で重要です。特に、資本金額や事業内容は、その企業の財務的安定性や事業領域を理解する上で役立ちます。
Financial Statementの閲覧方法
Financial Statementセクションでは、企業の財務諸表を閲覧することができます。主に以下の情報が含まれます:
1.貸借対照表(Balance Sheet)
- 資産、負債、資本の詳細
2.損益計算書(Profit and Loss Statement)
- 売上高、費用、利益の内訳
これらの財務情報は、企業の経営状態や収益性を評価する上で非常に重要です。ただし、これらの情報は商務省や歳入局に提出されたものであるため、実際の経営状況と完全に一致しない可能性があることに留意してください。また、簡易的な閲覧のため、各勘定科目毎の金額を見ることはできません。
Investment by Nationalityの確認
Investment by Nationalityセクションでは、株主の国籍別構成を確認することができます。この情報は以下の点で重要です:
- 外資規制の確認:出資比率により、タイの特定業種における外資規制への適合性を確認できます。
- 出資構造の把握:国内資本と外国資本の比率を理解できます。
- 経営の安定性評価:株主構成から経営の安定性や意思決定の傾向を推測できます。
これらの情報を総合的に分析することで、取引先企業のより深い理解につながります。
DBDデータウェアハウスの活用方法
DBDデータウェアハウスは、ビジネス上の意思決定を支援する強力なツールです。ここでは、具体的な活用方法について説明します。
新規取引先の事前調査
新規取引先との取引を開始する前に、DBDデータウェアハウスを使って以下のような事前調査を行うことができます:
- 会社の実在性確認:登記情報から会社が実際に存在し、正式に登録されていることを確認できます。
- 財務状況の把握:貸借対照表や損益計算書から、取引先の支払能力や経営の安定性を評価できます。
- 事業規模の確認:資本金や売上高から、取引先の事業規模を把握し、自社との取引量を検討する材料とできます。
- 経営者情報の確認:役員情報から、経営者の背景や他の関連会社との関係を調査できます。
これらの情報を事前に確認することで、取引リスクを軽減し、より安全なビジネス関係を構築することができます。
既存取引先の定期的なチェック
既存の取引先についても、定期的にDBDデータウェアハウスで情報をチェックすることが重要です:
- 財務状況の変化:毎年の決算情報を確認し、取引先の経営状態に大きな変化がないか監視できます。
- 役員の変更:経営陣の交代があった場合、ビジネス方針の変更などに注意が必要です。
- 資本構成の変化:株主構成の変化は、会社の方向性や安定性に影響を与える可能性があります。
定期的なチェックにより、取引先の状況変化を早期に把握し、必要に応じて取引条件の見直しや新たな対応策を検討することができます。
まとめ
タイ商務省DBDのデータウェアハウスは、タイでビジネスを行う上で非常に有用なツールです。新システムは英語対応で事前登録不要となり、使いやすさが大幅に向上しました。企業の基本情報、財務状況、株主構成などを簡単に確認できるため、新規取引先の事前調査や既存取引先の定期チェックに活用できます。ただし、提供される情報の信頼性には一定の限界があることを認識し、他の情報源と併せて総合的に判断することが重要です。
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