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タイで会社を設立するには、資本金や登記料、専門家費用など様々な費用がかかります。この記事では、タイでの会社設立にかかる費用項目や、設立後の運営費用、専門家活用のポイントを解説します。

タイで会社設立にかかる主な費用項目
タイで株式会社を設立する際には、いくつかの費用が発生します。これには、会社の基盤となる資本金、登記申請にかかる公的な費用、そして専門家へ設立手続代行やアドバイスを依頼する場合の費用などが含まれます。また、会社設立後には、事業を開始するための初期費用や継続的な運営費用も考慮に入れる必要があります。
資本金
タイにおける株式会社の資本金は、事業内容や株主構成によって考慮すべき点があります。例えば、外国人事業法の規制対象となる事業を行う場合、タイ資本50%以上とする必要があり、また外国人1人の就労許可証を取得する要件として200万バーツの資本金が必要になります。タイ投資委員会(BOI)の恩典を得る場合は要件は軽減されますが、別途BOIの定める要件をクリアする必要があります。資本金の決定にあたっては、事業規模や将来的なビザ取得、BOI申請などの計画を踏まえて検討することが重要です。
専門家への依頼
タイでの会社設立手続は、現地の法律や商慣習に則って行う必要があるため、専門家へ代行やアドバイスを依頼することが一般的です。依頼先としては、弁護士や会計士、会社設立代行サービスなどがあります。これらの専門家への依頼費用は、提供されるサービスの内容や会社の規模、手続の複雑さ、依頼する専門家によって大きく異なります。会社設立後も会計税務や労務、法務などの手続きや相談が必要になりますので、先を見据えて信頼できる専門家へ依頼することがお勧めです。
タイでの会社運営においては、設立後も継続的に専門家の支援が不可欠となる場面が多くあります。例えば、会計・税務の分野では、法人税、個人所得税、VATなどの計算や申告・納付手続が必要です。特に、法人所得税の計算においては、会計上の収益・費用に税務上の調整を加える必要があり、その内容には注意が必要です。申告・納付は中間期末から2ヵ月以内、年度末から150日以内に行う必要があります。VATの申告・納付は月次で、翌月15日まで(インターネット申告の場合は延長あり)に行います。中小企業(SME)には軽減税率が適用されます。 労務の分野では、従業員の雇用、解雇、給与計算、社会保険、労災保険など、タイの労働法に準拠した対応が求められます。特に、会社都合での解雇の場合、勤続期間に応じた解雇補償金の支払いが必要となります。労働契約の種類や内容にも留意が必要です。 法務の分野では、定款の整備、契約書の作成・確認、個人情報保護法への対応など、様々な専門知識が必要となります。 これらの分野について、専門家からのアドバイスやサポートを得ることは、設立後の円滑な事業運営やリスク回避のために非常に重要です。
設立後の初期費用と運営費用
会社設立後、事業を開始するためには様々な初期費用や継続的な運営費用が発生します。初期費用としては、オフィスや工場の賃貸費用、内装費、設備の購入費、通信費などが考えられます。人材を採用する場合は、採用活動にかかる費用、従業員の給与や各種手当、社会保険料、労災保険料などの人件費が発生します。また、駐在員を派遣する場合は、その個人所得税も会社負担の場合は会社のコストとなります。運営費用としては、月次の会計記帳や税務申告にかかる費用、弁護士や会計士などの専門家顧問料、消耗品費、広告宣伝費などがあります。これらの設立後の費用も考慮した上で、総予算を計画することが大切です。
会社設立および設立後の費用に関する留意点
タイで会社を設立し、事業を継続していく上で、費用に関するいくつかの留意点があります。
適切な情報収集と専門家選びが重要です。 タイでは、会計、税務、法務に関する情報が多岐にわたっており、適用時期が異なっていたり、情報が正しくなかったりする可能性もあります。そのため、公的機関や民間機関、専門家から正確かつ最新の情報を収集することが不可欠です。また、知見がない分野については、専門家に相談することで、適切な判断や対応が可能となります。
