市場の縮小や後継者不在に悩むユニットバス製造会社の経営者へ向け、会社売却の最新動向と成功のポイントを解説します。ブリヂストンやパナソニックの事例から読み解く業界再編の波や、独自の技術力とリフォーム網を活かして譲渡価格を最大化する戦略をお伝えします。
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住宅設備メーカーを取り巻く事業環境とM&Aの背景・動向
住宅設備機器の市場は今、かつてないスピードで変化を遂げています。支援現場では、将来の事業展開に悩む経営者の声を聞く機会が急増しています。どのような背景がこの業界を動かしているのでしょうか。
ユニットバスの普及と市場の変遷
我が国における浴槽の歴史は、戦後の内風呂の普及に端を発します。 大量生産が可能な樹脂浴槽を中心に、ステンレス浴槽やホーロー浴槽などが次々と登場しました。同時に給湯機器の開発も進展し、1990年頃から本格的なユニットバスの時代を迎えます。
天井や浴槽、床、壁といった材料をあらかじめ工場で成型し、現場で組み立てる工法が確立されました。短時間での施工が可能な上、防水性や保温性に優れています。現在では住宅やホテル、病院などで広く使われる不可欠な設備です。色や素材を自由に選べるよう部品に互換性を持たせ、多様なニーズに応える形へと進化を続けています。
新設住宅着工戸数の減少とリフォーム市場へのシフト
市場を牽引してきた新築需要は、確実に減少の道を辿っています。 コロナ禍で一時的な回復を見せたものの、その後は新設住宅着工戸数が再度減少に転じました。資材価格の高騰に伴う住宅価格の上昇や、物価高による消費マインドの冷え込みが影響を与えています。長期的に見ても事業環境は厳しい状況が続くでしょう。
一方で、明るい兆しを見せているのがリフォーム市場です。 国内の住宅ストック数は約6,505万戸に達し、築年数の古い住宅を中心に安定した需要が発生しています。水回りの改修工事は実施割合が高く、高齢化に伴うバリアフリー化の要望も後を絶ちません。このリフォーム需要をいかに獲得するかが、各社の収益確保に向けたカギとなります。
バリューチェーンの変化とショールーム展開
住宅設備機器は、メーカーの代理店や建材卸を通じて工務店などに流通します。消費者に購入後のイメージを明確に持ってもらうため、各地域でのショールーム展開が欠かせません。大口顧客に対しては直接取引を行うなど、販売網の構築が重要です。しかし、強力な販売網を単独で維持することは容易ではありません。これがM&Aを後押しする要因の一つになっています。
大手企業の戦略転換と業界再編の加速
市場構造の変化を受け、大手企業も生き残りをかけた戦略転換を図っています。 TOTOやLIXILといった総合プレイヤーは、顧客提案力の強化に余念がありません。費用の明朗化を図るパッケージ商品の提供や、施工会社向けのオンライン研修を実施し、サポート体制を盤石にしています。高付加価値商品の開発や販売チャネルの多角化により、収益性の回復を目指す動きが顕著です。
以下の表は、ユニットバスを取り扱う主要企業の分類を示したものです。
| 区分 | 主要企業 |
|---|---|
| 浴室・洗面台総合 | LIXIL、TOTO、パナソニック、タカラスタンダードなど |
| ユニットバス専門 | 積水ホームテクノ |
| ステンレス浴槽専門 | JFE建材、WAKOグループ |
総合プレイヤーが市場を牽引する中、専門プレイヤーも独自の立ち位置を築いています。しかし、どの層においても競争は激化しています。生き残りをかけた合従連衡が進む中、事業の選択と集中を進める企業が増加しています。
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住宅設備メーカーが会社売却を選択するメリット
過当競争が続く中、会社を譲渡するという選択は決してネガティブなものではありません。売却側と買収側の双方に大きなメリットをもたらす経営戦略です。
後継者不在の解消と従業員の雇用維持
