2025.06.12
タイでの会社設立の手続の流れとは?必要書類や重要ポイント
タイで会社を設立するには、いくつかの重要な手続があります。この記事では、タイでの会社設立の基本的な流れ、必要な手続、期間、専門家活用のポイントを分かりやすく解説します。 タイでの会社設立をご検討の皆様に向けて、会社設立の一般的な流れや重要な手続についてご説明します。タイでの事業開始に向けた第一歩をスムーズに進めるための一助となれば幸いです。 会社設立形態の選択 タイで事業を行うための法人形態には、主に株式会社や支店などがあります。どの形態を選択するかは、事業内容や外国人事業法による規制、タイ投資委員会(BOI)からの恩典の有無などを考慮して決定する必要があります。 株式会社について 株式会社は最も一般的な形態です。タイには外国人事業法があり、外国人による出資比率に制限がある業種も存在するため、事業内容によってはタイ人の株主が必要となる場合があります。 その他の形態について 支店や駐在員事務所といった形態もありますが、それぞれ活動範囲に制約があります。事業目的を達成するために最適な形態を選択することが重要です。 会社設立の主な流れ 会社設立の手続は複数のステップに分かれています。一般的な株式会社設立の手順をご説明します。 会社名予約 まず、商務省(DBD)に対して希望する会社名を予約します。他に同じ名称がないか確認し、承認を得る必要があります。商号の承認日から30日以内に登記書類を提出します。 基本定款の作成と登記 会社名予約が完了したら、基本定款を作成し、商務省に提出する必要があります。基本定款には発起人2名以上の氏名、登記資本金、発行株式数、設立目的等が記載されます。 設立総会の開催 発起人は設立総会を開催し、定款や設立準備行為、取締役の選任、株式引受人の承認などを行います。 会社の登記 発起人から事業を委ねられた取締役は、商務省に設立登記の申請を行います。この登記が完了することで、会社が正式に設立されます。定款の事業目的は、事業内容を明確に記載する必要があります。 重要な手続とそのポイント 会社が設立された後も、事業を開始するためにはいくつかの重要な手続が必要となります。 VAT登録と納税者番号取得 設立登記が完了すると、納税者番号が割り当てられます。この番号を用いて会社は各種税務申告を行います。年間売上高が1,800,000タイバーツを超えた場合、VAT登録事業者として歳入局に登録することが義務付けられています。VATは、VAT登録事業者による物品の供給やサービスの提供、およびタイへの商品輸入に対して課される消費税です。現在の標準税率は7%に引き下げられています。 VAT登録事業者は、物品の販売やサービスの提供に際してアウトプットVATを課し、物品やサービスを購入した際に支払ったインプットVATを控除して納税額を計算します。インプットVATを控除するためには、タックスインボイスを受け取る必要があります。タックスインボイスの記載内容に不備がある場合などは、仕入税額控除ができません。 VATは原則として事業者が負担するものではなく、最終的に消費者が負担するものと考えられています。VAT登録事業者は、売上、仕入取引の有無に関わらず毎月申告することが義務付けられています。月次申告・納付は翌月15日までに行う必要がありますが、インターネット申告の場合は約1週間程度延長されます。 法人銀行口座開設 会社の設立登記と納税者番号の取得が完了したら、法人名義の銀行口座を開設します。これは事業資金の管理や取引を行うために不可欠な手続です。銀行によって必要書類や手続が異なるため、事前に確認することをおすすめします。 法人税申告と納税 タイの現在の法人税率は原則20%ですが、中小企業には累進課税の適用もあります。法人税の申告・納付は、中間申告と年度末申告の年2回必要です。中間申告は事業年度を6カ月経過した日から2ヵ月以内、年度末申告は年度末から150日以内に行う必要があります。インターネット申告の場合は約1週間程度延長されます。 課税所得は、会計上の収益から費用を差し引き、税務上の調整を加えることで計算されます。繰越欠損金は将来の課税所得から5年間控除することができます。 設立にかかる期間と短縮のコツ 会社設立にかかる期間は、会社の形態や事業内容、手続の進捗状況によって異なりますが、通常数週間から数ヶ月程度かかります。必要書類の準備に時間がかかったり、商務省や歳入局での手続に時間を要する場合があるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが推奨されます。専門家を活用することで、手続をスムーズに進め、期間を短縮できる可能性があります。 専門家サポートの活用 タイでの会社設立は、日本の手続と異なる点も多く、専門的な知識が必要となる場面があります。弁護士や会計士といった専門家は、設立手続の代行、定款作成に関するアドバイス、外国人事業法や税務に関する相談など、多岐にわたるサポートを提供しています。特に外国人事業法に関する規制や税務上の細かなルールは複雑な場合があり、専門家の知見を活用することで、予期せぬトラブルを回避し、安心して事業を開始することができます。 タイ会社設立の流れに関するよくあるご質問(FAQ) Q:タイで会社を作るには何から始めればいいのか? タイで会社を設立するには、まずどのような事業を行うか、それに適した会社形態は何かを検討することから始めます。次に、会社の基本事項(会社名、所在地、資本金、役員など)を決定し、商務省での会社名予約や基本情報届の提出といった設立手続を進めます。事業内容によっては、外国人事業法やBOIの規則を確認する必要があります。 Q:どんな書類を準備する必要があるのか?順番は? 会社設立に必要な書類は、会社形態や手続の段階によって異なります。一般的には、会社名予約申請書、基本情報届、定款、発起人や役員の本人確認書類などが必要となります。これらの書類は、商務省への登記申請やVAT登録、銀行口座開設などの手続で必要となります。必要な書類の準備は手続の進行に合わせて行いますが、事前にリストアップしておくとスムーズです。 Q:会社設立までにはどれくらいの時間がかかるのか? 会社設立にかかる期間は、会社の規模や事業内容、必要な許認可の有無、手続の進捗状況などによって変動します。一般的な株式会社の設立登記自体は比較的短期間で完了する場合もありますが、その後のVAT登録や銀行口座開設なども含めると、全ての手続が完了するまでに数週間から数ヶ月を要することが一般的です。必要書類の準備や関係機関での審査に時間がかかることもあります。 Q:タイ人の協力者は必ず必要なのか? タイで会社を設立する場合、外国人事業法によって外国人の出資比率や事業内容に規制がある業種が存在します。これらの規制対象となる事業を行う場合、タイ人の株主や取締役が必要となることがあります。規制対象外の事業であれば、必ずしもタイ人の協力者が不可欠というわけではありませんが、実務上、タイ人スタッフのサポートが必要となる場面は多くあります。 Q:定款には何を記載すれば良いのか? 会社の定款には、会社の商号、事業目的、資本金の額、発行済株式数、株式の種類、発起人の氏名・住所といった基本事項を記載する必要があります。定款は会社の根幹をなす重要な書類であり、事業目的は具体的に記載することが求められます。記載内容に不備があると設立登記ができない場合があるため、慎重に作成する必要があります。 まとめ タイでの会社設立は、会社形態の選択から始まり、会社名予約、定款作成、設立登記、VAT登録、銀行口座開設など、様々な手続を経て完了します。各手続には特定の書類が必要であり、期間は状況によって変動します。外国人事業法による規制業種ではタイ人の協力者が必要となる場合があり、定款には会社の基本事項を正確に記載することが求められます。 みつきタイは、新規進出から会計税務、M&Aまで一気通貫で対応できます。必要に応じて東京本社(みつき税理士法人)と連携し、バンコクに常駐するCPAが最適な解決策を提案します。会計事務所の変更のご相談も承っています。まずはお気軽に無料相談フォームよりお問い合わせください。