労務関連の費用やリスクも把握しておく必要があります。 タイでは、退職時の解雇補償金に関するトラブルが多く発生しています。会社都合解雇や定年退職の場合には、勤続期間に応じた解雇補償金の支払いが必要となるため、人件費だけでなく、こうした将来的な費用も考慮に入れる必要があります。また、従業員との間の雇用契約、就業規則、給与・手当の変更など、労務関連のルールを遵守することが、労働裁判などのリスクを低減するために重要です。
税務上のリスクにも注意が必要です。 特に、赤字取引(市場価格より低い対価での資産譲渡やサービス提供)については、税務署が市場価格で取引がなされたとみなして課税する可能性があるため、注意が必要です。また、日本へのサービス料の支払いでは源泉税を納める必要があるかどうかなど、日泰租税条約の適用範囲内か判断が難しいため、税務調査などで指摘を受けると、追徴課税額が多額になることもあるため、日頃から適切な税務処理を行うことが重要です。
タイ 会社設立 費用に関するよくあるご質問(FAQ)
Q:タイで会社を作るのに最低いくら必要か?
タイで会社を設立するための公的な登記費用自体は、比較的小額です。しかし、設立手続を専門家に依頼する場合の費用、そして資本金の準備、設立後に事業を開始し運営していくための初期費用や運転資金を考慮すると、必要となる総額は会社の事業内容や規模、進出形態によって大きく異なります。会計事務所、法律事務所、コンサルなど、複数社の話を聞いて、料金や対応の良さなど比較検討することをお勧めします。異国での今後の大切な相談相手になりますので、安易に料金だけで決定することはお勧めしません。
Q:資本金はいくら用意すれば良いのか?
資本金の額は、会社の事業内容、駐在員の数、およびタイ投資委員会(BOI)の恩典適用を目指すかどうかなどによって考慮が必要です。駐在員が一人の場合、外国人1人の就労許可証取得に必要な200万バーツを資本金として設定することが多いです。しかし、事業規模や今後の駐在員人数によって資本金の設定は会社によって大きく変わります。事業規模が大きいほど、必要な資本金も多くなるのが一般的です。
Q:登記手続き自体にかかる費用は?
会社の設立登記を管轄省庁で行う際には、法律で定められた公的な費用が約6,000バーツ発生します。これには、申請手数料や必要書類の認証費用、印紙代などが含まれます。
Q:専門家に依頼するとどれくらい費用がかかるのか?
会社設立手続の代行や専門的なアドバイスを弁護士や会計士などに依頼する場合の費用は、依頼する業務の範囲や会社の規模、手続の複雑さ、そして依頼する専門家によって大きく異なります。設立のみを扱う業者や、設立および会計税務を扱う会計事務所、または設立や法務を扱う法律事務所など、専門家によって料金や対応範囲は変わります。長くお付き合いできる信頼できる専門家を探すことが重要です。
Q:設立後の運転資金も考慮した総予算は?
会社設立後の事業運営には、設立費用とは別に運転資金が必要です。これには、従業員の給与や手当、社会保険料などの人件費、オフィス賃料、通信費、水道光熱費、原材料費、販売促進費などが含まれます。また、月次の会計記帳や税務申告にかかる費用、専門家への顧問料なども継続的に発生します。これらの費用を十分に考慮した上で、設立後の事業計画と合わせて総予算を立てることが非常に重要です。
まとめ
タイで会社を設立する際には、資本金、登記申請にかかる公的な費用、専門家への依頼費用、そして設立後の運営費用など、様々な費用が発生します。特に資本金は、事業内容や株主構成、BOI申請の有無によって考慮すべき要件があり、設立後の労務費や会計・税務費なども継続的な負担となります。正確な情報収集と適切な専門家活用が円滑な設立と運営のために不可欠です。
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