日本の多くの企業と同様、ユニットバス製造会社も深刻な後継者問題に直面しています。 経営のバトンを引き継ぐ人材が見つからず、黒字でありながら廃業の危機に瀕している企業は少なくありません。会社売却を選択することで、この後継者問題を一挙に解決できます。
廃業となれば、長年貢献してくれた従業員を解雇せざるを得ません。M&Aによって企業を存続させれば、従業員の雇用を守り、取引先への責任を果たすことが可能です。現場では、従業員の生活を守ることを最優先に考える経営者が大半を占めます。
経営の安定化と個人保証からの解放
大手企業や資本力のあるグループの傘下に入ることで、経営基盤は飛躍的に安定します。 親会社の持つ豊富な資金力やITリソース、広範な顧客ネットワークを活用できるようになります。単独では難しかった大規模な設備投資や、新しい市場への参入も視野に入ってくるでしょう。
また、多くの中小企業経営者を悩ませているのが、金融機関からの借入に対する個人保証です。会社を譲渡することで、この個人保証を引き継いでもらうことが一般的です。経営者は重圧から解放され、まとまった譲渡代金を手に新たな人生を歩み始めることができます。
譲受企業が得られるスケールメリットと商圏拡大
買い手企業にとっても、同業他社を買収するメリットは計り知れません。 新たな地域で営業拠点や顧客をゼロから開拓するには、膨大な時間とコストがかかります。すでに地域に根差した顧客基盤を持つ企業を譲り受けることで、低コストかつ迅速に商圏を拡大できます。 自社で扱っていなかった特化型のユニットバスや関連商材を取り込むことで、提案の幅も広がります。仕入れの共通化によるコスト削減など、大きなスケールメリットを享受できる点が、買収意欲を刺激しています。
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主な住宅設備事業の売却事例
業界の再編は、中小企業だけでなく大企業の間でも活発に行われています。ここでは、業界の勢力図に影響を与えた注目すべき事例を紹介します。
ブリヂストンのユニットバス事業譲渡とMBO
2019年9月、ブリヂストンはユニットバス事業をアスパラントグループが運営するファンドへ譲渡すると発表しました。 タイヤ事業とのシナジーが低い事業分野を整理し、コア領域へリソースを集中させることが狙いです。1990年に本格参入して以来、FRP(繊維強化プラスチック)を使用した集合住宅用ユニットバスは、手入れが簡単で清潔感があるとして好評を得ていました。
2020年1月に事業を引き継いだブレクスHDは、ファンドの支援を受けながら企業価値の向上に取り組みます。具体的な手順は以下の通りです。
- 計数管理体制を構築し経営インフラを整備する。
- 製造工程の自動化や内製化を推進しコストを削減する。
- 主力製品のリニューアルに向けた設備投資を行う。
- 営業、技術、製造間の連携を強化し全社営業体制を構築する。
これらの合理化と成長支援を経て、2023年11月に現経営陣によるMBO(マネジメント・バイアウト)が実施されました。ファンドからの完全独立を果たし、新たな歴史を歩み始めています。
パナソニック ハウジングソリューションズの株式譲渡
もう一つの大きな動きが、パナソニックホールディングスによる住宅設備子会社の売却方針です。 2025年11月頃の報道において、同社は「パナソニック ハウジングソリューションズ」の保有株式80%をYKK APに譲渡すると発表しました。収益性の低い課題事業を見直し、筋肉質な経営体制への移行を加速させるための構造改革です。
譲受企業となるYKK APは、窓などのアルミサッシ事業に強みを持ちます。パナソニックが持つトイレやバスルームなどの水回り製品を獲得することで、商材の幅を大きく広げます。両社の強みを掛け合わせ、多様化するリフォーム需要を取り込むという明確なシナジーが期待されています。
以下の表に、両大手の事業譲渡における背景と目的をまとめました。
| 譲渡企業 | 譲渡対象事業 | 背景と目的 |
|---|---|---|
| ブリヂストン | ユニットバス事業 | コア事業への集中、事業ポートフォリオの最適化 |
| パナソニックHD | 住宅設備子会社 | 収益性の改善、YKK APとのシナジーによるリフォーム需要獲得 |
※注:パナソニックの事例は2025年末時点の報道に基づく情報です。
ユニットバスの買取・流通市場の実態
新製品の開発や事業再編が進む裏で、既存設備の二次流通市場も独自の広がりを見せています。ここでは、リユース市場におけるユニットバスの取り扱いについて解説します。
展示品処分や型落ち品のアウトレット需要
メーカーのショールームやホームセンターで展示されていたユニットバスは、アウトレット品としての需要が高まっています。 リフォーム費用を抑えたい施主や、低コストで物件の価値を高めたい不動産オーナーからの引き合いが絶えません。最高グレードのオプションが装備されたハイエンドモデルが、大幅に割引された価格で取引されることもあります。
住設買取専門業者は、こうした展示品や型落ち品を現金で積極的に買い取っています。TOTOやLIXILといった人気メーカーの製品は、中古市場でも安定した価値を保っています。
解体や撤去費用を抑える買取スキームの活用
ユニットバスの処分には、通常であれば高額な解体費用と廃棄コストがかかります。 一般的な解体業者に依頼すると多額の費用が発生しますが、専門の出張買取業者を利用することで、このコストを大幅に削減できます。プロのスタッフが取り外しから運び出しまでを一貫して行うためです。 壁や床に傷をつけることなく丁寧に分解し、再販価値を落とさない技術力が求められます。
事業を撤退する際や、過剰在庫を処分する際にも、こうした買取スキームの活用が有効な手段となります。
古い設備の部品取りとしての価値
実使用された古いユニットバスであっても、必ずしも無価値になるわけではありません。 モデルが廃盤となってしまった製品は、一式での再販は困難です。しかし、水栓金具やシャワーヘッド、浴室換気乾燥機など、汎用性の高い部品のみを買い取る業者が存在します。 同じ古いユニットバスを使用している層から、修理用の「部品取り」としてのマニアックな需要があるためです。一部分だけの買取に応じる柔軟な業者の存在が、市場の裾野を広げています。
住宅設備メーカーが会社売却を成功させるための準備
M&Aを成功に導くためには、自社の強みを客観的に把握し、譲受企業に対して効果的にアピールする準備が欠かせません。
M&Aの目的と譲渡手法の明確化
会社を譲渡する理由は企業ごとに異なります。 経営から完全に退きたい場合は株式譲渡が選ばれますが、不採算事業のみを切り離したい場合は事業譲渡が適しています。目的によって選択すべき手法が変わり、手元に残る利益や税額も大きく変動します。現場では、まずこの目的を明確にするところから始まります。
資材の在庫量と調達ルートのアピール
同業他社を買収する最大のメリットは、すぐに事業を開始できるスピード感にあります。 システムキッチンやトイレ、給湯器といった関連資材の在庫が十分に確保されているかは重要なポイントです。需要を先読みした在庫管理や、安定した部材の調達ルートを持っていることは、譲受企業に対する大きなアピール材料となります。
営業エリアでの信頼とネットワークの提示
住宅設備機器の販売は、工務店や建築会社とのつながりが命綱です。 特定の地域に特化して築き上げた信頼関係は、一朝一夕には構築できません。長年の取引実績や、地域社会からの厚い信頼といった無形資産を整理し、定量的なデータとして提示できるように準備しておくことが求められます。
ユニットバスメーカーの売却相場と株式評価
自社が市場でどれほどの価値を持つのかを把握することは、納得のいくM&Aを実現するために不可欠です。ここでは、譲渡価格の決まり方と評価を高めるポイントを解説します。
一般的な株価算定の計算式
中小企業のM&Aにおいて、最も一般的に用いられる株価算定の手法が「年買法」です。 会社の保有する総資産から負債を差し引いた時価純資産に、直近の営業利益の3〜5年分を加算して企業価値を算出します。この営業利益の複数年分が、企業のブランド力や顧客基盤といった無形の資産として評価されます。
ユニットバスメーカーが高値譲渡を実現するポイント
業種特有の強みをいかにアピールするかが、最終的な譲渡価格を大きく左右します。以下の3つの指標が特に重視されます。
特化型製品の開発力と技術力
FRPや高品位ホーローなど、独自の素材加工技術を持つ企業は高く評価されます。清掃性の高さや保温性など、消費者のニーズを捉えた高付加価値商品を開発できるノウハウは、譲受企業にとって魅力的な資産です。
リフォーム市場への販売網と顧客基盤
新設住宅の着工戸数が減少する中、リフォーム業者や地域の工務店と強固なネットワークを持つ企業は非常に魅力的です。築古住宅の改修に伴う安定した受注基盤は、将来の収益を約束する強力な武器となります。
有資格者の確保と安定した生産体制
製品の製造にとどまらず、現場への直接納入から施工管理までを一貫して担える体制があれば、評価はさらに跳ね上がります。建築施工管理技士などの有資格者を自社で抱え、無事故無災害の安定した現場運営を続けていることは、絶大な信頼に繋がります。
完全成功報酬制
M&Aが成立した場合のみ、譲渡対価に応じた手数料を頂戴します。
売主様は、ご成約まで費用負担なくスタートできます。
着手金・中間金
0円
月額報酬
0円
成功報酬
成約時のみ
※レーマン方式
ユニットバスメーカーの会社売却に関するFAQ
M&Aの検討を進めるにあたり、多くの経営者が抱く素朴な疑問があります。支援現場で頻繁に尋ねられる質問とその回答をまとめました。
可能です。帳簿上の赤字であっても、独自の素材加工技術や、地域に密着した販売網などの無形資産が評価されるケースは多々あります。大手企業の傘下に入り、資金力や営業網を活用することで一気に黒字化できると判断されれば、十分に買い手はつきます。現場ではまず、隠れた強みの棚卸しから始めます。
M&Aにおいては、従業員の雇用維持と待遇の引き継ぎを契約の前提条件とすることが一般的です。譲受企業も優秀な人材の確保も目的の1つとして買収を行うため、不当な解雇や減給を行うメリットはありません。ただし、長期的には人事制度の統合が進むため、契約条項と相手企業の姿勢次第で細部を詰める必要があります。
完全に経営から退き引退するケースと、一定期間顧問や役員として残り、引き継ぎをサポートするケースに分かれます。ユニットバスの製造現場や営業ネットワークは属人的な要素も強いため、1〜3年ほど伴走期間を設けることが歓迎されます。最終的には譲渡オーナーの希望と相手方との協議により決定されます。
十分に見つかる可能性を秘めています。ユニットバスの施工や販売は地域密着型のビジネスモデルであり、遠方からの新規参入が難しい領域です。そのため、その地域での商圏拡大を狙う同業他社にとって、地方の小規模企業は格好の買収対象となります。地域の信頼という目に見えない資産が高く評価されます。
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業界の再編が進む中、自社の技術力や販売網の真の価値を理解し、最適な譲受企業を見つけることがM&A成功の鍵を握ります。決断に迷いや不安を抱える経営者の方々が、納得のいく形で次世代へバトンを引き継げるよう私たちが全力でサポートいたします。
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著者

- 事業法人第一部長/M&A担当ディレクター
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みずほ銀行にて大手企業から中小企業まで様々なファイナンスを支援。みつきコンサルティングでは、各種メーカーやアパレル企業等の事業計画立案・実行支援に従事。現在は、IT・テクノロジー・人材業界を中心に経営課題を解決。M&Aの成約実績多数、M&A仲介・助言の経験年数は10年以上
監修:みつき税理士法人
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